ジョー・バイデン米大統領が米国国家安全保障電気通信諮問委員会（National Security Telecommunications Advisory Committee：NSTAC）の上層部およびメンバーの再編を発表した。官民双方から新たに10人以上のメンバーを加える計画だという。

NSTACは米国サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁（Cybersecurity and Infrastructure Security Agency：CISA）の下で運営されている。NSTACの任務は政府に対し、米国内の通信ネットワークの操業の健全性（Operational integrity）を確保、維持することを目的とした助言をすることだ。

バイデン大統領は今月初め、米マイクロソフトのセキュリティポリシー担当バイスプレジデント、スコット・チャーニー（Scott Charney）氏が新たにNSTAC委員長に就任することを明らかにした。前任は元AT&T経営幹部のジョン・ドノヴァン（John Donovan）氏で、同職を4年近く務めている。チャーニー氏は以前、ドノヴァン氏の下で同委員会の副委員長を務めていた。

また、以下13名の委員を新たに指名している。

・ルーメン・テクノロジーズ（Lumen Technologies）取締役会・CEO上級顧問、ジェフリー・ストーリー（Jeffrey Storey）氏
・ロッキード・マーティン（Lockheed Martin）軍事宇宙事業担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、ジョナサン・コールドウェル（Johnathon Caldwell）氏
・ヴィアサット（Viasat）共同創業者・会長兼CEO、マーク・ダンクバーグ（Mark Dankberg）氏
・コムキャスト（Comcast）副社長兼最高情報セキュリティ・製品プライバシー責任者、ヌープール・デイヴィス（Noopur Davis）氏
・シーメンス（Siemens）社長兼CEO、バーバラ・ハンプトン（Barbara Humpton）氏
・コックス・コミュニケーションズ（Cox Communications）最高情報セキュリティ責任者（CISO）、キンバリー・キーヴァー（Kimberly Keever）氏
・ベライゾン（Verizon）グローバルネットワーク・技術担当プレジデント、
カイル・マラディ（Kyle Malady）氏
・Google Cloudのマンディアント（Mandiant）部門CEO、ケヴィン・マンディア（Kevin Mandia）氏
・シスコ最高執行責任者（COO）、マリア・マルティネス氏
・AT&T最高執行責任者（COO）、ジェフ・マッケルフレッシュ（Jeff McElfresh）氏
・トレリックス（Trellix）CEO、ブライアン・パルマ（Bryan Palma）氏
・TモバイルUS（T-Mobile US）技術担当プレジデント、ネヴィル・レイ（Neville Ray）氏
・ラピッドセブン（Rapid7）CEO、コリー・トーマス（Corey Thomas）氏

これまでのメンバーには、インテルCEOのパット・ゲルシンガー（Pat Gelsinger）氏、アマゾン最高セキュリティ責任者（CSO）スティーブ・シュミット（Stephen Schmidt）氏、クアルコム会長のマーク・マクローフリン（Mark McLaughlin）氏、ブロードコム（Broadcom）社長兼CEO、ホック・タン氏などがいる。

通信セキュリティの喫緊の課題

今回の再編は、連邦政府が米国内の通信情報インフラ強化を進めるなかで発表された。

最近では米連邦通信委員会（FCC）が新規則を採択、米国内の通信ネットワークにセキュリティ上の脅威をもたらすと判断したファーウェイ、ZTE、その他数社の中国系通信ベンダーが提供するネットワーキング機器等の国内使用を禁止している。

さらに最近では、FCC委員長のジェシカ・ローゼンウォーセル（Jessica Rosenworcel）氏が米国の通信事業者による中国ベンダー製ネットワーク機器回避の手段としてオープンRAN標準の使用を訴えている。

ローゼンウォーセル氏は米シンクタンクの戦略国際問題研究所（Center for Strategic and International Studies：CSIS）が最近開催したイベントでスピーチを行い、「取り組みは現在も進めています。ですが、キャリア各社がこれをいつ完了できるかは、償還プログラムに対して議会からのさらなる資金提供があるかどうかにいくらか左右されます――重要な要素です」と話している。

Biden Reconfigs Telecommunications Security Committee