アジア太平洋のセキュリティ支出が2021年に急増、230億ドル超えへ

調査会社IDCの最新レポートによると、2021年のアジア太平洋地域の情報セキュリティ市場は好調となる見込みだ。同地域でセキュリティ関連のハードウェア、サービス、ソフトウェアに費やされる金額は全体で231億ドル(約2兆5,200億円)に達すると予測されている。
IDCによると、クラウドの急速な普及、在宅勤務への大規模な移行、業務上の課題を克服するための企業による変革プロジェクトなどがこうした支出の増加をもたらすことになるという。
IDC Asia Pacificでトラスト・セキュリティ・ブロックチェーンリサーチ担当VPを務めるSimon Piff氏は同レポートの中で、「2020年という年は世界中のすべての人にとってのデジタルの重要性がはっきりした一方で、セキュリティ戦略で不足している部分も明確になった1年でした」と書いている。
同調査によれば、銀行業、通信業、各国政府がこうした成長をけん引するだけでなく、市場全体のセキュリティ支出の半分を占めることにもなる。主にこれらの分野が詐欺、サイバー犯罪、情報漏えいの温床となっているためだ。
アジア太平洋地域でマネージドセキュリティサービスが急伸
セキュリティ分野の各カテゴリの中では、(セキュリティ)サービスが最大かつ最も速く成長するカテゴリになるという。予測期間(2019年~2024年)における同地域のセキュリティ支出全体の48.8%を占めるという予測だ。この市場セグメントは5年間の年平均成長率 (CAGR) 13.3%で成長し、2024年には350億ドル(約3兆8,100億円)規模に達すると見込まれている。同レポートによれば、このうち40%はマネージドサービスに費やされ、コンサルティングサービスとインテグレーションサービスがそれに続くという。
リモートワークによってIT環境の分散化と複雑化が進むことになり、多くの企業は依然として対応に苦慮している。このため、企業各社はセキュリティをマネージドサービスプロバイダ (MSP) に依存する傾向にある。
企業がMSPを選択するということは、サードパーティベンダーを雇用し、ネットワーク接続のインストール、管理、監査、評価を行うに当たってサイバーセキュリティのあらゆる面に関する高度な専門知識にオンデマンドでアクセスできるということだ。顧客が1社でもハッキングされた場合、MSPの評判は最悪のものとなるため、強力な制御を実装することが重要となる。
セキュリティハードウェア・ソフトウェア
IDCによると、セキュリティハードウェアがセキュリティサービスに次いで大きな支出カテゴリになるという。このため、ネットワークセキュリティに対するニーズの中でもファイアウォールや侵入検知・防止、統合脅威管理、仮想プライベートネットワークなどが最も求められている。
一方、アジア太平洋地域のセキュリティソフトウェア支出はエンドポイントセキュリティソフトウェア、アイデンティティ・デジタルトラストソフトウェアへの需要にけん引され、2021年にはソフトウェア支出全体の半分以上を占めるようになるという。
ハードウェアやソフトウェアへの支出の増加は、従業員がセキュアなオフィスネットワークから個人のアクセスポイントに移行し、セキュリティ上の脅威が増えているのと軌を一にしている。
規模で見ると、2021年には中国だけでアジア太平洋のセキュリティ支出全体の40%以上を占めることになり、予測期間中の同国の支出は5年間の年平均成長率16.8%で急増すると予測されている。

Sydney Sawaya is an Associate Editor at SDxCentral, covering cloud storage, data management, and cloud native. She previously worked in publishing and public relations, ghostwriting articles for B2B energy and utilities publications. She can be reached at: ssawaya@sdxcentral.com or @SkidKnee_Writes

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