防災無線が聞こえない? 求められる情報の多重化とは

災害や避難に関する情報を伝えてくれる防災行政無線。近年、この防災行政無線が聞こえない事例が複数の自治体で報告されています。万が一に備えて、私たちは何をすればよいのでしょうか。
複数の自治体で相次ぐ、防災無線の「聞こえない」問題
地域のイベントや児童の見守り、防犯情報、選挙の案内、チャイムの音。誰もが一度は耳にしたことがある防災行政無線は、平時はこうした情報を伝え、災害や避難が必要な時には命にかかわる情報を届けてくれます。
しかし近年、複数の自治体でこの防災行政無線が聞こえない事例が報告されています。原因は様々で、住宅の気密性の向上や周辺の宅地造成による地形の変化、豪雨や暴風といった気象状況などの影響によるものと考えられています。
この防災行政無線からの情報が届かないと、災害時に適切な情報が得られず、逃げ遅れる危険があります。例えば、豪雨で河川の氾濫や土砂災害の危険を知らせる放送が流れても、雨音によって情報がかき消されてしまい、命を守る行動が遅れるかもしれません。その結果、河川の氾濫によって長期間の孤立や水・食料の不足、土砂災害による犠牲が生じる恐れがあります。
こうした事態を防ぐために、自治体では住民に情報を的確に伝えるための多様な手段を整備しています。特定エリアへの一斉送信が可能な緊急速報メール、LINEやX(旧:Twitter)などのSNS、防災行政無線の放送内容を電話で確認できる防災行政無線電話応答サービス、コミュニティFMでのラジオ放送、スマートフォン用アプリでの避難情報通知などです。
2025年3月には、岐阜県美濃市が「大雨時に聞こえない」「設備の老朽化」「部品の生産中止」といった理由から、防災行政無線を廃止し、スマートフォンアプリを活用した情報伝達へ移行することを発表しました。
屋内でも安心―災害情報を届ける「しらせあい防災」
災害から身を守るには、災害の発生をいち早く知り、危険な場所から避難することが欠かせません。京セラみらいエンビジョンが提供するIP告知システム「しらせあい防災(情報配信システム)」は、インターネットに接続された家庭内の端末やスマートフォンに、音声や文字で災害情報を届ける仕組みです。防災行政無線が届きにくい屋内への情報配信にも対応し、平時には地域情報の配信ツールとしても活用できます。
緊急放送 | 火事や地震など緊急性が高い防災情報を、リアルタイムに文字や音声で一斉に通知できます |
即時放送 | マイクを通じて登録した音声と、テキストを音声に変換した内容を、即時に放送することができます |
Jアラートとの連携 ※オプション機能 |
Jアラート等の緊急情報を連携により、自動配信することができます |
防災行政無線との連携 ※オプション機能 |
同報系防災行政無線システムと連携させることで、屋外にいても防災放送の内容を聞くことができます |
「しらせあい防災」による情報は、固定電話型やタブレット型の専用端末、スマートフォン用のアプリで受信することができます。豪雨などで屋外の放送が聞こえない場合でも、屋内で確実に情報を取得することができます。
さらに、「しらせあい防災」はLTEの受信が可能な専用受信機(オプション機能)を備えており、従来の拡声子局による屋外放送と組み合わせることで、複数の情報伝達手段を活用できます。これにより、人が多く集まる駅や市街地周辺など屋外では拡声子局を通じて災害情報を放送し、屋内では「しらせあい防災」の端末を通じて情報を受信できるため、情報の多重化によるより確実な災害情報の提供が可能になります。
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固定電話型専用端末 固定電話型専用端末は、スマートフォンやタブレット端末に馴染みがない高齢者のご利用に向いています。高齢者にわかりやすい表示画面や操作方法になっています |
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タブレット型専用端末 タブレット型専用端末は持ち運びに便利で、家の様々な場所で情報を取得することができます 対応端末:Android |
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スマートフォン用アプリ スマートフォンにアプリをダウンロードすることで「しらせあい防災」の情報が受信できます。幅広い世代の方にご利用いただけます 対応端末:iPhone, Android |
自然災害に対しては、住民一人ひとりが「自らの命は自ら守る」という意識を持ち、自分の判断で避難することが大切です。日頃から防災意識を高め、豪雨や台風の報道があれば、積極的に情報を取得することも重要です。そして、避難情報が発表された時には、迅速かつ適切に避難することで身の安全を確保できます。京セラみらいエンビジョンは情報配信システム「しらせあい防災」を通じて、いち早く正確な情報を届け、住民の迅速な避難と地域の安心・安全に貢献しています。
京セラみらいエンビジョンは「Data PlatformとNetwork Solutionを核に格差なく住み続けられるまちづくりに貢献するグローバルカンパニーを⽬指す」をビジョンに掲げ、住み続けられるまちづくりの課題である「通信」「安全」「医療・介護」「教育」「交通・物流」「人口減少」「地域経済」の7分野の解決を目指しています。
【関連リンク】
■京セラみらいエンビジョン株式会社
・「しらせあい防災」について
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