MWCバルセロナ=注目の話題は5GとAI
先月末まで開催していた「MWCバルセロナ2024」では、5GとAIの2つが大きなテーマとなった。大手コンサルティングファームPwCの米国支社でパートナーを務めるDan Hays(ダン・ヘイズ)氏が語った。
氏は会期中の記者会見に出席し、5Gの導入状況には「誰もが注目している」とした上で、中でも収益化の面をどう改善できるかにいっそう注目が集まっていると述べた。
1つの方法がプライベート5Gネットワークを提供することだ。通信事業者にとって魅力的なユースケースだが、この領域は相変わらず将来的に期待できるという段階を出ていない。「プライベートネットワークは全体として、まだ価値提案が模索されている最中の技術です」と氏。
大きな関心が集まりトライアルも多数行われているが「全体的には、まだ多くの企業で導入が広がり、大きく伸びるという状況にはなっていません」と説明した。
通信事業者各社も同様の見方を示し、同分野のけん引力はこれまでのところ、限定的なものにとどまるとしている。米ベライゾンのHans Vestberg(ハンス・ベストベリ)CEOは昨年末の決算説明会で、プライベートネットワークへの関心は高まっているものの、「2024年のうちに会社全体に影響を与えるような大きな売上になるとは考えていません。2025年のことになるでしょう」と述べている。
ベライゾンは最近、大規模なプライベートネットワーク構築に関する契約を数件獲得した。Hays氏の表現で言えば、「広域環境または擬似広域環境」になるものだ。
「大規模な港湾や製造施設に対して、屋内/屋外の接続を併せて提供するような事例です」と氏。「こうしたケースはプライベートネットワークがまさにターゲットとしているもので、会場でもたびたび話題に上っています」
アナリストらの指摘によれば、世界のプライベートネットワークに対する支出総額は、2028年までに90億ドルを超える可能性があるという。
AI・生成AI
MWCバルセロナでは、AIに関する取り組みも注目の的となった。Hays氏によれば、AIや生成AIの用途については、ネットワーク機器の長寿命化から、業務管理や顧客とのやり取りの支援に至るまで、高い関心が寄せられていたという。
また、顧客サポートのユースケースが最初期の事例として関心を集めた一方で、生成AIに関する取り組みは顧客サービス領域にとどまらず、徐々に現場での業務にも広がり始めているとした。
「現在、多くの通信事業者が、自社のフィールドエンジニアが現場にいる間にネットワークの問題や顧客の問題に対処し、解決できるようにするにはどうすればよいかを模索しています。問題が発生したときに、1度の派遣で速やかに解決できるようにしたいのです」と説明した。
通信業界全体でこの機を活かそうとする取り組みも行われている。イベントでは「AI-RANアライアンス」の設立が発表された。同団体では、AIとRANの融合によるパフォーマンスの向上や運用コストの削減、効率性の向上を追求するとともに、新しいビジネスモデルの支援を目指す。
生成AIが盛況なのは、通信事業者や業界が直面している差し迫ったコスト問題を緩和できるためでもある。NVIDIAが最近発表したレポートによれば、調査対象となった業界関係者のうち、67%がAIは売上向上に役立ったと回答、63%が一部の事業領域でコスト削減にも成功したと回答している。
「通信業界での生成AIの活用ということに関して言えば、私たちが現在取り組んでいるのは利益を追求することです。現在のところ、それが可能なのは人手のかかる大規模な業務です」と氏。「生成AIの利用に関して最も注目されている領域は、顧客サポートと現場での作業です。いずれも大きなコストがかかり、多くの人員を抱え、スタッフの離職率も高いのが普通です。今日、生成AIがいろいろなことに使える中で、最も注目を集めているのがこの2分野なのはそのためです。こうした人手に頼る部分の大きい業務領域での活用には、会場でも大変な注目が集まっています」
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
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