2023年、セキュリティ業界では上位20社の間で大規模な取引や合併が行われ、大きな変化が起こるという。米ディーヴォ・テクノロジー（Devo Technology）のマーク・ヴァン・ザデルホフ（Marc van Zadelhoff）CEOが予測した。同社はクラウドネイティブのロギングおよびセキュリティ分析を提供するユニコーン企業だ。

「上位20社のうち2社は合併するでしょう」。米SDxCentralの取材に対して氏は語った。「私としては、物価が下がるようなら大規模な取引や対等合併があっても驚きません。市場が変曲点を迎えれば、企業は市場シェアを統合しコストを取り除こうとするものです」

セキュリティベンダーも景気後退と無縁ではいられない。大手のうち数社が期待外れの業績予想を発表、見通しを誤ったとしており、十分な資金のあるスタートアップも昨年はレイオフを経験した。

氏の予想では、2023年は資金の枯渇したスタートアップに買い手がようやく手を付け、M&Aマッチングが起こる年になるという。

「現実問題として、スタートアップの中には現金が足りなくなるところも出てきます――実に優れた技術を持つスタートアップであってもです。そうしたスタートアップと、資金力がありながらも市場が底を打つのを待って傍観していた大企業や投資家とで、ダンスを踊り始めることになりそうです」。氏は質問に答えて書いている。

ここ数年でセキュリティ大手はプラットフォームアプローチの構築を始め、買収を通じてさまざまなセキュリティ機能・技術を集約し始めている。最近の例としては、昨年に米Googleがセキュリティ企業の米マンディアント（Mandiant）を買収、技術およびリソースを自社のクラウドプラットフォームに統合している。また、米センチネルワン（SentinelOne）が米アティーヴォネットワークス（Attivo Networks）をXDRプラットフォーム強化のために買収、米パロアルトネットワークスがイスラエルのサイダーセキュリティ（Cider Security）を獲得、サプライチェーンセキュリティと「Code-to-Cloud CNAPP」を強化した。

今年はセキュリティ分野のあらゆる領域でM&Aが行われるだろうと氏は予測する。「各社は自社で構築する時間やリソースが無かった機能の獲得を狙っており、タックイン買収が増えるだろうと思います」

米フォレスター・リサーチ（Forrester Research）が発表した今年のクラウドコンピューティングに関する予測では、セキュリティ業界で大規模な買収が行われるとしており、ヴァン・ザデルホフ氏の予測と一致したものになっている。2023年にはアマゾンあるいはAWS（アマゾン ウェブ サービス）がMDR（Managed Detection and Response）ベンダーを買収すると見ているようだ。

ディーヴォ、さらなる買収やIPOも視野

ディーヴォは昨年2件の買収を発表した。自立型のセキュリティオペレーションセンター（SOC）を提供するというビジョンを追求、自律型脅威ハンティングの米スタートアップ、コグノス（Kongos）とSaaS型のクラウドネイティブSOAR（Security Orchestration, Automation and Response）を提供する米ロジックハブ（LogicHub）を買収している。

「私たちは常に次（の買収先）を探し求めています」と氏。

また、今後1、2年以内に新規株式公開（IPO）しようとしているとも語った。「当社ではここ2年の間に売上高、顧客数、従業員数が3倍になりました。また、この4ヶ月で数百万ドル（数億円）規模の顧客企業を5社新規獲得しています」

Devo CEO Predicts Two Top Security Companies to Merge in 2023