SD-WANにIPv6が重要である理由、ベンダーが製品認証を取得する理由

企業等の組織による、ネットワークのアジリティ向上とコスト削減のための(SD-WAN)技術の導入が続くなか、IPv6という名前で知られる次世代インターネットプロトコルへの移行がますます重要になってきている。
現在もIPv4がほとんどの企業ネットワークの基盤を支えているが、IPアドレスの総数は限られたものとなっている。IPv6ではIPv4よりもはるかに多くのアドレスを使用可能であり、企業等が自社のネットワークに飛躍的に多くのデバイスやアプリケーションを接続することが可能になる。何年もの間、ベンダー各社はSD-WANのためにはIPv6の導入を検討することが重要だと訴えてきたが、全体として導入は遅れている。Googleが2023年11月に発表した最新の数字によると、Googleの各種サービスへのユーザーアクセスのうち、IPv6を介したアクセスは半数未満となっている。
IPv6は現在のところ世界のインターネットトラフィックの過半を占めてはいないものの、SD-WANユーザーが無視すべき機能でもない。
「IPv6にはほとんどのベンダーが少なくとも部分的には対応しており、IPv6対応の重要性は増しています」。米調査会社Gartnerのバイスプレジデントアナリスト、Jonathan Forest(ジョナサン・フォレスト)氏がSDxCentralの取材で語った。「企業顧客からすると、IPv6の重要性に関する見解はまだまちまちです」
何がSD-WANユーザーのIPv6移行を促進しているのか
Forest氏によると、IPv6を採用する理由は組織によってさまざまだという。
促進要因は地域によって異なる部分もある。たとえば、アジア太平洋地域は他の地域よりもIPv6の採用率が高い。また、氏によると、政府機関等の特定のセグメントでもIPv6の使用が義務付けられているという。
米国政府もIPv6への対応を義務付けており、政府のIPv6要件に準拠しているという認証の取得をベンダー各社が目指している。最近、IPv6認証の取得を発表したベンダーにVersa Networksがある。
プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのKevin Sheu(ケビン・シュウ)氏がSDxCentralの取材に対し、同社は以前からIPv6に対応してきたと語った。新しく対応する必要があったのは、NIST(National Institute of Standards and Technology、米国立標準技術研究所)の「USGv6 Revision 1」標準で、IPv6の設定・運用方法を定めた政府標準の最新プロファイルだ。
USGv6 Revision 1には、OMB(Office of Management and Budget、米行政管理予算局)が2020年に発行した覚書、「M-21-07」の目標である、米国政府の全ネットワークのIPv6移行を支援する仕様という面がある。
Sheu氏によると、今回取得した認証の対象機器には、「Versa Cloud Gateways」のほか、SD-WANやSD-LAN向けの「Versa CSG」「Versa CSX」があるという。
「対応すべき業界標準にVersaのソリューションが準拠しているという、お客様や企業等に対する証明になります」と氏。「認証製品を探されていて、認証されていない製品は検討しないというお客様もいらっしゃいます」
IPv6の利用は増え続け、IPv4もなくならない
Sheu氏によると、インターネットサービスプロバイダ(ISP)やコンテンツプロバイダ、企業がIPv6のサポートを拡大、世界で導入が増え続けているという。一部の地域やユースケースでは、すでにIPv6が広範に導入され、インターネットトラフィックのかなりの割合がIPv6によるものになっている。
「IPv6移行の流れは続いていますが、ハードウェアやソフトウェアのアップグレードや交換が必要になる場合もあります」と氏。「ルータやスイッチ等のネットワーク機器のアップグレードや、ソフトウェアのアップデート等です」
IPv6に移行したとしても、企業等がIPv4のサポートを終了するということではない。実際の傾向としては、むしろIPv6とIPv4の両方をネットワークに展開するデュアルスタックが多く見られる。他には、IPv4ネットワークのトラフィックをIPv6の内部にカプセル化する、一種のトンネリングもよく行われている。
「IPv6トンネリングは、IPv4からIPv6への移行中に使用することができ、既存サービスを中断することなく、ネットワークインフラを段階的に別のプロトコルへ移行することが可能になります」と語った。
Why IPv6 matters for SD-WAN and why vendors are certifying their products


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