急速に拡大するエンタープライズクラウド市場では第2四半期、Amazon Web Services (AWS) が引き続き圧倒的優位に立った。規模は劣るものの成長著しい競合、マイクロソフトやGoogleよりも大幅な市場シェア優位を保っている。

調査会社の米Synergy Research Group（SRG）とシンガポールのCanalysは、いずれも第2四半期の市場支出額が400億ドル（約4兆4,120億円）を超えたという調査結果を発表した。両社の推定値の差は50億ドル（約5,510億円）に満たない。

SRG社によると、第2四半期、企業によるクラウドインフラサービスへの支出額は420億ドル（約4兆6,320億円）だったという。第1四半期から27億ドル（約2,980億円）の増加で、前年同期比では39％の増加だ。同社によると、過去12カ月のクラウド市場の売上高は1,520億ドル（約16兆7,630億円）に上るという。

SRG社のチーフアナリスト、John Dinsdale氏はレポートの中で、「普通、これほど巨大かつ急速に進展している市場で成長率が実際に上昇するというのは考えにくいことですが、今回の調査ではそれが明らかになりました」と述べている。

SRG社のレポートによると、AWSの市場シェアは前四半期比で10％伸び、33％になったという。第2位はマイクロソフト、第3位はGoogleで、シェアはそれぞれ20%、10%となった。

アリババ、IBM、Salesforceなどのクラウド事業者20社が合計28%のシェアを占め、残りは小規模なサービス事業者が占めている。

「小規模で焦点を絞ったクラウド事業者には多くのチャンスが残されていますが、大手3社の目を見張るような数字から目をそらすのは難しいかもしれません」とDinsdale氏は述べている。

第2四半期のクラウド市場の成長率は36％、サステナビリティへの取り組みが本格化

Canalys社によると、世界のクラウド市場規模は第2四半期に36%成長し、470億ドルに達したという。第2四半期はSRG社と同じ上位3社（AWS、マイクロソフト、Google）が市場シェア61％を占めたと報告している。

Canalys社によれば、AWSが市場シェア31％、年間売上成長率37％でトップ。第2位はマイクロソフトで、シェアは22％、年間売上高は51％増だとした。3位はGoogleで、シェアは8％と少ないが、売上は前年比66％増と最も伸びている。

売上高の増加以外にも、クラウド市場で環境の持続可能性に対する取り組みが増加している旨を報告している。Canalys社のリサーチアナリスト、Blake Murray氏は次のように述べている。「クラウドサービス事業者運営のデータセンターが提供するデジタルサービスのエネルギー使用とCO2排出に対する意識が高まっています。一方で、主要な事業者各社は環境回復の取り組みにおいて最前線に立ってもいます」

クラウド市場で持続可能性に関する目標が高まっているのは、地球と業界全体にとって良いニュースだ。Murray氏は次のように述べている。「こうした企業が活用しているベストプラクティスやテクノロジーは、徐々に業界全体に広がっていくでしょう。また、顧客企業は環境に対する責任を軽減し、持続可能性の目標を達成するために、ますますクラウドサービスを利用するようになると思われます」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/aws-microsoft-google-dominate-40b-q2-cloud-market/2021/08/