AIエージェントvsチャットボット=LLMで顧客サービスをどのように自律化するのか
社内外を問わず、カスタマーサポートの提供は企業にとって毎日欠くことのできない業務だ。
しかし、今日でさえそれを正しく行うのは難しいことがある。シンプルな定型チャットボットが一次対応に使用されているケースはよく見かけるが、顧客がイライラするループに陥り、結局は人間に引き継がれることも少なくない。
このプロセスのレベルアップは、AIの次のフロンティアとも呼ばれるエージェントソフトウェア、つまり、バックエンドの人間の関与を必要とせずに、顧客からの問い合わせや対話に自動的に対応(理想的には解決)できるソフトウェアである。
大規模言語モデル(LLM)に支えられたこれらのAIエージェントは「合理的」とみなされ、完全に自律的にデータに基づいて動作し、反復学習するように設計されている。そして、その機能は顧客サービスだけにとどまらず、ますます拡大している。
「我々は、生成AIとの対話が主に人間が主導するChatGPTスタイルの対話から、AI主導の対話へと変化しているのを目の当たりにしています」。カスタマーサービスAIエージェントを提供する「Ada」の最高製品技術責任者(CPTO)、Mike Gozzo(マイク・ゴッツォ) 氏がSDxCentralに語った。
人間の会話のニュアンスを理解する
従来のチャットボットは素晴らしいものではあるが予めスクリプト化されており、開発者によってすべてが決められたルールで明示的にプログラムされている。このことは結局のところ、その範囲を制限することになる。なぜなら人は「会話が取りうる様々な変化」をすべて考えることができないからだ、と同氏は述べた。
どのような話題であれ、会話を完全に考え抜くことなど誰にもできない。と氏は指摘する。「自然な会話には混乱と無秩序があまりにも多い」。
同様にビジネスにおいても個人差が大きく、状況に応じた適切な判断が求められるため、様々なシナリオを予測することは不可能である。
スクリプトや手順書の代わりに、AIエージェントには特定の役割が与えられる。
例えば、「AgentGPT」はGPT-4を使用し繰り返し行われるプロセスやデータ集約型のプロセスを自動化する。「AutoGPT」はサブタスクとループを作成することでプロンプトを自動化し、「ChartGPT」は生データをインタラクティブなチャートやグラフに変換する。他にも、フィンテック(リタイア計画や投資アドバイス)やeコマースに特化しているものがあり、より汎用的なモデルも登場している。例えば、リサーチやToDoリストの管理を含む様々なタスクを処理できる米Hugging Faceの「Jack of All Trades」や「BabyAGI」などである。
自律エージェントは、積極的であり、反応的でもあり、パターンを見つける能力があり、「自由」と「自分で選択する能力」を持っている、と「Auto-GPT」のMatt Pogla(マット・ポグラ)氏が述べている。 「厳格なルールに従う標準的なAIとは異なり、これらのエージェントは、周囲の状況や目標に基づいて次の行動を決定します。このスキルにより、彼らはテック業界でも際立った存在になっているのです」
人間がAIエージェントの目標を設定し、その目標を達成するために最適な行動方針を独自に選択するようにトレーニングするのだという。
「人間の脳のように機能します」とGozzo氏は言う。「このシステムはモジュール化されていると考えてください」
つまり、最先端の言語モデルが中核的な推論者(「計画は何か」という要素)として機能し、それに関連する二次モデルが、記事をスキャンして情報を収集するなどより専門的なタスクに特化して調整される、と同氏は説明した。
AIエージェントは最初に質問を受けると、それに答えるために必要な情報をすべて持っているかどうかをまず判断する。とGozzo氏は述べる。情報が不足している場合は、フォローアップの質問を送信し、「必要なことをすべて明確にします」。このモデルは、ツールボックス内のツールをすべて把握し、必要なすべての資料と補足情報を持っており、また特定の制約も与えられている。
例えば、航空券の予約を扱うエージェントは、家族の不幸があった状況では、通常のキャンセルとは異なる対応が必要であることを理解する必要がある。
「AIエージェントに『共感的であるべき』という制約を設定すると、システムはそのツールが利用可能であることを理解し、それに基づいて判断できるようになります」とGozzo氏は語った。
企業は透明性も考慮する必要がある。AIエージェントの中には、自分がAIであることを積極的に公表するよう訓練されているものもあれば、尋ねられない限り明示的に自分を明かさないものもある。
「エージェントは質問されれば、常に自分がAIエージェントであることを明かします」とGozzo氏は言う。「問い詰められた場合にも、正しく応答するでしょう」
人間を補い、生活を便利にする
エージェントはますます専門化が進み、実質的にパーソナルアシスタントとしての役割を果たすようになっている。技術がますます洗練されるにつれ、この傾向はさらに強まるだろうと専門家は予測している。
例えば、英KXのカスタマーサクセス責任者Conor Twomey(コナー・トゥーミー)氏 は、あなたは上司からイベントのためにワシントンD.C.に出張するよう依頼のメールを受け取るかもしれない。エージェントは、あなたがデルタ航空を好んで利用すること、希望する空港、ヒルトン・オナーズ会員であることを知っている。また、出発の準備に必要なすべてを把握しているため、旅程を提案することができる。ユーザーが質問をしたり指示を出したりする必要はなく、「すべてが日常の中で自動的に行われます」と言う。
同氏によれば、これらのユーザー特化型のAIエージェントは、「日常生活をより便利にする」ことを目的としている。そして、少なくとも現時点では、ミッションクリティカルな状況や生死にかかわる状況での使用を意図したものではない。これは、機械は間違いを犯すものであり、エージェントが完璧でありすべてを正確に理解できるわけではない、と一般的に認識されているためである。
「エージェントが提案するどんなことでも、独自に検証する必要があることを知っていますが、それはそれで問題ないのです」と同氏は述べた。
ただし、最終的には、ChatGPTのようなアプリケーションは、昔のダイヤル式電話のように時代遅れになるだろう。
「数年後には、私たちがChatGPTにログインして物理的に質問をしていたことを笑い話にしているかもしれません。なぜなら、これらの機能はすべて、私たちのシステムやプロセスに自然に組み込まれるからです」とTwomey氏は述べた。
AIエージェントの導入は重要(人間と同様に)
専門家は、自律型エージェントには多くの利点があると指摘する。業務を合理化し、市場投入までの時間を短縮させ、顧客サービスを向上させるとともに、人的リソースを有効活用することができる。
例えば、Adaの顧客サービス自動化プラットフォームの場合、ある顧客がまったく新しい製品ラインを開発できるほどのコスト削減を実現したとGozzo氏は指摘した。それまでは低レベルのサポートを担当していた従業員は、特定の顧客に対してより「深い関係を築くような質問」を扱えるように訓練されたという。
AIエージェントの導入を成功させるために、企業は自社のビジネスに関連するすべてのコンテンツを文書化し、AIがそれにアクセスできるようにする必要がある。LLMが情報を取得し明確にコミュニケーションできるよう、双方向フローを備えたアーキテクチャを準備する必要がある。重要なのは、企業は自らに課した制約を守り、AIツールと協働できるスキルを持つ人材を雇用することだ。
また、「導入時には、あたかも人間を雇うかのようにアプローチする必要があります」つまり、AIを導入し、教え、構造化されたフィードバックを提供する必要がある。とGozzo氏は述べた。
「企業はAIエージェントの隣に座り、継続的にフィードバックを提供することで、AIを常に最新の状態に保つ必要があります」と同氏は提言した。
AI agents vs chatbots: How LLMs are making customer service autonomous
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