シスコではサプライチェーンの目詰まりが今も続いており、消費者価格が上昇している中でも利益を増加させられるかどうかに影響を及ぼしている。経営陣の予想では、新年度が進むにつれて状況は緩和するという。また、市場シェアに変化があったとしても、受注残高によってそれが分かりづらくなっている。

シスコは直近の会計年度を総売上高516億ドル（約7兆1,850億円）で終えた。チャック・ロビンス（Chuck Robbins）CEOが喜ばしげに伝えたところでは、同社史上2番目に高い数字だという。前年比では4%増となった。

とはいえ、第4四半期は勢いにかけ、売上高は131億ドル（約1兆8,240億円）で前年同期比横ばいとなり、四半期別の成長率は大幅低下となった。ロビンス氏はこれについて、前年の第4四半期が前年比30%増と好調であり、それと概ね肩を並べる結果だと即座に補足している。

「これを踏まえれば、前年比での（成長率の）落ち込みは驚くことでも懸念すべきことでもありません」とロビンス氏。「当社の売上高成長率は、短期的には四半期ごとの製品受注の伸びよりも、部品を入手可能かに大きく左右されることを念頭に置いておくことが重要です」

「第4四半期後半から供給面での制約が全体的に緩和され始めました。第1四半期の始めにかけてそれが続いています」。このことを考えれば、成長が続いていることがより分かりやすくなると氏は言う。

シスコの第3四半期の業績はサプライチェーンでの課題によって打撃を受けたが、同社は受注残高を増やし続けている。ロビンス氏によると、これまでにないほど豊富な受注残を残して年度を終えたという。

シスコ：コストを払ってサプライチェーンを修正

シスコは前四半期、入手困難な部品をブローカーから調達することで受注残の一部を解消できたが、これにはコストがかかっている。

「ブローカーのネットワークから購入すると、その分支払いが割高になります。粗利にもその影響が表れていることがお分かりでしょう」。CFOのスコット・ヘレン（Scott Herren）氏が説明した。この影響は新年度の第1四半期にかけても続くだろうと補足している。

「年を追うごとに良くなっていくでしょうが――これはサプライヤーからの調達価格や何がしかのコスト削減を想定しているわけではありません――サプライヤー各社がそろって戻ってきて、やあスコットにチャック、良いニュースだ、部品代を安くするよ、と言ってくれるとは私は思いません」。ヘレン氏は述べている。

今後の見通しについて、ロビンス氏は短期的には「主に部品費、運送費、物流費の高騰が原因」でコスト高が続くと見ている。一方、こうした利益率の圧迫は四半期が進むにつれて緩和していくと予想している。

シスコ、市場シェアへの懸念を一蹴

また、ロビンス氏によると、受注残が蓄積されていることで市場シェアの全体的な変化を把握することが難しくなっているという。氏はシスコが独占しているキャンパススイッチ市場を例に挙げ、現在予定している製品アップデートを市場に投入できるのは今年後半になるとし、「当社が受注残を解消していけば、いくらかのシェア獲得になるはずです」と補足した。

「当社ではいくつかの製品で再構築を進めており、その受注残があります。大量出荷が始まれば、じっさい市場シェアを大きく覆すことになるのではないかと考えています」。ロビンス氏は言う。「また、競合各社も今私が話しているのとまったく同じことを話すでしょう。時間をかけて見ていただくしかありません」

また、直近の四半期でセキュリティ製品群が好調だったことについても述べた。ファイアウォール、エンドポイント、ゼロトラストなどだ。

「セキュリティは今年最優先で投資していく分野です…（中略）…当社は引き続き、この分野で大きなイノベーションを推進し、既に戦略についてご説明した通り、製品ポートフォリオを進化させていくつもりです」。ロビンス氏は述べている。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/cisco-fights-supply-chain-squeeze/2022/08/