ChatGPTは最も専門的な科学出版物から米NBCのニュース番組「Today」に至るまで、あらゆる場面で取り上げられている。わずか数か月で大衆文化に溶け込み、人々が日常的に使う単語となった。

また、生成系AIに注目しているのは学期末のレポート作成を楽にしたい学生や執筆を省力化したい一部のメディア企業だけではないことが明らかになっている。

米調査会社ガートナーは3日、企業幹部2,500人を対象とした意識調査を発表。ChatGPTがロックスターのように注目を集めたことがきっかけでAIへの投資を増やしたという回答は半数近く（45%）に上った。また、70%が現在自社で生成系AIの調査・検討を行っていると回答している。19%が既に試験運用または本番運用に入っていると答えた。

「生成系AIを取り巻く熱狂は収まる気配がありません」。ガートナーのディスティングイッシュト・バイスプレジデント・アナリスト、Frances Karamouzis（フランシス・カラモウジ）氏が調査結果について述べている。「生成系AIソリューションにどの程度の資金を投入すべきか、投資する価値があるのはどの製品か、いつ始めるか、新興技術であることから来るリスクをどのように軽減できるのかということを様々な組織がわれ先に見極めようとしています」

生成系AIは、簡単に言えば大スターだ。ハーバード・ビジネス・レビュー誌は最近、「情報生産のコスト構造としては1439年の活版印刷の発明以来最大の変化になるかもしれない」と書いている。概してAIの使用というのは意見が二極化するか、少なくとも非常に様々な意見が飛び交う問題だ。一方で、調査対象となった経営幹部の考えはおおむね一致しており、68%が生成系ＡＩについてリスクよりメリットが上回ると回答している。逆にリスクがメリットを上回ると考えているのはわずか5%だった。

投資が進むことで熱狂が冷める可能性

ガートナーによると、現在はリスク回避的な傾向があまり見られない熱狂状態にあるが、投資額が伸び、企業によるリスクや実装の課題の分析が進んでいけば状況は変わるという。「生成AIの開発・導入を開始すれば、信頼性、リスク、セキュリティ、個人情報、倫理にまつわる幾多の問題に直面することになりそうです」とKaramouzis氏は述べている。

昨今の経済見通しが不確かである一方で、生成系AI投資の主な目的としてコストの最適化を挙げた経営幹部は17%にとどまった。最も多くの回答があったのは顧客体験のためというもので、回答者の38%が注目分野として挙げている。

生成系AI投資で主に注目している分野（出典：ガートナー、2023年5月）

（上から顧客体験／リテンション、売上増、コスト最適化、事業継続性、その他（ベンダー、投資家など））

ガートナーによると、ChatGPTのようなツールで生成系AIの実験を始めるならば、コンテンツの改良やコード生成などの比較的控えめなところから手を付けるのも良いという。とはいえ、生成系AIのポテンシャルはそうしたユースケースのはるか先へと広がっている。「技術革新の次の段階と言われている自律型ビジネスが実現すれば、インフレや人材不足、さらには景気後退の影響すら緩和することができます」とKaramouzis氏は言う。

「CEOやCIOが生成型AIを活用して新製品や新しいビジネスモデルによる変革を推進できれば、収益を成長させる大きなチャンスを見出すことができるでしょう」

ChatGPT’s rock star status has executives buying into generative AI