80歳を超えても元気でつながりあえるまちへ！徳島県小松島市ー認知症予防への取り組み【後編】

“市民の皆さまが健康で生き生きと暮らしていくことができるまちづくり”に取り組む小松島市は、京セラみらいエンビジョン株式会社（以下、京セラみらいエンビジョン）と包括的連携協定を締結し、認知症予防の取り組みを強化しています。前編では小松島市の概要や課題、京セラみらいエンビジョンとの出会いについてお届けしました。
前編はこちら

後編では実証事業の内容やそこから見えてきた課題、今後の展望についておうかがいします。

1. 脳トレアプリを活用した認知症予防実証事業

中田様：昨年7月、認知機能の向上と、データを収集し効果的なトレーニングに役立てることを目的に、脳トレアプリを活用した認知症予防の実証事業を実施しました。65歳以上の市民150人を対象に、アプリを使って1日10分～20分の脳力トレーニングを行うというものでしたが、モニター参加者集めには苦労しました。当初、無関心層をターゲットに募集を開始しましたが、思うように集まらず途中で方向転換を余儀なくされました。イベント時の案内や体験コーナーの設置、広報誌やSNSの活用、公共施設や商業施設でのチラシ配り、3回のモニター募集説明会等、様々な募集活動の結果、92名の方が参加してくださいました。目標の150人には届かないなど、参加者を集める難しさを実感しています。
実際に参加された方の声を聞くと、自分のペースで行え、他人に合わせる必要がないといった「ひとりでできる」手軽さが好評でした。普段は参加しないと思われる方も説明会に足を運んでくださり、京セラみらいエンビジョンのスタッフから支援を受けながらアプリを設定すると、帰り際には続けて取り組みたいという声を聞くこともできました。このような声を聞くと、取り組みが意義深いものであることを実感しました。

2. 実証事業の結果見えてきた課題

中田様：半年間の運営を振り返り、いくつかの課題を感じています。まず、人によって興味関心は多種多様であり、本人のやる気という問題があります。脳トレの問題レベルが頭打ちになり、同じ状態が長く続けば人は飽きてしまいます。そのため、事業の継続性を確保するためには、新たなステージやアプローチが必要になると感じています。例えば、人の入れ替えやアプリの付加価値化などです。参加者が効果を感じてくださっている現在は非常に良い状況なのですが、新たな刺激がないと飽きてしまい、トレーニングから離れてしまうことで認知症予防に繋がらないといった事態になってしまいます。また今後、参加者が増えたら、これまで表面化していなかった新たな課題が出てくる可能性もあると感じています。

3. 今後の取り組みと京セラみらいエンビジョンに期待すること

中田様：今回の実証事業では良い結果が得られました。これまで介護予防教室でも脳トレなどを行っていましたが、アナログな方法が主流でした。今回のアプリを使用した取り組みは、自分自身で取り組むことができるという点で評価されました。試しに参加したいという声もあり、普及を図っていく上で新たな試みが求められますが、参加者の満足度は高いと言えます。しかし、無関心層へのアプローチが難しく、アンケート結果からも、参加していない人へのアプローチ方法について改善の余地があることを再認識しました。今後は、より効果的なアプローチ方法を模索し、新たな付加価値を考えていく必要があります。

北村様：今回の実証事業には多くの課題もありますが、京セラみらいエンビジョンとは、介護予防だけでなく、防災や他の分野にも及ぶ包括的な取り組みを期待しています。脳トレアプリを活用しながら、さまざまな分野で取り組みを進めていくことで、より成果を得られると思っています。