シスコ、サーキュラーデザインの目標に向けて前進
シスコは2025年までにすべての新製品の設計にサーキュラーデザイン(循環型設計)の考え方を組み込むことを目標に掲げており、「順調に進捗している」という。シスコのサーキュラーエコノミー(循環型経済)担当ディレクター、Katie Schindall氏がSDxCentralの取材で語った。
サーキュラーデザインを実現すれば、企業のサプライチェーン、廃棄物、顧客の製品使用に起因するスコープ3の温室効果ガス排出量を削減することができる。スコープ3の排出量(事業活動に関連する自社以外からの間接排出量)は規制するのが非常に困難な場合が多いが、この排出量をもっとよくコントロールできるようにする方法の1つは、排出量の削減を念頭に置いて製品のライフサイクルを設計し直すことだ。
「当社が製品設計やパッケージ設計に関してどういった決定を行うかが、製造サプライヤーやパートナー企業からどれだけの温室効果ガスや廃棄物が排出されるかに影響を与えることになります」とSchindall氏は言う。
シスコのプロダクトデザイナーは設計中の製品のライフサイクルと環境への影響について、ゲーミフィケーションを取り入れたスコアリングシステムを使用して綿密な計画を立てている。スコアリングシステムで主な考慮対象となるのは、材料の使用量、標準化、パッケージング、エネルギー消費、製品の廃棄という5つの分野だ。
「今後、標準的な設計プロセスに(こうした考え方を)組み込んでいきます」とSchindall氏は言う。シスコは2025年までに、新たに設計されるすべての製品がこの5つのサーキュラーデザイン基準を満たすようにしたいと考えている。「設計界全体から非常に大きなサポートを頂いています」と氏は言う。
Schindall氏の説明によると、最初の段階から廃棄物や汚染物質を削減する方法を決めておくことが環境の持続可能性を実現するための核心だという。循環性を優先して製品を設計すれば、「(カーボン)フットプリントを発生する前に削減することができます。もちろん非常に有益なことです」
先月行われたゴールドマン・サックスによる電話会議では、シスコのコーポレートアフェアーズ担当SVP、Tae Yoo氏がSchindall氏の予防的な考え方を語った。シスコではカーボン・オフセットをあまり積極的に購入しておらず、代わりに先を見越した排出量削減戦略をとっているとした。
シスコの製品回収・再利用プログラムは、サーキュラーデザイン戦略において大きな役割を果たしている。顧客は使用済み製品を追加費用なしで返却することができ、シスコは返却された製品の99.8%を再利用あるいはリサイクルしている。
しかし顧客の認知度が低く、再利用・リサイクルプログラムの効率を高める上での障壁となっているとSchindall氏は言う。しかし、ひとたびこうしたプログラムが利用できることを理解すると、「お客様はとても喜んでくださいます」と氏。このことは、購入製品が循環性を備えていてほしいという顧客の要望の高さを示している。
循環型経済、2050年までに25兆ドルを生み出す可能性
循環型経済は地球に優しいだけではない。1兆ドル(約109兆円)規模の市場機会でもあるのだ。アクセンチュアの調査によると、このモデルは2030年までに4.5兆ドル(約492兆円)の経済成長を生み出し、2050年までに25兆ドル(約2,732兆円)規模に達する可能性があるという。
循環型経済が持つ経済的・環境的なメリットを考えれば、このモデルがなぜ勢いを増しているのかは簡単に理解できる。また、消費の在り方を変える必要性は甚大だ――世界経済フォーラムによると、人類は現在、地球が1年間で自然に再生できる量の1.75倍の資源を毎年消費しており、この数字は2050年までに倍増するペースで増加し続けているという。
Schindall氏は、廃棄物を排出しない設計を行い、材料を再利用するサーキュラーエコノミーこそが持続可能な未来へ向かう実行可能な道筋だと考えた。
「廃棄物とは、単に余分な材料が間違った人の手に渡ってしまったものなのです」と氏は言う。Schindall氏によれば、シスコはサーキュラーエコノミーを発展させていくなかで、(廃棄物を)価値を生むどこかへ移動させられないか、それを実現するためにそもそもの設計をどうすればよいかについて今後も検討していくという。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/cisco-boosts-circular-design-goals/2021/07/
Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering environmental sustainability and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.
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