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文:Dan Meyer

AT&T、ノキアのオープンRANへの関心は薄いが、光ファイバーは重視

AT&T、ノキアのオープンRANへの関心は薄いが、光ファイバーは重視

ノキアは米通信大手AT&Tと光ファイバーに関する重要な契約を締結した。これは、光ネットワーキング分野での地位を強化するという同社の動きを反映したものであり、重要な通信事業者であるAT&Tとの関係を維持する一助となる。

この契約は、ノキアがAT&Tに光ファイバー「ソリューション」を提供し、AT&Tのネットワーク拡大とアップグレードをサポートする5年間の契約である。契約には、ノキアのLightspan MFプログラマビリティハードウェアと、最大100Gb/s(100G)の速度でパッシブ光ネットワーク(PON)技術をサポートするAltiplanoアクセス・コントローラ・プラットフォームの活用が含まれる。

同社は光ネットワークコンポーネントに対するSDN制御を強化する取り組みの一環として、2017年にLightspanおよびAltiplanoプラットフォームを発表した。これには、物理層パラメータの設定に対するソフトウェア制御が含まれる。

このAT&Tとの契約は、ノキアが23億ドルで小規模な光ネットワークの競合企業であるインフィネラを買収する動きを見せたわずか2ヶ月後に行われた。この買収により、ノキアの光ネットワーク事業規模は75%拡大する予定で、同社はこれにより「製品開発のスケジュールと対応製品の幅を拡大することができます」と述べている。

米Dell’Oro Groupの副社長であるJimmy Yu(ジミー・ユウ)氏は当時、この買収によりノキアが中国Huaweiや米Cienaと並ぶ光ネットワーク市場のビッグ3の一角を固めたと述べた。HuaweiやCienaそして強化されたノキアの3社が、中国市場(Huaweiが圧倒的なシェアを持つ)を除いた世界の光ネットワーキング市場の約70%を支配すると同氏が説明した。

「その意味で、これはかなり重要な買収です」と氏は語った。

その重要性が最も顕著に表れるのは北米で、インフィネラが売上の約60%を同地域で絞めている。これには、Webスケールプロバイダーとの強力な関係も含まれており、ノキアはこれを「市場で最も急成長しているセグメント」と指摘している。

AT&Tの光ファイバー計画の拡大

AT&Tの拡大する光ファイバープランに関連して、今回の最新のAT&Tとの契約に含まれるノキアの製品およびプラットフォームは、米国政府の「Build America Buy America Act(BABAA)」に準拠している。このプログラムは、米国内で製造された製品やサービスに資金を投資することを目的としている。ノキアは今年初め、米国輸出入銀行と「包括協定」を締結し、これによりノキアのパートナーに対して、米国内での通信機器製造を支援するための資金提供が行われる。

AT&TはBABAAに準拠した機器について、他のベンダーとも同様の取り決めをしている。これには、2022年に光ファイバーケーブルメーカーのCorningとの長期契約が含まれており、Corningがアリゾナ州に新施設を建設することを支援するものであった。また、両社は、5万人を対象に光ファイバー・ネットワークの設計、設置、保守に関する「光ファイバー・トレーニング・プログラム」を創設している。

より広い視点で見ると、AT&Tとノキアの契約は、キャリアの急増する光ファイバーへの関心を拡大するものである。これらの取り組みは、同社の5Gネットワークと並んで、DirecTVやWarnerMediaの資産の売却後に再生を図る中核となっている。

AT&Tの光ファイバー・ネットワークは、第2四半期末で合計2,780万の拠点をカバーしており、同社は2025年末までに21州の有線ネットワークエリア内で3,000万か所以上の拠点に到達する計画を発表している。また、AT&Tの光ファイバー事業には、ベンチャーキャピタル会社BlackRockとの合弁事業も含まれており、2022年後半に立ち上げられたこの事業は21州の有線ネットワークエリア外での光ファイバーフットプリントの拡大を目標としている。

AT&TのCFO(最高財務責任者)のPascal Desroches(パスカル・デロッシュ)氏は、最近の決算説明会で、「我々は光ファイバーへの投資が予想を上回るリターンを得られており、当初の構築目標をさらに訳1,000万から1,500万拠点拡大する可能性があります」と付け加えた。

AT&Tの経営陣は、急増するブロードバンド需要を満たすには光ファイバーが最もコスト効率の良い方法であると繰り返し述べてきた。

「私たちが無線と光ファイバー・ネットワークを通じて提供しているデータトラフィックを見てみると、ネットワーク全体でトラフィックが5倍に増加すると予想しています」とAT&TのCOO(最高執行責任者)、Jeff McElfresh(ジェフ・マッケルフレッシュ)氏は2022年のバンク・オブ・アメリカの投資家向けイベントで述べた。「そして、どのようなラストマイルアーキテクチャであれ、これには大量の光ファイバーが必要になるでしょう。その点についてははっきりと伝えてきました」

ノキア、AT&Tのネットワークで光ファイバー事業の一角を確保

AT&Tとの光ファイバー契約は、ノキアにとっても大きな成果だ。というのも、昨年末に発表されたAT&Tの数十億ドル規模のオープン無線アクセスネットワーク(RAN)推進計画からノキアが除外されたからだ。AT&Tは、オープンRANの大部分をノキアの競合であるエリクソンに任せており、これによりノキアがAI&Tから重要なオープンRANビジネスを獲得する道はほぼ閉ざされていた。

その動きは、ノキアが2021年にAT&Tと締結した機器契約の終了も示唆していたが、ノキアは最近、その契約に関連する前倒しの支払いとして1億6,300万ドルを受け取ることができた。

ノキアは米調査会社ABIリサーチ社によって、イノベーションと実装の指標に基づく業界の主要なオープンRANベンダーの1社に選ばれていたにもかかわらず、除外された。

ノキアの経営陣は、ヨーロッパでのさまざまなRAN契約や、多くの西側諸国が通信インフラから中国製機器を排除しようとしている状況を踏まえ、さらに多くのビジネスチャンスがあることを強調し、今後の通信機器ビジネスに対しさらに自信を深めている。

AT&T might not want Nokia open RAN, but does love its fiber

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

Dan Meyer
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