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文:Sean Michael Kerner

DNSパフォーマンスの調査が、プロバイダー間の大きな格差を明らかに

DNSパフォーマンスの調査が、プロバイダー間の大きな格差を明らかに

IBMとCatchpoint Systemsが実施した調査で、インターネットの機能性とユーザー体験におけるドメインネームシステム(DNS)パフォーマンスの重要な役割が明らかになり、プロバイダーや地域によるDNSの応答時間に顕著な違いがあることが明らかになった。

インターネットのトラフィックがピーク時に、2,000以上の人気ウェブサイトを調査対象としたこの調査では、世界の主要地域に戦略的に配置された216のバックボーンノードを利用した。研究者たちは、48時間にわたり1分ごとにテストを行い、DNS応答時間を最も重要なパフォーマンス指標として調査した。

主な調査結果は以下の通り:

・世界平均のDNS応答時間は263ミリ秒であった。
・セルフホスト型DNSソリューションは世界平均より35%遅かった。
・プレミアムマネージドDNSサービスは、セルフホスト型ソリューションを大幅に上回った。
・地域差が大きく、ヨーロッパと北米では応答時間が比較的早い傾向が見られた。

「ほとんどの企業は、権威DNSを単に機能すべきものとみなし、接続が正常であれば気にする必要はないと考えています」とIBMのGTMリード・プロジェクト・マネージャーであるBen Ball(ベン・ボール)氏 はSDxCentralに語った。「しかしこの調査はその仮定を覆すものでした。データは、DNSパフォーマンスを積極的に測定し、その情報を使用しDNS接続を最適化することで、パフォーマンスが大幅に向上することを示しています」

マネージドDNSはセルフホスト型よりも高速

この調査の主な発見の一つは、セルフホスト型DNSソリューションとプレミアムマネージドDNSサービスとの間に大きなパフォーマンス差があることである。セルフホスト型DNSの応答時間は世界平均より35%遅く、具体的には141ミリ秒の遅延が発生していることがわかった。

「このパフォーマンスの差は非常に大きく、セルフホスティングによる運用の非効率性や応答時間の遅さを浮き彫りにしています」と米CatchPointの製品マーケティング担当副社長である Howard Beader(ハワード・ビーダー)氏 は SDxCentral に語った。「これはユーザーエクスペリエンスやビジネス成果に具体的な影響を与えるものであり、ITや情報セキュリティの専門家にとって留意すべき重要な点です」

この調査結果は、プレミアムDNSプロバイダーの中で、IBM NS1 Connectが世界平均より39%速いレスポンスタイムを提供し、トップパフォーマンスとして際立っているという少し手前味噌的なものであった。続いて、Vercara UltraDNSとCloudflare DNSがそれぞれ35%および16%速い接続速度で追随した。

また地域ごとのDNSパフォーマンスにかなりの差があることが浮き彫りになった。ヨーロッパと北アメリカでは、一貫して高速な応答時間を示しており、これはこれらの地域におけるDNSサーバーの高密度に起因している。一方、アジア、南アメリカ、オセアニアでは、ユーザーとDNSインフラストラクチャ間の距離が遠いこともあり、パフォーマンスが低下する傾向が見られた。

DNSパフォーマンスを向上させるための監視及び可観測性の指標

このレポートでは、DNSパフォーマンスは単なる技術的な問題にとどまらず、具体的なビジネスへの影響をもつことを強調している。DNSの応答時間が遅くなると、ページの読み込み時間が長くなり、ユーザー満足度やコンバージョン率、ひいては収益に悪影響を及ぼす可能性がある。

例えば、この調査では、アプリケーションの応答時間がわずか0.1秒改善されるだけで、売上成長率が10%増加するという過去の研究を引用している。

企業がDNSパフォーマンスを向上させるために、いくつかの重要な可観測性指標に注目すべきだとBeader氏は提案している。これには、応答時間、解決の正確性、および信頼性が含まれる。さらに、企業がパフォーマンスの問題を積極的に特定して対処するには、リアルタイムの監視が不可欠であると付け加えた。

「特に、応答時間は、ユーザーがアプリケーションやウェブサイトにどれだけ速くアクセスできるかに直接影響するため、非常に重要です」と氏。「同様に、解決の正確性はDNSクエリが正しいIPアドレスを返すことを保証し、信頼性はDNSサービスの一貫性と稼働時間を測定します」

DNSのアウトソーシングは始まりに過ぎない

このレポートでは、マネージドDNSを使用することの明確な利点が示されているが、それだけではない。

DNSの最適化には、単にマネージドプロバイダーにアウトソーシングをする以上に、いくつかの戦略的なステップが必要であると氏は強調した。

「マネージドDNSサービスを活用することで、パフォーマンスと信頼性が向上しますが、組織は、ジオ・ルーティング、負荷分散、冗長性などのベストプラクティスを社内で実施することにも注力すべきです」と同氏は述べた。「さらに、DNSパフォーマンスを継続的に監視し、データに基づいた調整を行うことが重要です」

DNSの基本的な運用をアウトソーシングするだけでなく、マネージドDNSプロバイダーが提供するトラフィックステアリングやリアルタイム可観測性といった機能がネットワーク状況やユーザーの要求に動的に対応することでパフォーマンスをさらに最適化できると、氏は述べた。

全体的なパフォーマンスの向上だけでなく、DNSの最適化が組織にもたらすメリットは他にもある。

「DNSパフォーマンスの最適化は、SEOにも良い影響を与える可能性があり、これはほとんどの組織が継続的に改善を目指している点です」と氏は述べた。

DNS performance study reveals significant disparities among providers

Sean Michael Kerner
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