IT
文:Chris J. Preimesberger

AWSの年次イベント「re:Invent 2024」が閉幕=新ツールが多数登場

AWSの年次イベント「re:Invent 2024」が閉幕=新ツールが多数登場

世界最大のクラウドコンピューティングソフトウェアメーカーが開発者に新たな選択肢を提供

12月の初め、Amazon Web Servicesの年次イベント「re:Invent 2024」がラスベガスで開催された。新しい開発ツールやサービスがたくさん発表され、クリスマスが3週間早くやってきたという人もいることだろう。開発者がプレゼントの包みを開いて目にするのは、新しい選択肢のワンダーランドだ――世界最大のクラウドコンピューティングソフトウェアプロバイダーによる提供が始まっている。

2日目の基調講演には、今年CEOに就任したMatt Garman(マット・ガーマン)氏が登壇した。豊富に取りそろえた新製品を次々に紹介し、AWSは開発者コミュニティとAIの活用、顧客中心主義、独創性を重視していると強調した。

「AWSの開発者コミュニティは実に途方もない発展を遂げています」と氏。ベネチアン・カンファレンスセンターを満杯に埋めた技術者に向けて語った。「今ではユーザーグループが600個にもなり、120か国に広がりました。AWSコミュニティ全体では世界中に何百万人という参加者がいます。そして、このコミュニティの素晴らしい点の1つは、皆さんからフィードバックを頂き、じかに製品に反映できることです。本日この場で発表するのは、そうした影響を受けて構築したものです」

生成AIのスタートアップに投資

生成AIは2020年代半ばを特徴づけた技術であり、AWSは同技術へのアクセスを民主化することに力を入れるという。Garman氏は2025年、世界のスタートアップに対してAWSから10億ドルを投資すると発表した。クレジットを提供し、生成AI技術の探究や革新を促進する。

「スタートアップは私たちに革新を促す存在です。彼らはAWSを基盤に技術革新に取り組んでいるのですが、あっという間に行動します。私たちが学ぶことはたくさんあります」と氏。「今の時代は生成AIがありますから、スタートアップをやるのにこれほどエキサイティングな時代はないでしょう。生成AIには全産業に革命的な変化を起こせるだけの可能性があります。考えてみれば、革命的な変化というのはスタートアップが起こすものです」

「ですから、もしあなたがスタートアップを運営していて、どうやって業界を変革しようか真剣に考えているなら、今は素晴らしい時代です」

ソフトウェア関連の目玉発表

AI関連で新たに発表されたものの中でも注目を集めたのが、Amazon Novaだ。Garman氏の説明によると、「幅広いタスクに対応できる最先端のインテリジェンスを備えた、新世代のAI基盤モデル」だという。

Amazon Novaファミリーのモデルには、Amazon Nova Micro(高速なText-to-Textモデル)、Amazon Nova Lite、Amazon Nova Pro、Amazon Nova Premier(入力されたテキスト、画像、動画を処理してテキストを生成できるマルチモーダルモデル)がある。その他、Amazon Nova Canvas(スタジオ品質の画像生成モデル)、Amazon Nova Reel(スタジオ品質の動画生成モデル)がリリースされている。

上記のモデルはいずれもAmazon Bedrockで利用可能になる予定だ。BedrockはユニファイドAPIを介して主要なAI企業とAmazonが提供している高性能な基盤モデルを利用できるマネージドサービスとなっている。

Garman氏はAmazon Bedrockのエージェント機能についても紹介している。さまざまなシステムやデータソースを使用したタスクを実行できる、AIエージェントを作成する機能だ。新機能のマルチエージェントコラボレーションでは、エージェントを何百個も扱う複雑なワークフローをオーケストレーションできるようになった。自動化やインテリジェントな意思決定の領域で新たな可能性を開いている。

進化を続けるS3

2006年にAWSが創業した頃は、SaaSアプリケーションのAmazon S3(Simple Storage Service)を基盤に事業を構築していた。それから18年経った今でも、S3のアップデートは続いている。今回は新機能が発表され、S3はクラウドオブジェクトストアとして初めてApache Icebergをフルマネージドでサポートし、データ分析を高速で行えるようになった。あらゆる規模のテーブルデータを保存・管理できる選択肢にもなっている。

新たに追加されたS3テーブルバケットはIcebergテーブル形式に特化したバケットタイプで、データレイクへのクエリパフォーマンスが3倍に、トランザクションスループットが10倍になっている。

さらに、新機能のS3メタデータを使用すると、データ検出がスムーズになり、ほぼリアルタイムでの実行が可能だという。オブジェクトメタデータやオブジェクトのタグ機能で付与されているカスタムメタデータを自動でキャプチャし、クエリ可能なメタデータとしてS3テーブルに保存するもので、分析時のデータレイク全体の処理速度を高速化する。Garman氏によると、以前から開発者が要望していた機能だという。

データベースが高度化

データベース部門では、Amazon AuroraとAmazon DynamoDBの新機能がリリースされた。SQLかNoSQLかを問わず、ユーザーワークロードをマルチリージョンで実行する必要のあるケースに新たに対応している。また、新たに登場したAmazon Aurora DSQLはサーバーレスの分散SQLデータベースで、高可用性、高度な一貫性、PostgreSQLとの互換性を備え、他社の分散SQLデータベースよりも読み書き速度が4倍速くなっているという。ユーザーはこうした利点を活用したアプリケーション開発が可能だ。

Amazon SageMakerの最新バージョンも発表された。高速なSQL分析やペタバイト規模のビッグデータ処理、データ探索やデータ統合、モデルの開発やトレーニング、生成AIによる支援といった機能が1つの統合プラットフォームにまとまっている。

ハードウェアの発表も

AWSは5年ほど前から独自のプロセッサを作るというアイデアを検討し始め、Inferencia、Trainiumといった深層学習モデルのトレーニング用チップを開発している。AWSの特殊なワークロードに特化したプロセッサを製造し、ユーザーの時間とコストを節約しようという考えだ。

今回はTrainium 2の一般提供が発表された。AWSによるAIトレーニング・推論用チップとしては、これまでで最も高性能な製品となっている。最先端の生成AIモデルをトレーニングする際、導入した際のコストが大幅に低減されるという。

Garman氏は今後について、来年後半にTrainium 3を発売する予定だと話している。Trainium 2との比較でパフォーマンスが2倍、効率が40%向上する見込みだという。Trainium 2も新しく登場したばかりだが、この分野の進歩は速い。

イベント期間中には、Trainium2を搭載したAmazon EC2インスタンスの一般提供も発表された。新たにTrn2 UltraServerも登場している。最新のAIモデルや今後登場するLLM、基盤モデルのトレーニングや導入が可能なハードウェアとなっている。「re:Invent2024」で新たに発表された製品・サービスの全リストは、こちら

AWS unloads its usual ton of new tools at re:Invent 2024

Chris J. Preimesberger
Chris J. Preimesberger

元『eWEEK』の編集長であり、2011年から2021年まで同誌の編集方針を率いた。16年間にわたり『eWEEK』で5,000本以上の記事を執筆し、ソフトウェア開発、データ管理、AI/ML、クラウドサービス、データセンターシステム、ストレージ、IoT、セキュリティなど、多岐にわたる分野での新世代ITのビジネス活用に関する優れた報道と分析で評価される。

2017年2月と2018年9月には、英国の調査会社Richtopiaが分析に基づいて発表した「世界で最も影響力のあるビジネスジャーナリスト250人」に選出された。また、2011年にはSalesforce創設者兼CEOのMarc Benioff氏のプロフィール記事でFolio Awardを受賞するなど、数々の全国的および地域的な賞を受賞している。

以前は、『IT Manager’s Journal』および『DevX.com』の創刊編集者、『Software Development誌』のマネージングエディターを務めた。また、『デイリーニューズ (ロサンゼルス)』のスポーツライター兼コラムニスト、『Peninsula Times Tribune』(パロアルト)の編集者兼テレビ評論家、スタンフォード大学のアシスタントスポーツ情報ディレクターとしても活躍した。1983年以来、AP通信のアシスタントとしても従事しており、現在はシリコンバレー在住。

Chris J. Preimesberger
Chris J. Preimesberger

元『eWEEK』の編集長であり、2011年から2021年まで同誌の編集方針を率いた。16年間にわたり『eWEEK』で5,000本以上の記事を執筆し、ソフトウェア開発、データ管理、AI/ML、クラウドサービス、データセンターシステム、ストレージ、IoT、セキュリティなど、多岐にわたる分野での新世代ITのビジネス活用に関する優れた報道と分析で評価される。

2017年2月と2018年9月には、英国の調査会社Richtopiaが分析に基づいて発表した「世界で最も影響力のあるビジネスジャーナリスト250人」に選出された。また、2011年にはSalesforce創設者兼CEOのMarc Benioff氏のプロフィール記事でFolio Awardを受賞するなど、数々の全国的および地域的な賞を受賞している。

以前は、『IT Manager’s Journal』および『DevX.com』の創刊編集者、『Software Development誌』のマネージングエディターを務めた。また、『デイリーニューズ (ロサンゼルス)』のスポーツライター兼コラムニスト、『Peninsula Times Tribune』(パロアルト)の編集者兼テレビ評論家、スタンフォード大学のアシスタントスポーツ情報ディレクターとしても活躍した。1983年以来、AP通信のアシスタントとしても従事しており、現在はシリコンバレー在住。

記事一覧へ