「5G-Advanced」が次なる5G投資サイクルを後押し
これまでのところ、5Gの導入はネットワーク速度が高速である点と、ネットワーク制御機能がやや向上した点をメリットとして進められてきた。一方、真の5Gイノベーション、収益化、5G投資には「5G-Advanced」(5Gアドバンスト)と呼ばれる次のフェーズが関係してきそうだ。米調査会社デローログループ(Dell'Oro Group)の最新の調査報告では、巡り合わせがあれば5Gの次のバージョンがそうした原動力になる可能性があると指摘している。
5G-Advancedが必要とされる第一の理由はモバイルデータトラフィックの消費量が増加していることにある。現在使われている消費量増加の予測モデルでは、2020年代の終わりまではトラフィックの増加に対応する十分な周波数資源が市場にはあるとされている。
とはいえ、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)のような映像を多用する技術の活用が進んでいけば、5G-Advancedが必要とされる時期は早まることになるだろう。
「一般向けの新しいVRデバイスやARデバイスが成功し広く受け入れられれば、人々の行動には変化が起こるでしょう――モバイルネットワーク上で映像を消費する時間が増えることになります。そうなれば、(RANの)帯域幅の観点から言えば状況が大きく変わり、帯域幅への巨額の投資に拍車がかかることになると思われます」。デローログループのバイスプレジデント兼アナリスト、ステファン・ポングラッツ(Stefan Pongratz)氏が自社ブログで書いている。
こうした投資は、伝搬特性が悪いことからこれまで限定的だったミリ波帯での展開が広く進められることで生まれる可能性がある。
「意外でもありませんが、世界のRAN投資額のうちミリ波が占めるのはまだ2%未満にすぎません」。氏は指摘する。「技術的なブレイクスルーに加えて中継器の改良やRIS(Reflective Intelligent Surfaces)技術の利用増加が進めば、Sub6帯とミリ波帯のギガビット当たりのコスト差が縮小し、やがてはミリ波帯がこれまでよりも有効に活用されるようになるでしょう」
5 G-AdvancedがIoTとRANに与える影響
もう1つ、5G-Advanced市場をけん引することになりそうなのがIoTだ。ポングラッツ氏の指摘によると、業界団体GSAとエリクソンによる調査報告では昨年末の世界のセルラーIoT(CIoT)接続数は約20億件であり、2019年末から倍増しているという。
「とはいえ、モバイルデータトラフィック全体や通信事業者の総売上に対してCIoTが占めるパーセンテージはまだ1桁台前半です」と氏。「当面はCIoT接続の大半は(4G)LTEが担うと予測されているものの、IoTの上り速度や位置精度を向上させる技術革新とDetNet(Deterministic Networking)技術を融合する取り組みが強化されるようになれば、一部の産業環境の発展につながる可能性があります」
RANへの投資についても5G-Advancedによる恩恵がありそうだ。通信事業者各社は今年ミッドバンド5Gネットワークの拡大に多額の費用を投じており、RAN市場は2023年にかけて沈静化すると予測されている。
「当社の基本シナリオは、5Gへの投資フェーズはLTEよりも長期化し、水準も高いものになるという前提に基づいています」と氏。「また、5G-Advancedが新たな設備投資サイクルを後押しするという前提には立っていませんが、リリース18や今後のリリースは5Gの取り組みにおける次の段階(5G-Advanced)で重要な役割を果たすものになる見込みです」
技術標準化団体3GPPは昨年末にリリース18を承認、正式に5G-Advancedの仕様検討に入った。2023年12月の仕様凍結を目指しており、この時点で承認済アップデートを利用したベンダー各社による商用機器の開発が可能になる予定だ。
米調査会社ABIリサーチの予測では、2024年から2026年にかけて5G-Advanced対応無線機が市場で勢いを増し始めるとしている。また、同分野をリードするのは消費者インフラ市場であり、市場で使用される5G基地局の75%が2030年までに5G-Advanced仕様にアップグレードされるとした。エンタープライズインフラ市場は遅れを取り、アップグレード率はその半分程度になると予測している。
これと似たモデルは4G規格の際にも見られた。初期導入が始まったのは2010年であり、2010年代半ばに4G-Advanced対応機器が市場に登場している。
https://www.sdxcentral.com/articles/analysis/5g-advanced-to-drive-next-5g-spend-cycle/2022/11/
Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.
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