AIの到来に伴い、開発者のスキルアップをどう図るか

生成AI(ジェネレーティブAI)スキルに対する活発な需要は今年、20倍に増加した。調査によると、スキルアップとリスキリングが多くのIT組織にとっての解決策の1つになりそうだまた、AIはソフトウェア開発においても便利であるにもかかわらず、熟練した開発者の必要性はさらに高まるばかりだという。
米調査会社ガートナー(Gartner)が最高データ責任者(CDO)を対象に行った2023年の調査によると、人材不足はデータアナリティクスに関する取り組みを成功させるための主な障害となっている。アプリケーション開発基盤を提供する米OutSystems のデベロッパー担当バイスプレジデント、Miguel Baltazar(ミゲル・バルタザール)氏はSDxCentralに「まさに常軌を逸したニーズです」と語った。
しかし、熟練した開発者の人材プールを拡大することは、言うは易く行うは難しである。高度なITデータアナリティクスのスキルを持つ人材を見つけるのは常に困難であり、「蔓延し、繰り返し発生する」問題となっているとガートナーのアナリストは述べている。
さらに、調査では、変化を嫌う文化やトレーニングの不足が、データアナリティクスプログラムの成果を阻害していることが分かった。
AIの人気の高まりも、開発者のニーズの増大に影響している。「AI技術には、AIによって生成されたコードの可視化、インターフェイスやビジュアルグラフィックスの生成、および 「大量のデータから学習する能力」など、「非常に優れたいくつかの機能」が備わっているものの、必ずしも「開発者に破壊的な影響を与える」運命にあるわけではない、と氏は語った。
AIツールはコードの生成やアプリケーションの構築に役立つが、それでも人間の手が必要であることに変わりはない。「アプリケーションが正しいかどうかを実際に検証し、微調整を行う人が必要です。AIの性能も、学習いかんに加え、人が与えるプロンプトによって決まります」と氏。「裏側では常に少しの人間が必要なのです」
AIはまた、アプリケーションに関するナレッジの伝達の問題を悪化させる。従来のハイコードソフトウェア開発では、「プログラマーによってアプリケーションに大量の複雑かつ属人的なコードが挿入されます。(他の人が)理解しようとする際には、かなりの量の技術的負債が生じ、長い時間がかかり、(たびたび)アプリケーションの書き換えが必要になるレベルに達します」と氏は述べている。
AIが加われば、この問題は飛躍的に増大する。
「今では、アプリケーションにはプログラマー独自のコードが入れられているのではありません。人工知能によって生成された、本人も理解していないコードが配置されているのです」と氏。熟練した開発者不足の課題はAIによって解決されるものではなく、そのように単純に信じてしまうと、IT組織を後退させる恐れがある。
この点、新人もベテランも、開発者は多くのことを学ばなければならない。実際、「やるべき学習については、やるべきことがまだたくさんあります」と氏は指摘した。
スキルアップとリスキリング
コンピュータサイエンスの伝統的なバックグラウンドを持つスキルの向上した開発者は、テクノロジーの変化に対応するために、これまでにも常に再学習し、自己改革を行う必要があった。AI がこれまでにもたらした変化は、ユーザーインターフェイスの定義とテストの自動化に影響を与えている。AIの他のより「難解な」実用例が登場すれば、まもなく「現在のコンピュータサイエンスに基づく開発者は急速に時代遅れになってしまうでしょう。彼らは追いつかなくてはいけなくなります」と氏は語った。
一方、リスキリング組の開発者には、例えば科学、技術、工学、数学、芸術、文学などの分野からソフトウェア開発にシフトした専門家等がいる。氏によると、このような人々は「モチベーションが高く」、「自分たちが解決しようとしている問題をよく認識している」傾向があるという。
伝統的な開発者はコードに没頭しやすく、ビジネスのためのアプリケーションを構築していることを忘れがちだ。しかし、リスキリング組は「問題を理解し」、「人々と交流するのが得意」であり、特にOutSystemsのようなローコード開発プラットフォームの助けを借りている場合にそのことが分かると氏は指摘した。
どうやって始めるのか
既存の従業員のスキルアップとリスキリングの両面において、責任の多くは、貴重なリソースである人材への投資をする雇用者にある。氏は、「企業は従業員をコンフォートゾーンから押し出し、こうした能力を開発させる必要があります」と述べた。
現代のビジネスでは、「差別化要因を構築できなければならない」と氏は主張する。バナナを売る会社であれ、道路を舗装する会社であれ、独自のソフトウェアを構築する必要がある。そして、GoogleやAppleのような企業は、「自社製品に協力してくれる非常に優秀な開発者全員」を雇おうと躍起になっており、スキル不足は悪化の一途をたどるだろう。
Gartnerは、組織が開発者のリスキルとスキルアップのために次の手順に従うことを推奨している。
1. 必要なスキルを特定、グループ分けする。
2. 現在の人材およびスキルギャップを洗い出す。
3. 必要なスキルを「必須」の役職に割り当てる。
4. 必要なスキルを盛り込んだ職務記述書を作成する。
5. 職務内容に照らして現在のチームを評価する。
6. スキル開発ポートフォリオを構築する。
7. スキル開発戦略を策定する。
8. プログラムの展開と監視。

SDxCentral のレポーター。
データセンターのテクノロジーとビジネスケース、環境持続可能性、クラウドネイティブのエコシステムを担当している。
愛犬コビーとデンバーに住んでおり、一緒に世界一の散歩をする。
連絡先: echervek@sdxcentral.com
Twitter: @emmachervek

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