データセンターブームはいつまで続くか=AWS, Microsoft, Googleがけん引
AI需要を背景としたデータセンターブームが本格化している。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)といったクラウド大手は新たな成長の波に乗り、この波ができるだけ長く続くように、数十億ドルを投じてデータセンターの新設を進めている。
米調査会社MTN Consultingによれば、2024年前半を通じて、Webスケール事業者による設備投資が「活発」に行われたという。第1四半期の投資額は前年同期比25%増と好調で、第2四半期は51%増とさらに大きく拡大した。第2四半期の数字を年率換算すると、通年の設備投資額は過去最高の2,264億ドルに達する。
チーフアナリストのMatt Walker(マット・ウォーカー)氏によると、主に技術製品への支出が拡大し、「すでに稼働しているデータセンターのサーバー関連購入費用(GPUとCPU)」が特に増えているという。第2四半期はAmazon、Microsoft、Alphabet(Google)、Meta(旧Facebook)による支出が全体の80%を占めた。
データセンターの物理的な拡張プロジェクトにも投資が行われている。MTNは「まったく新しいデータセンターキャンパスの開発に向けて、大規模な土地の購入や長期的な取り組みが進められている」と指摘した。
こうした動きについては、米調査会社Synergy Research Group(SRG)が最近発表したレポートでも取り上げられている。現在、世界で510か所のデータセンター施設が開発中で、計画策定から建設工事まで、さまざまな段階にあるという。市場を牽引している事業者についてはMTNと同じハイパースケーラーを挙げ、独自の指摘として、一握りの地域に立地が偏る状況が続いていることにも触れている。
データセンターの密集と拡大
SRGの調査では、現在20の「州または都市圏」に、「世界のハイパースケールデータセンター容量の62%が集中している」ことがわかった。バージニア州北部が最大の密集地域で、世界のデータセンター容量の15%近くが集まり、次が北京の約7%となっている。
米国の地域がこれほど優勢なのは、大手のハイパースケーラーやWebスケール事業者の多くが本社を置いていることが関係しているという。一方で、拡大に関する予測を述べている箇所では、運用面についても指摘している。
「ハイパースケールインフラの立地を選定する際にはさまざまな要素を考慮します。たとえば、顧客の拠点に近いか、不動産の価格や入手性はどうか、電力は足りるか、電力料金はどうか、ネットワークインフラはどうか、事業をしやすいか、その地域で金銭的なインセンティブが提供されているか、政治的に安定しているか、自然災害による影響を最小限に抑えられるか、といった内容です」。チーフアナリストのJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏が述べている。「こうした要素について検討すると、ロンドンやニューヨークのような世界でも有数の経済の中心地は避けられることが多くなり、米国の州で言えば、オレゴン、アイオワ、ネブラスカなどの人口の少ない州が望ましいということになります。このため、リテール型のコロケーションデータセンターとは主要市場の構成が異なり、ハイパースケーラーがコロケーションデータセンターを利用してエッジ向けのインフラを収容することも少なくありません。今後の数年間で、立地を選定するこうした基準一般が変わることはないと考えられますが、主に東南アジアや南米の一部などの新興市場が急成長することから、主要市場の構成は変化することが予測されます」
データセンターの拡張が続くと予測している調査会社は他にもある。
米調査会社Dell’Oro Group(デローログループ)の予測では、データセンターへの設備投資の拡大は、2028年まで年平均成長率(CAGR)24%のペースで続くとしている。「AI関連のデータセンターインフラ需要が急増する」ためで、市場規模は今後数年間で13桁ドルに達する可能性があるとした。
シニアリサーチディレクターのBaron Fung(バロン・ファン)氏は「AI関連では、クラウドデータセンター、企業データセンターへの設備投資が、今後5年間で1兆ドルを超える可能性があります」と述べている。「AIのインフラはきわめて資本集約的で、GPUやカスタムアクセラレーターを搭載したサーバー、AIネットワーキング、ストレージ、施設などを必要とします。業界はまだ、AI関連の投資で予想される利益を見極めようとしているところですが、その間にも、エコシステムでは、長期的に持続可能な形で設備投資を拡大できるように大きな努力が払われています」
雇用はどうなるのか
データセンターへの設備投資が活発になっている一方で、MTN Consultingの指摘によると、2024年半ばのWebスケール市場の従業員数は約418万人で、1年前と比べてわずかな増加にとどまるという。前年からの変化は全体の人数から見ると「ほとんど無視できる」程度のもので、今後はAIや生成AIを活用した新しい効率化の実施が広がり、全体の人数は減少し始めると予測している。
「大手Webスケーラーの中には、AIや生成AIに多額の投資をしているところもあります。社内のコスト効率向上を目的としていることは明らかです。従業員は当然少なくなるでしょう」とWalker氏が書いている。「eコマースのような分野ですら、物流チェーンでロボットや自律走行車を使用するケースが増えてきています。Webスケール市場の雇用がここから増えるかというと、少しは増えたとしても、大きく伸びる可能性は低いでしょう」
この予想はすでに、一部の大手Webスケーラーやハイパースケーラーによって現実のものになっている。
MicrosoftとGoogleが今年、クラウド事業部門で数百人規模の人員削減を行うと報じられた。Microsoftは通信業界向けの「Azure for Operator」事業から最大1,500人、「Mission Engineering」チームからさらに数百人を、Googleはセールス、コンサルティング、GTM戦略、運用、エンジニアリングの各チームから人員を削減すると報じられている。
How long can AWS, Microsoft, Google drive data center capex surge?
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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