世界のITリーダー、AI導入に「備えていない」=米AMD調査報告
米AMDによる最新の委託調査で、人工知能(AI)を導入した企業等では、生産性や効率性、セキュリティが向上し、意義のある結果となっていることがわかった。一方、AI業界には急激な変化が起きやすく、導入計画を立てている組織が少ないことが普及の阻害要因になっているようだ。
同調査は世界のIT部門のリーダー2,500人を対象に実施、回答者の46%が「所属する企業・団体はAIの導入に備えていない」と答えている。また、44%が「AIの導入を1~5年後の優先事項とする」と回答、「年内の優先事項とする」という回答は19%にとどまった。
「来年にはAI導入を優先事項とするというリーダーが全体の約半分にとどまったのは、非常に驚くべき結果でした」。AMDの商用クライアント・ワークステーション担当ディレクター、Matt Unangst(マット・ユナングスト)氏が米SDxCentralの取材で語った。「AIを取り巻くイノベーションの速度を考えると、大きなリスクです――AIの導入に重点を置いていない企業・団体は、同業者に後れを取ることになるかもしれません」と述べている。
準備不足の原因の一端はAIの経験不足にある。回答者の半数以上が最新のAIによる自然言語処理アプリケーションをまだ試したことがないと答えている。
調査では、AIの広範な導入が進まない原因が他にも多数明らかになった。コンプライアンス上の懸念やインフラが必要になることなど、「いずれももっともな」理由だとUnangst氏は指摘する。一方、AIの主流化が進んでいくことから、IT部門のリーダーは「ふさわしい」AIツールやAI企業との提携に「意図的な」投資をしていかなくてはならない、とも語った。
AIへの投資を「すぐにも始めるべき」
「(かなりの数の企業・団体が)5年間の中でも最後の方になるという予測をされていますが、当社としましては、(そうした組織に対しても)AIの導入を可能にするシステムや製品にすぐにでも投資を始められるよう、ぜひともお勧めするものです」と氏。「AIのワークロードの効果的かつ効率的な実行を支える、適切なインフラ等がそうです」
また、従業員数が500人未満の小規模な組織については、迅速な動きができることから、AIの導入を今後6か月以内の優先事項とすることもありそうだ、と補足した。従業員が5,000人を超える大手では長期のスケジュールとなることが予想されるため、その差は大きい。
AI導入を妨げてきた主な要因の中には、すでに解消されたものもある。AI技術を導入するメリットに対するリーダーの認識は高まった。調査では、ITリーダーの68%が「AIによって仕事を回す効率が上がる」、67%が「AIによって従業員の作業効率が上がる」という項目に同意している。「IT部門のリーダーの間で、AIへの懸念がありながらも、メリットに対する期待が非常に大きなものとなっていることがわかりました。嬉しいことです」とUnangst氏は話している。
また、すでにAIを優先事項にしていると答えた回答者のうち、90%がAIによって職場の効率が改善したと答えている。「AIには多くの可能性があります。従業員の日々の体験をどのように変えられるかに着目した場合などは、それこそ多くの可能性が見つかるでしょう」と氏。AI開発支援ツール「Copilot」に関するマイクロソフトの計画を引き合いに語った。
例として、「AIモデルをローカルで実行することでノートPCの電力効率を高め」、パーソナライズされたセキュアなユーザー体験を創出することもできそうだという。「従業員の生産性が向上することになります。働く場所を選ぶこともありません」と説明した。
SDxCentral のレポーター。
データセンターのテクノロジーとビジネスケース、環境持続可能性、クラウドネイティブのエコシステムを担当している。
愛犬コビーとデンバーに住んでおり、一緒に世界一の散歩をする。
連絡先: echervek@sdxcentral.com
Twitter: @emmachervek
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