経済を破壊し続け、生活を停滞させ、これまでに81,000人近くの命を奪った世界的なパンデミックは、ネットワークのアーキテクチャとパフォーマンスの重要性を際立たせてもいる。

「ITチームがこの危機にどのように対処しているかというと、ネットワークの観点からイノベーションがたくさん起こっています」と、Cisco社のインテントベースネットワーキンググループのSVP兼GMであるScott Harrell氏は、8日（米国時間）のアナリストとの電話会議で話した。

ITプロフェッショナル達はニーズに応えているが、ユーザー行動は急速に変化しリソースもシフトする必要があるなか、5GやWi-Fi 6が企業にもたらす機会が注目されている、と同氏は述べている。

「これは、通らなければならない大きなイノベーションサイクルです」とHarrell氏は説明する。「しかし、ハードウェアの観点からイノベーションするだけでは十分ではありません。また、COVID-19のようなものに対応できるようにということもありますが、ユーザー行動の変化に対応できるようにするためだけにでも、私たちは柔軟性を高めなければなりません。ユーザーやデバイス、アプリケーションの活動量が増えているためです」

企業は「高度な自動化をする必要があり、その環境でこれまでとは全く異なる方法で解析を始める必要があります」と氏は言う。「実際のところ、Wi-Fiとセルラーベースの技術が重要な役割を果たす、ワイヤレスの黄金時代になりつつあると考えています」

5Gがミッションクリティカルなアプリケーション向けの企業ネットワークにおいて不可欠な役割を果たすことになる一方で、Wi-Fi 6は「企業の壁の内側でより重要になる」とHarrell氏は言う。次世代のWi-Fiテクノロジーでは、重要な資産を保存して適切な優先順位を付け、前の世代よりもはるかに効率的に多数のアクセスを処理できると氏は説明している。

Cisco社、企業でワイヤレスファーストとなる未来を想定

「企業ネットワークの未来は、ワイヤレスファーストの世界です」とHarrell氏は言う。しかし、すべてがワイヤレス接続に移行するにつれ、アクセスポイントだけでは負荷の増加に対応できなくなってきている、とHarrell氏は説明する。「簡単に管理できるよう、高度に洗練された自動化・解析レイヤーを構築する必要があります」

ここで、「企業向けネットワークの構築と運用方法に大きな変化をもたらす」と氏が説明するインテントベースネットワーキングが役に立つ。今年初め、Cisco社はデータセンターのポートフォリオに新たなネットワークインサイト機能を追加し、ネットワーク運用を事後対応ではなく先手を打って対応するものにするというビジョンを強化した。

Harrell氏によると、機械学習（ML）、人工知能（AI）、自動化をネットワークの文脈で活用する技術は、まだ始まったばかりだという。「今や、ネットワーク自体がこれまでよりもはるかに動的で、はるかに柔軟で、はるかに可用性の高いものにならなければなりません。そのためにはアプローチを変える必要があります。ほとんどのITチームは規模が大きくなることはないからです。実際、ITチームの多くは小さくなっていっています」とHarrell氏は言う。

「ひとつひとつのボックスを管理するやり方から、ファブリック全体を一度に管理するやり方へ移行するということです。私は1つのボックスを管理するのではなく、ネットワーク全体を管理しています」とHarrell氏は話している。企業がファブリックアーキテクチャを採用し解析でレイヤーを使用すれば、IT担当者はネットワークセグメンテーションのような、より洗練された作業を始めることができる、と氏は補足した。

ネットワーク事業者や企業がかつてないほどの需要の急増に対処するためには、こうした対策がさらに重要になってくるだろう。Harrell氏によると、Cisco Webexでは先月、米国で使用量が250%急増し、140億個以上の会議議事録と3億2400万人以上の出席者を記録したという。

Cisco Emphasizes Need for Modern Network Architecture