エンタープライズクラウド市場は第4四半期もアマゾンウェブサービス（AWS）が支配したが、マイクロソフトとGoogleが継続的に成長しており、AWSの長期にわたる支配を揺るがす可能性があるという。複数のアナリストが報告した。

調査会社の米Synergy Research Group（SRG）とシンガポールのCanalysは第4四半期の総市場規模について、クラウド市場として初めて500 億ドル（約5兆7,500億円）を超え、過去最高を記録したと報告した。SRG社によると昨年比で36%の増加だという。Canalys社も前年比34%増と近い数字を報告しており、こうした数字を裏付けている。

SRG社によると、AWSの市場シェアは33%で変わらず、マイクロソフトとGoogleがそれぞれ21%、10%で2位、3位を維持した。また、主要3社の後にはアリババ、IBM・Kyndryl、セールスフォース、テンセント、オラクルが続き、合わせて市場シェア約18%を占めた。最後のグループはチャイナテレコム（中国電信）、チャイナユニコム（中国联通）、ファーウェイ、富士通、NTT、米Rackspace、独SAPで、それぞれ市場シェア約1%を獲得している。

上位の顔ぶれはここ数年あまり変わっていないが、SRG社のチーフアナリストであるJohn Dinsdale氏は「市場シェア争いはますます面白くなってきています」と書いている。

Dinsdale氏によると、アマゾンが市場全体よりも速いペースで成長し、大きなリードを保っている一方で、マイクロソフトやGoogle社、アリババはいずれもアマゾンを上回るペースで成長しているという。

マイクロソフトは2017年から市場シェアを9ポイント近く伸ばして21%とし、アマゾンとの差を11ポイントに縮めた。

クラウド大手の市場シェアが拡大したことで、小規模な競合が入り込む余地はほとんどなくなっている。

「Google社とアリババも市場シェアを伸ばし続けていますが、中小規模のクラウド事業者によるロングテール部分を見ると、全体として売上は着実に伸びているものの市場シェアは減少しています」。Dinsdale氏は述べている。「市場の上げ潮によってあらゆる船が運ばれていますが、他よりも迅速に運ばれている船があるようです」

デジタル変革が市場の成長を推進

Canalys社のレポートによると、クラウドインフラサービスについては用途の多様化が見られ、特に医療や公共部門でその傾向が顕著だという。レポートの著者らによると、現在はデジタル変革が進められているなど、パンデミックの影響によってクラウドサービスへの需要が高まっていることもあり、こうした成長パターンはそれほど驚くべきものではないという。

Canalys社によると、2021年のクラウド市場の総規模は2020年から35％増加し、1,917億ドル（約22兆円）に達したという。SRG社の調査では37%増の1,780億ドル（約20兆円）としている。

「すでに大規模な市場が出来上がっているにも関わらず2021年の市場成長率が2020年を上回ったという事実は、クラウドサービスが持つ価値と魅力を明確に証明しています。エンタープライズ企業は現在、自社のデータセンターにかけた費用の2倍の額をクラウドサービスに費やしています」。Dinsdale氏は述べている。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/amazon-bests-microsoft-google-in-cloud-market-battle/2022/02/