自動運転
文:【記事監修】河口信夫

誰でも分かる自動運転①

誰でも分かる自動運転①

現在進行形で日々進化している自動運転技術の概要を6回にわたって連載していきます。
今回はその1回目です。

自動運転って何?

自動運転とは、運転手がいなくても車が自動で走行することです。 ハンドル・ブレーキなどの操作を自動運転システムが判断し実行します。
自動運転の歴史では、ドライバーレスの自動車に関して、1920年代から欧米で取り組んでいているというから驚きです。(無線での操縦)
自動運転はSFの未来のイメージですが、AI技術や通信技術の発達により現実の世界で走行しています。ただ技術面と法整備など多くの課題を抱えており、次項では概要及び、課題に関して説明します。

自動運転レベル

自動運転は、SAE(アメリカの自動車技術会)によって5つのレベル分けで定義されており、それぞれのレベルに対した政府目標が提示されています。

【レベル1】運転支援
前方車両と接触しないように自動で速度を調整する「ACC(Adaptive Cruise Control)」や、車線からはみ出さないようにハンドルの向きを調整してくれる「LKAS(Lane Keeping Assist System)」、ぶつからないように自動で止まる「自動ブレーキ」などのことをいいます。

【レベル2】高度な運転支援
「ACC(Adaptive Cruise Control)」と「LKAS(Lane Keeping Assist System)」を組み合わせて車線を維持しながら前のクルマに付いて走ったり、遅いクルマがいればウインカーなどの操作によって自動で追い越したり、高速道路の分合流を自動で行ったりする機能が搭載されています。

【レベル3】特定条件下における自動運転
特定条件下で自動運転システムが主体となりで運転を実施する。システムの介入要求に対してはドライバーが適切な対応は発生します。
※特定条件下とは、場所(高速道路のみ等)、天候(雨や雪は除く)、速度など自動運転が安全に走行できる条件下のこと

【レベル4】特定条件下における完全自動運転
※特定条件下とは、場所(高速道路のみ等)、天候(雨や雪は除く)、速度など自動運転が安全に走行できる条件下のこと

【レベル5】完全自動運転
常にシステムが運転を実施。

2020年に日本ではレベル3までの自動運転を搭載した車を公道で走らせることが可能となっています。
自動運転レベル4に関しては、2023年4月1日に許可制の「特定自動運行」として施行される見通しとなっています。

自動運転の課題

自動運転が当たり前の社会が現実となれば、「事故減(ドライバーの操作や判断ミス、確認不足などの不安全運転の低減)」「ドライバーの負担減」「高齢者の移動手段を確保」など多くのメリットがあるが、現段階では多くの課題を抱えています。

【課題1】
自動運転車が事故を発生した場合の責任区分は明確なものがありません。
自動車メーカーなのか、 システム(ソフトウェア)側なのか、はたまたサービス提供者や所有者なのか?レベル5となるとドライバーレスとなり、その責任区分を明確にすることは重要となります。

【課題2】
自動運転車のセキュリティは、完全自動運転では必須となります。
皆が使っているパソコンやスマートフォンと同様に自動運転車は走るインターネットデバイスとなります。常時通信を実行し、AI、IoT技術の結集で走行をしており、サイバー問題のリスクはあります。

【課題3】
インフラの整備も必要となります。自動運転車に搭載のセンサーで判断できない箇所(建物や地形で見通しの悪い交差点など)では、自動運転車と連携するインフラ設備が必要となります。

【課題4】
高精度3次元地図の整備が、自動運転の対象となる全ての道路で必要となります。
自動運転車は基本、高精度3次元地図をもとに位置を判断し走行を行っており、事前に測定し専用に加工した高精度3次元地図がある場所しか走行はできません。完全な自動運転社会では、全道路の高精度3次元地図の情報が必須となります。

自動運転社会の実現に向けては、課題が多くあります。

次回はその課題に対する現状の対策や、自動運転での現在の事例などを説明していきます。

【記事監修】河口信夫
【記事監修】河口信夫

名古屋大学 工学研究科 情報・通信工学専攻 教授(未来社会創造機構モビリティ社会研究所 副所長)
TMI (超学際移動イノベーション)卓越大学院 コーディネータ
自動運転ベンチャー (株) ティアフォー フェロー
NPO法人位置情報サービス研究機構(Lisra) 代表理事
総務省スマートIoT推進フォーラム テストベッド分科会長
中部地方測量部 地理空間情報産学官中部地区連絡協議会 委員
CODE for Nagoya 名誉代表
UDC2020愛知ブロック 代表

【記事監修】河口信夫
【記事監修】河口信夫

名古屋大学 工学研究科 情報・通信工学専攻 教授(未来社会創造機構モビリティ社会研究所 副所長)
TMI (超学際移動イノベーション)卓越大学院 コーディネータ
自動運転ベンチャー (株) ティアフォー フェロー
NPO法人位置情報サービス研究機構(Lisra) 代表理事
総務省スマートIoT推進フォーラム テストベッド分科会長
中部地方測量部 地理空間情報産学官中部地区連絡協議会 委員
CODE for Nagoya 名誉代表
UDC2020愛知ブロック 代表

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