2021年、サイバーセキュリティ分野で最大規模の取引6件
今年はこれまでに、サイバーセキュリティ企業としては史上最高額のIPOと、同じく史上最高額の資金調達ラウンドがあった。2021年はまだ後半が残っており、こうした記録も破られるかもしれない
2021年が明けてわずかに半年、すでに過去最大規模のサイバー攻撃が何件か発生し、サイバー犯罪者たちは記録的な額の現金を手にしている――悪いニュースがこうだ。一方、良いニュースは、防御側も利益を上げており、サイバーセキュリティに関する史上最大規模の取引がいくつか結ばれたことだ。今年はこれまでに、サイバーセキュリティ企業としては史上最高額のIPO(米SentinelOne)と同じく史上最高額の資金調達ラウンド(米Lacework)があった。2021年はまだ後半が残っており、こうした記録も破られるかもしれない。
こうした新しい資本の一部が悪者を打ち負かすことに使われることを期待したい。あるいは少なくとも、セキュリティに関する予防措置や防御態勢が本当に重要であるというメッセージが既存の顧客や見込み客にしっかりと伝わるとよいだろう。
一方、2021年上半期におけるサイバーセキュリティ関連の6大取引を見てみよう。金額の低いものはわずか4億ドル(約440億円)から、高いものは約110億ドル(約1兆2,110億円)にもなる。
6位:米CrowdStrikeが英Humioを4億ドルで買収
サイバーセキュリティの米CrowdStrikeはXDR(Extended Detection and Response)強化のために英Humioを買収することで2021年のスタートを切った。XDRはおそらく今年最も話題となっている技術だ。Humio社はデータ収集・分析プラットフォームを開発した企業であり、CrowdStrike社によると、同プラットフォームを活用すればコンテキストに基づいたインデックスフリーのXDRを「他ベンダーには真似のできないスピードと規模で」実現することができるという。
設立5年目のスタートアップであるHumio社によると、同プラットフォームは「大量のデータを収集する場合でもレイテンシがほぼゼロ」であり、1日あたり数百テラバイトまで拡張して対応できるという。
5位:米F5ネットワークスが米Volterraを5億ドルで買収
F5ネットワークスは2021年もアプリケーションセキュリティ関連のスタートアップ企業の買収を続け、グローバルに分散したネットワーク構築とクラウドネイティブなAPI中心アプリケーション向けのセキュリティを提供するVolterra社を5億ドル(約550億円)で買収した。シリコンバレーを拠点とするこのスタートアップ企業は、共同創業者兼CEOのAnkur Singla氏のリーダーシップのもと、14カ月前に立ち上げられたばかりだった。同氏は初期の通信事業者向けNFV・SDNベンダーの1つであるContrail社も創業しており、同社は後に米Juniper Networksに買収されている。
CEOのFrancois Locoh-Donou氏は買収発表後の電話会議で次のように語っている。「F5とVolterraは『Edge 2.0』プラットフォームを導入して参ります。これはオープンエッジプラットフォームであり、あらゆるサービスをあらゆるサーバ上で、パブリッククラウドを含め、仮想化をしていてもしていなくても実行することが可能になります」
4位:米LaceworkがシリーズDで5億2,500万ドルを調達
1月、クラウドセキュリティ企業の米Laceworkはサイバーセキュリティ関連では史上最大の資金調達ラウンドを完了した。5億2,500万ドル(約580億円)のシリーズDだ。当時のCEOのDan Hubbard氏によれば、これによって同社の評価額は「10億ドル(約1,100億円)をゆうに超える」ことになったという。
その前の2年間では、VMware社、Arista社、Pure Storage社、Snowflake社(いずれも米)などを顧客に2年連続で300%を超える売上成長を遂げ、設立6年目のスタートアップ企業である同社は売上世界一のセキュリティベンダーである米Palo Alto Networksと競いながら、勢いを維持していた。「当社は市場シェアの獲得については明るい見通しを持っています。100億ドル(約1兆1,000億円)以上の(TAM:製品やサービスが獲得可能な最大の市場規模)があり、その規模はセキュリティ市場のどのセグメントよりも急速に成長しています」とHubbard氏は述べている。
3位:米Splunk、米Silver Lakeから10億ドルを調達
ソフトウェアの米Splunkは先月、プライベートエクイティ企業の米Silver Lakeから10億ドル(約1,100億円)の投資を受けたと発表した。同社はこれを、新たな成長戦略のための資金と、最大10億ドルの自社株買いプログラムを含む資本構造の管理に使用する予定だとしている。
6月初め、Splunk社は2022年第1四半期のクラウド関連の年間経常収益(ARR)を前年同期比83%増の8億7,700万ドル(約970億円)と報告している。第1四半期はソフトウェア予約の56%がクラウドからのもので、クラウドでのARRが100万ドル(約1億1,000万円)を超える顧客が203社あり、これは前年同期比で99%増加したという。
2位:マカフィー、法人向けセキュリティ事業を40億ドルで売却
マカフィーは3月、法人向けセキュリティ事業をプライベートエクイティ企業の米Symphony Technology Group(STG)に40億ドル(約4,400億円)で売却すると発表した。
STG社は約1年前、セキュリティベンダーの米RSAをデル・テクノロジーズから20億ドル(約2,200億円)強で買収している。
今回の売却が発表されたのは、マカフィーがナスダックに上場してから半年も経たないうちのことだ。マカフィーはここ数年、個人向けアンチウイルス企業から企業向けセキュリティの強豪企業になろうと取り組んできており、同社が個人向けサイバーセキュリティに専念する計画を発表したのは意外なことだった。
1位:米SentinelOne、110億ドルで上場
数億ドル(あるいは数十億ドル)規模のすべてのサイバーセキュリティ案件の中でも、1位を獲得したのがセキュリティベンダーのSentinelOneだ。6月30日に上場を果たし、2019年にCrowdStrike社が株式公開した際の67億ドル(約7,380億円)という記録を抑え、セキュリティ関連で史上最大のIPO評価額という歴史を打ち立てている。
新規株式公開(IPO)の価格を1株あたり35ドル(約3,852円)に設定した後、同社株式は1株あたり46ドル(約5,063円)で取引が開始され、評価額は89億ドル(約9,800億円)に達した。IPOで3,500万株を販売、約12億3,000万ドルを調達し、その後の株価上昇によって時価総額は約110億ドル(約1兆2,110億円)に達している。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/6-largest-cybersecurity-deals-of-2021/2021/07/
Jessica is Managing Editor at SDxCentral covering security technology, trends, and threats. She has worked as an editor and reporter for more than 15 years at a number of B2B publications including Silicon Valley Business Journal, Environment + Energy Leader, and Solar Novus Today. Jessica can be reached at jhardcastle@sdxcentral.com or @JessicaHrdcstle.
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