米CitrixはMcAfee社、FireEye社と同じ運命を辿るのか＝買収合併の後に

米投資会社Vista EquityとPEファンドの米Evergreen Coast Capitalが165億ドル（約1.9兆円）で米Citrixを買収した件は、ほんの数カ月前にウォール街で別の著名なソフトウェアベンダーのExitがなされた件とよく似た様相を呈し始めている。

Citrixは非公開化され、インテリジェンス（BI）ベンダーの米Tibcoと合併することになるが、これは同じくPEファンドのSymphony Technology Group（STG）がセキュリティベンダーのMcAfee EnterpriseとFireEye（いずれも米）を買収、合併した際の戦略と酷似している。

CitrixとMcAfeeにはいずれも数十年にわたる名高い実績があり、市場の進化と成熟に伴い、時代に合わせて幾度も方向性を転換してきた。

McAfeeが2020年に株式市場に復帰した後、短期間のうちにSTGが40億ドル（約4,640億円）で全額現金買収、直後にはFireEyeを評価額12億ドル（約1,390億円）で買収している。この2社は今年1月に正式に合併して新会社Trellixとなったが、今後McAfeeのSASEプラットフォームは名称未定の別会社にスピンオフされる予定だ。

米調査会社Dell’Oro Groupのアナリスト、Mauricio Sanchez氏によると、CitrixとTibcoの合併も同じような道をたどる可能性がありそうだという。

Citrixの非公開化

「Citrixの非公開化は必ずしも驚くことではありません」。Sanchez氏はSDxCentralの取材に対して語った。「ウォール街から四半期ごとに浴びせられる厳しい批判から逃れられるという点では、非公開化も彼らにとっては良い動きです」

氏の説明によると、Citrixはここ数年、ハイテク企業の例にもれずサブスクリプション型のアズ・ア・サービスモデルへの移行を進めていたという。「ウォール街は単に待ちきれなくなったのだと思います」

Citrixと、幅広いソフトウェア統合サービスやコンサルティングサービスを提供しているBIベンダーのTibcoを合併させるという決定は非常に理にかなっていると氏は言う。

とはいえ、Citrixの資産のすべてが新会社によく適合するというわけではない。「間違いなく合理的な部分もあります。特に、コンテンツコラボレーション、アプリケーション、デスクトップ仮想化などのデジタルワークスペースを扱っていた部署がそうです」と氏。他方、Citrixのアプリケーション配信や、 SD-WANや初期のSASE プラットフォームなどのセキュリティ資産は独立事業としてスピンオフする方が理にかなっているかもしれないという。

こうした製品部門は、仮想デスクトップインフラ（VDI）、WAN最適化、ネットワーク構築が1つにまとまりつつあるように見えていた頃の2005年に米NetScalerを買収してできた部門だという。「SD-WANが登場して混乱が起こる前、SaaSアプリケーションやセキュリティが本当に重要なものになってくる前のことです」

こうした流れによって業界が混乱するなかで、この10年の間にCASB（Cloud Access Security Broker：キャスビー）ベンダーや米ZscalerのようなセキュアWebゲートウェイ（SWG）ベンダーが足場を築いてきたと氏は言う。