OPEN-RAN
文:Matt Kapko

社CEO、3年後にはオープンRANが主流になると話す

社CEO、3年後にはオープンRANが主流になると話す

Altiostar社は、2011年にCEOのAshraf Dahod氏が同社を設立して以来、オープン無線アクセスネットワーク(RAN)インターフェイスとアーキテクチャを推進してきた。

10年近くが経ち、このビジョンはモバイルネットワークの最も重要なコンポーネントの1つを根底から覆しそうな力となった。オープンRAN は大きな進歩を遂げており、まだ今日のモバイルネットワークの主要な技術フレームワークではないものの、それもすぐに変化するだろうとDahod氏は確信している。

「オープンRANに移行しようという大きな動きが現在、世界的に起きています」と氏はSDxCentralに語った。「通信事業者は今後3年間で、経済的な事情によってオープンRANへの移行に向かうことになるでしょう」

顧客のほとんどは5G接続のために追加の料金を支払う気がないことが複数の調査でわかっており、通信事業者は経済的な理由からより低コストの展開を模索せざるを得なくなる、とDahod氏は説明している。オープンRANにすれば、通信事業者の設備投資費は最大40%削減でき、運営費は約30%削減できると氏は言う。

「既存企業はオールインワンのパッケージ、つまり独自のハードウェアとその上で動作する独自のソフトウェアを提供しており、あらゆるものを同じ企業から購入することになります」とDahod氏は言う。「新しいサービスを追加したい場合は、ソフトウェアの開発に数百万ドルを支払わなければなりません。そして、サプライヤが3社いれば、3社すべてにお金を払うことになり、3社とも準備ができて初めてサービスを開始することができるということになります」

Dahod氏によれば、こうしたモデルの出番は終わりつつあるという。「あらゆるものがWebスケールに移行しています」と氏は言う。「無線の分野にWebスケールの波が来ることは必然であり、時間の問題でしょう。自動化、ネットワークの堅牢性、障害回復、サプライヤに囚われずに必要なときにサービスを開始できることなどについてメリットがあり、こうしたメリットは非常に大きいものがあります」

既存のベンダーはまた、ソフトウェアや様々な世代のセルラー技術、種々の必須ハードウェアなどについて、外部から閉じたやり方を続けている、とDahod氏は言う。Altiostar社は反対に、小型セル、屋内・屋外のマクロアンテナ、ミリ波(mmWave)、大規模MIMO(multiple-input multiple-output)、4G、5Gテクノロジーなどを単一のソフトウェアレイヤーでサポートしている。このアプローチを取れば、通信事業者は「最大の価値を提供してくれるのがどこなのかによって、別々のハードウェアサプライヤをつなぐ」ことが可能になる。

この枠組みの下では、付加価値の高い機能やサービスは、専用のハードウェアではなく、VNF(仮想ネットワーク機能)やコンテナになっていると氏は言う。「通信事業者は自由に組み合わせて使うことができます。当社の製品は完全に仮想化されているので、新しいサービスを立ち上げようと思えば、誰にでもソフトウェアを開発してもらうことができるようになりました」

 

オープンRANへのAltiostar社の取り組み

Altiostar社の4G・5Gネットワーク用オープンRANソフトウェアは仮想化スタックから独立しているため、Cisco社、VMware社、Red Hat社などによる異なる仮想環境やオーケストレーション層に移植することができる。「当社の製品は非依存的で、オーケストレーション層や仮想化層との間にはごく標準的なインターフェイスを備えています」とDahod氏は話し、新しいベンダーとの統合には通常6~8週間かかると補足した。

「無線機がインストールされファイバーネットワークやトランスポートネットワークに接続されると、当社製品は無線機を認識し、オーケストレーション層に適切な機能を呼び出してVNFの作成を可能にします」と氏は説明する。設定のための無線機へのソフトウェアダウンロードも含め、「これらは自動的に行われ、10分以内に拠点を立ち上げることができる」という。

無線機の前線では、Altiostar社は2つのアプローチを採用している。Altiostar社のソフトウェアと相互運用する用意があるベンダーは、認証を受けて一緒に出荷することができる。この取り組みには、NEC、富士通、Airspan Networks社、Nokia社、MTI Mobile社などのベンダーが参加している。「こうした無線エコシステムがない場合には、設計を作成しサードパーティのメーカーにライセンス供与することで、そうしたメーカーから通信事業者に直接供給してもらうことができます」

「私たちの目標は、サプライチェーンを可能にすることです」とDahod氏は言う。Altiostar社のソフトウェアは、オープンRAN市場に参入できる機器メーカーの数を「劇的に」増やしている。

「私たちの焦点はソフトウェアにあり、オープンRANエコシステムに寄与する無線機を開発したいと考えているプレーヤーに資することにあります」と氏は話している。「私たちの大きな目的は、ソリューションが存在しないところでイネーブラーになることです。ソリューションが存在する場合は、そのパートナーと協力して仕事をします」

ハードウェアとソフトウェアを1つのベンダーが供給する必要はもはやない、と氏は言う。「当社はハードウェアビジネスに参入する必要はないと考えています。実を言えば、参入したくはありません。なぜなら、すでにハードウェアのサプライヤによる非常に堅固なエコシステムがあるからです」

 

オープンRANコミュニティの成長

これに関連してAltiostar社は最近、4G向けと小型セル・ミリ波による5G向けのオープンRANを推進するべく、Airspan社と提携している。また、Altiostar社は4月第2週初め、4G・5Gネットワーク向けオープン仮想化RAN(vRAN)のブループリントを開発するため、Cisco社とWorld Wide Technology社の共同取り組みに参加した。

このブループリントにはAltiostar社のソフトウェアが使われ、Cisco社はVirtual Infrastructure Managerプラットフォーム、Ultra Packet Core、Converged SDN Transportなどの独自のハードウェア・ソフトウェアを提供する。World Wide Technology社はこのオープンvRANのブループリントをテスト・検証し、完全に統合された製品として市場に投入する予定だ。

Altiostar社のこれまでで最大のネットワーク展開は、4月の第2週初めに日本で稼働したネットワークのものだ。楽天モバイルは、クラウドネイティブかつオープンなRAN技術を用いた世界初の完全仮想化ネットワークであり、Airspan社、Cisco社、Intel社、Mavenir社、NEC社、Nokia社、Red Hat社、Qualcomm社の機器やソフトウェアを利用してもいる、グリーンフィールドネットワークだ。

楽天モバイルはAltiostar社の株式の過半数を保有してもいる。その他の支援者には、Cisco社、Qualcomm Ventures社、Tech Mahindra社などがある。Crunchbaseによると、Altiostarはこれまでに3億5750万ドルを調達しており、最後の資金調達ラウンドであるシリーズCは2019年5月にクローズしている。

Telefónica社は、Altiostar社のこれまでで最大のブラウンフィールド展開だ。同通信事業者は先月、英国、ドイツ、スペイン、ブラジルで4G・5GのオープンRAN技術トライアルを展開すると発表した。

Dahod氏は、「ここ4ヶ月間、当社のセールスパイプラインに変化はありませんでしたが、たくさんの通信事業者が明らかにオープンRANへの移行を加速させているという大きな変化が見られました」と述べている。

現在はCOVID-19のパンデミックによって展開の遅延が起きており、特に世界の一部の地域では物理的な設置がほぼ休止状態にある。「あらゆる物事が数ヶ月ほど遅れるでしょうが、機会が無くなるわけではなく、いずれは発生するでしょう」と氏は言い、Altiostar社のサプライヤはサプライチェーンに大きな遅れを見せていないと補足した。

「当社の目標は、今年は3~5 件ほど更なる商業展開を行うことです」とDahod氏は言う。Altiostar社の収益で4Gが占める割合は今後18ヶ月は変わらないと思われるが、米国のように5Gの展開がすでに始まっている市場では、取引を獲得する機会は十分にあると氏は述べている。

「現在米国にある(5G)ネットワークは、ミリ波、サブ6GHz帯、(CBRS(Citizens Broadband Radio Service)帯)で展開すべきもののごく一部に過ぎません。まだまだ行われていない展開が膨大にあるのです」

Altiostar CEO: Open RAN Will Dominate in 3 Years

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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