BroadcomがVMwareパートナープログラムの詳細を発表

米Broadcomが「VMware Cloud Foundation」(VCF)プラットフォームの新たなパートナー戦略を発表した。物議を醸しているVMware事業の収益力強化を加速させるとともに、クラウドエコシステムやパートナーエコシステムが抱いている懸念の解消を目指す。
Broadcomがリニューアルした「VMware Cloud Service Provider」(VCSP)プログラムの目的は、クラウド事業者やサードパーティのリセラーによるVCFプラットフォームの提供、運用を可能にすることだ。VMwareでは買収以前にもVCSPと呼ばれるプログラムを提供していたが、Broadcomが690億ドルで買収を完了して以来、棚上げになっていた。
新しいVCSPは、2月上旬に開始した新パートナープログラム、「Advantage Partner Program」の一部 に当たる。同プログラムの中でも、VCSPでは認定パートナーによるVCFおよび付随するクラウドサービス、マネージドサービスの提供が可能になった。
Broadcomでパートナー/マネージドサービス/ソリューションのGTM戦略を担当するバイスプレジデント、Ahmar Mohammad(アマー・モハマド)氏によるブログ記事によれば、VCFの一貫性の向上およびGTM戦略に対応したプログラムになっているという。
「すべてのVCSPパートナーは、顧客がオンプレミス環境に導入するのと同じVCFソフトウェアをベースにサービスを提供できるようになります。環境ごとに異なるバージョンのVCFを利用する必要はありません。常に同一のVCFスタックをベースとしたサービスを提供することで、パートナー各社にはインフラよりもマネージドサービスや専門分野での差別化に注力していただけるようになります」
VCSPプログラムのサービスはすべて、物理コア数を単位とするサブスクリプションライセンスで提供される。Mohammad氏によれば、これによってエンドユーザーに一貫性のある体験を提供するとともに、パートナー各社による「顧客に提供する付加価値サービスでの競争、差別化」が可能になるという。
VCFの既存顧客はオンプレミス環境とVCSP環境の間でライセンスを移行することもできる。「自社管理からマネージドサービスのアウトソーシングへの移行を考えている顧客に向けて、パートナーが支援を提供することも可能になります」
新しいVMwareプログラムの階層
Mohammad氏は記事の中で、Advantage Partner Programの特色についても詳しく紹介している。同プログラムの立ち上げによって、従来のVMwareプログラムのパートナーは一部が除外される結果となった。
「VCSPプログラム全体の規模を縮小することで、世界中の顧客に対して、常に変わらないVCFベースのサービスを提供できる、適切なパートナーを確保できるようになります。また、VCSPパートナーにとっても、サービス提供を許可されている地域でVCFに関する商機を追求しやすくなるでしょう」
VCSPは3階層で運営される。ピナクル(Pinnacle)パートナー、プレミア(Premier)パートナー、登録(Registered)パートナーの3つだ。
ピナクルパートナーには高い基準が求められるが、Broadcomによる法人顧客へのサービス販売支援が提供される。Hock Tan(ホック・タン)CEOは大企業のアカウントに対するVMwareの売上拡大に注力すると繰り返し述べており、この階層がその中核を担うことになりそうだ。
プレミア階層には、「VMware製品の高度なプラクティスを蓄積し、安定した顧客満足の実績のある」地域特化型のパートナーなどが含まれる。登録パートナーはAdvantage Partners Programの最低要件を満たすパートナーで、顧客のVCFクラウドサービスには上位階層のパートナーを通じてアクセスする。
Broadcomは併せて「VMware Cloud Commerce Managers」(CCM)も発表している。VCSPのピナクル/プレミアパートナーに対して月次請求を含む注文プロセスの処理を担当するほか、プレミアパートナーと協力してVCFサービスの管理と導入を行う事業者となっている。
Advantage Partner Programに参加できないリセラー向けには「ホワイトラベル」と呼ばれるモデルを提供し、ピナクル/プレミアパートナーを介して業務を行えるようにしている。Mohammad氏はこれについて、「VCFのエンタイトルメントを自社でブランド化せずに他のVCSPパートナーに提供するもので、VCSPパートナー側のブランド名を使い、既存のハードウェアを利用して顧客に提供できるようにするもの」だと述べている。
新しいプログラムの基準を満たせなかった、従来の販売パートナーが取り残されてしまうのではないか、という懸念を解消するために用意されたモデルと思われる。

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

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