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文:Sean Michael Kerner

米Broadcom、400GイーサネットNICを発表=AI要件に対応

米Broadcom、400GイーサネットNICを発表=AI要件に対応

米半導体メーカーのBroadcomが、新しい400GイーサネットNIC (ネットワークインターフェイスカード)ファミリー「BCM57608 」を発表した。データセンターやクラウド環境におけるAI /機械学習ワークロードの要求に特化した設計になっている。

BCM57608ファミリー は、帯域使用率が非常に高く短時間のデータの急増が断続的に発生し長時間のジョブ実行が発生するといった、AIワークロードに特徴的な、今までにないネットワーク要件に対応することを目的とした製品群だ。製造には5nmプロセスを使用し、サーバーマザーボードのPCIe 5.0スロットに適合する。400Gbpsのスループットと大規模なRDMAに対応し、AIワークロードに最適な低消費電力を実現した。伝送距離についても、Broadcomの112G SerDes技術と低ゲージの30AWGケーブルを用いたパッシブ銅線ケーブルを使用、最大4メートルに延長している。これによりケーブル配線コストの削減が可能になっている。

400Gの需要は少なくとも2022年から着実に増加していた。生成AIの成長に伴い、需要はさらに加速している。

「業界初の5nmプロセスによる400G Ethernet NICです」 。Broadcomのデータセンターソリューショングループ担当バイスプレジデント 兼ゼネラルマネージャー、Jas Tremblay (ジェイス ・トレンブレイ)氏がSDxCentralに語った。

AIに400Gが必要な理由

ビデオなどのデータトラフィックも、より高い帯域幅の必要性を押し進めていたが、AIはその必要性をさらに押し上げている。

「LLMワークロードは数百、数千、いずれはさらに多くのノードに分散する必要があるため、AIネットワーククラスターには大量の帯域幅と接続が必要です」と氏。

また新しい400G NICは、主要OEM のAIサーバーやハイパースケールのAIサーバーに導入されるという。いずれは汎用コンピューティングサーバーにも400Gが必要になる、と同氏は予想している。

400G NICは柔軟な統合を可能にするため、さまざまな使用方法に適合するように、基板製品、チップレット、IP(設計資産)の3つの形態で提供される。

Broadcom 400GのRoCEとRDMAへの対応

400Gの高速イーサネットを可能にしている中核的な技術が、RDMA (Remote Direct Memory Access) とRoCE(RDMA over Converged Ethernet) である。

「RoCE/RDMAは、AIトラフィックやAIワークロードに不可欠な標準ベースの方式です」と氏。「これに対応している製品としては3世代目になります。低遅延のパフォーマンスを提供しています」

新しい400G NICファミリーでは、「Ultra Ethernetコンソーシアム」(UEC)のAIに最適化した新技術でRDMAプロトコルを拡張している。拡張内容としては、パケット並べ替え時の順序外パケットの配置、選択的ACKおよび再送信、パケットレベルでのマルチパス、設定不要の輻輳制御アルゴリズムなどが最適化されている。

「Thor」の力で

400G NICの基盤となっているのは、Broadcomのいくつかの新しいシリコンチップである。

氏によると、Broadcomは現在AI NICの全ての処理を行うSoC(システムオンチップ:SOC)「Thor 2 ASIC」の発表を計画しているという。また、このチップをベースにした基板製品のポートフォリオも発表する予定だ。

「ハードウェアアクセラレーションのみで高い性能と低消費電力を最適化する設計になっています」と語った。

Broadcom’s 400G Ethernet NIC engineered for unique AI requirements

Sean Michael Kerner
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