サイバーセキュリティ分野のスタートアップ50社=ユニコーン企業となるか
英調査会社GlobalDataでは、市場評価額が10億ドル(約1,100億円)を超えるユニコーン企業になれる可能性を秘めたサイバーセキュリティ分野のスタートアップ50社をリストアップしている。米Deep Instinct、米BetterCloud、イスラエルのGuardicore、米Swimlaneなどがその例だ。
「私たちの世界はCold War(冷戦)ならぬCode War(コード戦争)の時代に入りつつあります。あらゆるデジタル機器はどんなに小さくとも(武器として)使われうるし、サイバー攻撃が世界中で急増する、そんな時代です。そのようななかで、投資家はサイバーセキュリティのスタートアップを支援するために多額の投資を行っています」。GlobalData社で金融市場部門の実務責任者を務めるApoorva Bajaj氏はあるステートメントで述べている。
GlobalData社は、将来のユニコーン企業の1社として、エンドポイントセキュリティソリューションを提供する米Deep Instinctを挙げている。ベンチャー企業データベース「Crunchbase」によると、ディープラーニングを利用したサイバーセキュリティを提供するベンダーで、米ブラックロックや英Chrysalis Investmentsをリード投資家とするシリーズDラウンドで2億5910万ドル(約290億円)の資金を調達したという。
BetterCloud社も米国を拠点とするスタートアップ企業で、提供するのはIT担当者向けのSaaS管理プラットフォームだ。SaaSアプリケーションの利用を発見するほか、管理・保護を可能にする。最近では「BetterCloud Discover」という新しい集中型プラットフォームを発表している。
クラウドセキュリティ関連のスタートアップについては、特に取り上げて紹介されているのはイスラエルのGuardicore社だ。データセンターやパブリッククラウド向けにマイクロセグメンテーションとワークロード保護のソリューションを提供しており、Crunchbaseによると5回の資金調達ラウンドで1億600万ドル(約120億円)を調達したという。
UTM(統合脅威管理)分野では、セキュリティオートメーションの米Swimlaneがユニコーン企業になるだろうというのがGlobalData社の予測だ。同社は昨年、インシデント対応プラットフォームの米Syncurityを買収している。Syncurity社では、脅威の修復を自動化するなど、あらゆるセキュリティ運用(SecOps)要件への対応を支援するオーケストレーションプラットフォームを提供している。
このほか、米WhiteSource、米GreatHorn、米Bitglass、イスラエルのCynet、米SpyCloud、米Siemplify、米Dragosなどのセキュリティベンダーがランクインしている。GlobalData社によると、選ばれたスタートアップは50社だが、126社が最終選考に残ったという。
リストには7つのサブグループがある。アプリケーションセキュリティ、クラウドセキュリティ、データセキュリティ、エンドポイントセキュリティ、ID管理、UTM、ネットワークセキュリティの7つだ。
「アプリケーションセキュリティ分野とネットワークセキュリティ分野のスタートアップが数と投資額の面で先頭を走っています」。Bajaj氏はSDxCentralへのメールで述べている。また、パンデミックの影響でほとんどの人がリモートで仕事をするようになったことを受けて、ID管理製品が伸びているという。このため、これに関連したID攻撃が増えている状況だ。
サイバーセキュリティ市場への資金流入
GlobalData社の最新レポートによると、サイバーセキュリティ業界では今年の第2四半期、ベンチャーキャピタル(VC)によるスタートアップ企業への投資が急増し、全世界で209件の取引が行われ、81億ドル(約8,910億円)以上の投資が行われたという。また、米Transmit Security、カナダのTrulioo、イスラエルのForterといったスタートアップが3億ドル(約330億円)から5億5千万ドル(約610億円)の資金を調達したことも紹介している。
「VC案件が増加しているのに加えて特許取得件数も大幅に増加しており、好意的な報道がなされ、上場企業の提出書類にはサイバーセキュリティに関する記述が増えています。この技術はVCと企業の両方にとって大きな関心事であることがわかります」とBajaj氏。
今年の上半期、サイバーセキュリティ市場では過去最高額のIPO(米SentinelOne)と過去最高額の資金調達ラウンド(米Lacework)があった。サイバーセキュリティのユニコーン企業であるSentinelOne社は6月30日に110億ドル(約1兆2100億円)近い評価額で上場を果たし、2019年に米CrowdStrikeが株式公開した際の67億ドル(約7,370億円)という記録を超えた。Lacework社は1月、5億2,500万ドル(約580億円)のシリーズD資金調達を完了した。当時のCEOのDan Hubbard氏によれば、これによって同社の評価額は「10億ドル(約1,100億円)をゆうに超える」ことになったという。
また、今年はSASE(セキュアアクセスサービスエッジ)のユニコーン企業である米Netskopeが7月上旬に3億ドル(約330億円)の資金調達ラウンドをクローズし、評価額は75億ドル(約8,250億円)に急上昇している。
「企業がリモートワークモデルを採用していることで、COVID-19のパンデミックはこの業界には追い風となっています」とBajaj氏は言う。「クラウドベースのバックアップがアプリケーションやデータを保存するためのありふれた選択肢になってきており、さまざまな新しいオンラインの脅威が出現する可能性があります。サイバーセキュリティへの投資は不可欠になってくるでしょう」
https://www.sdxcentral.com/articles/news/are-these-vendors-future-cybersecurity-unicorns/2021/09/
Nancy Chenyizhi Liu is an Editor at SDxCentral covering security, data center/networking, and cloud native technologies. She is a bilingual communications professional and journalist with a Bachelor of Engineering in Optical Information Science and Technology, and a Master of Science in Applied Communication. She has nearly 10 years of experience reporting, researching, organizing, and editing for print and online media companies. Nancy can be reached at nliu@sdxcentral.com.
Nancy Chenyizhi Liu is an Editor at SDxCentral covering security, data center/networking, and cloud native technologies. She is a bilingual communications professional and journalist with a Bachelor of Engineering in Optical Information Science and Technology, and a Master of Science in Applied Communication. She has nearly 10 years of experience reporting, researching, organizing, and editing for print and online media companies. Nancy can be reached at nliu@sdxcentral.com.
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