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文:Nancy Liu

Cisco が Splunk を280億ドルで買収へ、サイバーセキュリティ分野では同社最大

Cisco が Splunk を280億ドルで買収へ、サイバーセキュリティ分野では同社最大

テック大手の米Cisco社は21日、サイバーセキュリティとオブザーバビリティを提供する米Splunk社を1株当たり現金157ドルで買収する意向であることを発表した。約280億ドルの株式価値となり、Cisco史上最大規模の買収となる。

「私たちは1つの企業となり、世界最大規模のソフトウェア企業になります」と、Ciscoの会長兼CEOであるChuck Robbins氏はアナリストとのカンファレンスコールでコメントした。両社が能力を結集することで、「AIを活用した次世代のセキュリティとオブザーバビリティを推進することができるようになります」と述べた。

サンフランシスコに本社を置き、2003年に設立されたSplunkは、セキュリティとオブザーバビリティの統合プラットフォームを提供している。代表的なサービスは、SIEM(セキュリティ情報イベント管理)ツールである、オンプレミスまたはプライベートクラウド向けの「Splunk Enterprise」とクラウドベースの「Splunk Cloud」だ。Splunkは2012年に新規株式公開(IPO)し、2023年7月31日現在、年間経常収益は前年比16%増の39億ドルに達している。

Splunkの社長兼CEOであるGary Steele氏は、買収後、Robbins氏の直属としてCiscoの経営陣に加わる。

買収は、規制当局の承認およびSplunk株主の承認などの慣習的な条件を満たせば、2024年第3四半期末までに完了する予定である。

Splunkの買収は、Ciscoにとって今年5件目のセキュリティ関連の買収となる。
7月にITDR(Identity Threat Detection and Response)技術の米Oort、2月にマルチクラウドセキュリティの米Valtix、3月にCSPM(Cloud Security Posture Management)のイスラエルのLightspin、5月に生成系AIとセキュリティにおける大規模言語モデル(LLM)の活用の米Armorbloxの買収を発表している。

脅威の検出と対応から予測と予防への移行

Robbins氏は、Splunkが持つセキュリティ、オブザーバビリティ、人工知能(AI)分野の機能が、これら3分野のCiscoの既存ポートフォリオと「相補的」だと強調した。

Ciscoは4月に XDR(Extended Detection and Response)サービスを発表した。Cisco Security事業グループのシニアバイスプレジデント兼CPO(最高プロダクト責任者)である Raj Chopra 氏は以前、 SDxCentral のインタビューで、SIEMはログの集約やフォレンジックのような “事後対応”に重点を置いており、EDR(Endpoint Detection and Response)の範囲はエンドポイント内に限られていると語った。一方、XDR(eXtended Detection and Response)はあらゆる状況を把握し、より正確な検知のために多くの情報を活用し、適切な対応と修復の優先順位を決定する。

同日行われた買収に関するカンファレンスコールでRobbins氏は、「CiscoのXDRプラットフォーム、当社の最高のセキュリティインサイトならびにSplunkのSIEMを統合することで、お客様による脅威の検知・対応から予測・予防への移行を支援することができるようになります」と述べた。

さらにCiscoは、既存の可視性とセキュリティ機能をベースにしたフルスタックオブザーバビリティソリューションを6月に発表した。

「オブザーバビリティという点では、我々の補完的な機能は、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境において、アプリケーションからネットワークまで、フルスタックのオブザーバビリティを提供できます」と Robbins氏は述べた。

CiscoとSplunkのコンビがAI市場をリードすることを目指す

SplunkのGary Steele氏によると、両社はデータとAIの力を活用し、グローバルなセキュリティとオブザーバビリティ市場をリードする1社となる計画だという。

「実際、この組み合わせは、両社のお客様との約束に基づいて、データとAIの力を活用し、現代のテックエコノミーを変革するために、両社の相補的な能力を統合するものです」と氏。「SplunkとCiscoの業界をリードするソリューションを統合・強化し、セキュリティのオブザーバビリティとネットワーク運用にAIを適用することで、我々はともに大きなチャンスを活かしていきます」

前会計四半期の決算説明会で述べたように、CiscoはすでにAIインフラで5億ドルの受注を獲得していると氏は指摘した。
「我々は、我々の持つ大きなチャンスと、ハイパースケーラーとのAIネットワークの構築について議論してきました」 と氏は述べた。

「AIによってもたらされる機会を企業が責任を持って活用できるよう支援することも、大きなチャンスだと考えます。データに対する可視性と共に、大きなスケールと信頼のある基盤を提供できるため、我々はこの分野をリードするのに非常に有利な立場にあります」

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Nancy Liu
Nancy Liu Editor

SDxCentralの編集者。
サイバーセキュリティ、量子コンピューティング、ネットワーキング、およびクラウドネイティブ技術を担当している。
バイリンガルのコミュニケーション専門家兼ジャーナリストで、光情報科学技術の工学学士号と応用コミュニケーションの理学修士号を取得している。
10年近くにわたり、紙媒体やオンライン媒体での取材、調査、編成、編集に携わる。
連絡先:nliu@sdxcentral.com

Nancy Liu
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サイバーセキュリティ、量子コンピューティング、ネットワーキング、およびクラウドネイティブ技術を担当している。
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