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80歳を超えても元気でつながりあえるまちへ! 徳島県小松島市ー認知症予防への取り組み【前編】

80歳を超えても元気でつながりあえるまちへ! 徳島県小松島市ー認知症予防への取り組み【前編】

徳島県の東部中央に位置し、「四国の東門」と称される小松島港を有する小松島市は、人口約3万5千人(令和6年2月末時点)の港湾都市です。小松島港は、現在もコンテナターミナルや10万トン級のクルーズ船の寄港地として栄えていますが、同市でも、人口減少・高齢化が深刻な課題となっています。
“市民の皆さまが健康で生き生きと暮らしていくことができるまちづくり”に取り組む同市が、その一環として、2023年5月に、「Data platformとNetwork Solutionを核に、格差なく住み続けられるまちづくりに貢献する、グローバルカンパニーを目指す」をビジョンに掲げる京セラみらいエンビジョン株式会社(以下、京セラみらいエンビジョン)と包括的連携協定を締結し、認知症予防の取り組みを強化しています。

今回は、小松島市介護福祉課 課長 北村様、課長補佐 中田様、主任 芝様に市の取り組みについてお伺いしました。前編・後編の2回に分けてお届けします。


(左から、小松島市 介護福祉課 中田様、北村様、芝様)

1. 小松島市の魅力について

中田様:小松島市は、徳島県の東部中央に位置し、小松島湾に囲まれた港湾都市です。「四国の東門」と称される天然の良港、小松島港を有しています。
歴史的には、平安時代に篠原郷、新居郷、余戸郷という地域が存在し、篠原郷は一時期京都の仁和寺の荘園であったことが知られています。仁和寺がかつて「小松郷」と呼ばれる地域に所在していたことから、後に「小松島」という地名が生まれたと考えられています。
現在は、徳島赤十字病院や県指定の発達障がい者総合支援ゾーン(ハナミズキゾーン)を中心に、医療・福祉のまちとして県内外に発信しています。

芝様:海の幸も山の幸も豊富な地域であり、特産品がたくさんあります。海産物では鱧(はも)やちりめん、練り物文化が盛んで竹の風味を楽しむことができる「竹ちくわ」やカレー風味がクセになる「フィッシュカツ」などが有名です。農作物では徳島県内で最多の生産量を誇る菌床シイタケや、市の木でもあるやまももの生産が盛んです。やまももは独特の歯触りや甘酸っぱい味覚が特長の果実で、そのまま食べるだけでなく果実酒やジュース、ジャム等に加工され、夏の味覚として親しまれています。

北村様:小松島は古くから狸伝説が多く残る街であり、その中でも特に有名なのが民話「阿波狸合戦(あわたぬきがっせん)」です。小松島ステーションパーク内の「たぬき広場」には、阿波狸合戦に登場するたぬき・金長の巨大な像「金長たぬき像」が設置されており、観光客に人気のスポットになっています。

2. 小松島市が進める“市民の皆様が健康で生き生きと暮らしていけるまちづくり”

中田様:昨今、高齢化が深刻な課題となっています。本市の介護保険事業計画における人口推計によれば、65歳から74歳の前期高齢者は令和3年度にピークを迎えましたが、75歳以上の後期高齢者人口は増加しており、今後もその傾向は続く見込みです。高齢者の増加により介護保険や高齢者福祉に大きな影響が及んでおり後期高齢者の要介護や要支援の認定率が上昇、将来的にはその割合がさらに増加する可能性があります。このような状況を受けて、本市の高齢者福祉・介護保険担当者も危機感を感じています。また、小松島市では、市全体として人口減少に歯止めをかけるために、子育て世代に選ばれるまちづくりをテーマに、子育て応援プロジェクトを展開しています。児童福祉や教育、医療の分野が主たるものですが、高齢者福祉の分野においても重要な取り組みが行われています。高齢者福祉の分野では、多世代との交流を重視し、市民のつながりを促進することに焦点を当て、子育て世代の負担軽減や環境・空間作り、さらには世代間の交流の促進等に取り組んでいます。地域全体が子育て世代にとって魅力的な環境となり、人口減少に歯止めをかける一助となることを期待しています。

3. 介護予防・認知症予防の取り組み

中田様:小松島市は、医療・福祉のまちとして介護予防や認知症予防に力を入れています。地域包括支援センターと連携し、各種健康教室や介護予防教室の他にもヨガ教室やフィットネス、防災教室等を開催するとともに、地域住民が主体となる活動を支援しています。介護予防サポーターやフレイルサポーターを養成する取り組みも行っており、サポーターの多くが高齢者といわれる年代の方々であることも特徴的です。また、地域住民主体の活動として、介護予防や地域の交流の場づくりのため、「いきいき百歳体操(徳島版)」や「高齢者サロン」なども積極的に行われています。そのほか、高齢者に対する相談事業も充実し、日頃の些細な困りごとから介護保険などの制度、高齢者の引きこもりや虐待なども含め幅広く相談を受けています。

現在の市長の下、各種イベントやワークショップ等の交流イベントも活発に行われています。認知症の啓発を行いながら、高齢者が生き生きと生活するために何ができるのかを考え、「おしゃれをして街にでかけよう」という企画を実施したり、祖父母世代が一緒に参加できる子育て世代対象イベントや多世代交流イベントの企画、生涯学習の分野でも様々な教室や高齢者自体が主体となって行っているスポーツサークルが活発に活動しています。特に、市の総合体育館を使っての卓球が盛り上がっています。

4. ガバメントピッチへの参加と、京セラみらいエンビジョンとの出会い

北村様:介護予防の取り組みは多数行っていますが、参加者が関心の高い人たちに固定化されているという課題に直面しました。活動に参加したことのない、関心の薄い人たちに参加してもらうにはどうしたら良いか、内部で議論を重ねましたが限界を感じ、企業からの提案を得ることで新たなアプローチを模索しようと考えました。そうした中、市の企画部門からガバメントピッチの話を聞き、参加を決めました。

芝様:介護福祉課、保険年金課、保健センターとも話し合いましたが、どの部署も同じような悩みを抱えていました。そこでガバメントピッチでは、介護予防に無関心な層への参加促進と行動変容を目指しプレゼンを行いました。

北村様:テーマは「80歳を超えても元気につながり会えるまちへ!」。行動変容につながる提案を募集したところ23社からご提案いただきました。そこから4社に絞り、最終的に京セラみらいエンビジョンの脳トレアプリの提案に決定しました。脳トレアプリの使いやすさ、わかりやすさが選定の決め手になりました。
また、京セラみらいエンビジョンの事業内容や「Data PlatformとNetwork Solutionを核に格差なく住み続けられるまちづくりに貢献するグローバルカンパニーを目指す」といった姿勢は、小松島市が目指す、活力があり、持続可能な地域社会という将来像につながると確信しました。

後編に続きます。

 

【関連リンク】
徳島県小松島市 Webサイト
https://www.city.komatsushima.lg.jp/
・包括的連携協定締結のお知らせ
https://www.city.komatsushima.lg.jp/docs/3307003.html
京セラみらいエンビジョン株式会社
https://www.kcme.jp/
・しらせあい 脳トレ 紡
https://www.kcme.jp/product/sound-mind/sirasei-notore-tsumugi.html

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