6G
文:Sean Michael Kerner

新たな5G帯域、(いずれは)6G帯域の必要性が高まる=企業ニーズが後押し

新たな5G帯域、(いずれは)6G帯域の必要性が高まる=企業ニーズが後押し

5Gが順調に普及する中、業界の関心は将来世代の無線ネットワークに必要な免許周波数帯をどのように提供するかに移ってきている。

南北アメリカ地域の業界団体「5G Americas」による最新のホワイトペーパーでは、5G-Advancedと6Gの周波数需要を満たすための戦略的ロードマップが示されている。同団体の目的は5G技術の発展と普及に寄与することだ。「The Evolution of 5G Spectrum」(5G周波数の進展)と題した同文書では、免許周波数帯を提供する包括的なパイプラインの開発が高度な機能を展開する上できわめて重要であることが強調されている。

5Gの構築はまだ続いているが、関係者はすでに6Gの要件に目を向けている。6Gは2030年頃の実用化を目指しており、多感覚XR(拡張現実)、ホログラフィック通信、無線センシング(JCAS)などの新しいユースケースの基盤になると期待されている。こうした用途には没入型の接続やインテリジェントな接続が必要となり、5Gよりもさらに広い帯域と低遅延が求められることになる。

企業ユースケースもさらなる免許帯の必要性に拍車をかける要因になりそうだ。業務のデジタル化が進み、日々の作業が接続環境を利用するものになり、信頼性の高いワイヤレス接続が不可欠になっている。

「米国が技術、モバイル通信、経済でトップを維持するためには、ワイヤレス業界に向けてさらなる免許帯を解放することがきわめて重要です」。5G AmericasのChris Pearson(クリス・ピアソン)プレジデントが語った。

ユースケースが拡大、5G周波数がさらに必要に

モバイルブロードバンドの通信速度と遅延はすでに5Gによって劇的に改善されている。

とはいえ、同文書では、5Gが次の段階に発展すれば、携帯電話にとどまらず、各産業分野の新たなサービスを支えることになると述べている。将来的なユースケースとしては、XR、コネクテッドカー、FWA(固定無線アクセス)、企業アプリケーションなどが考えられる。こうした次世代の体験を可能にするためには、さらなる周波数容量が必要になる。

モバイルトラフィックは2028年までに推定4倍に増加すると予想されている。これを受けて、将来の無線通信用に15.5 GHzまでの帯域が国際電気通信連合(ITU)によって特定された。ホワイトペーパーでは、既存および将来の用途の必要を満たすために利用可能な周波数帯を増やすことを支持している。

同文書では特に、いわゆるミッドバンド(7.125~15.35GHz)が容量とカバレッジ面のバランスが良く、将来の5G需要を満たすのに役立つ可能性があるとしている。米国ではTモバイルがこの2年間、ミッドバンド5Gの通信容量の増強に特に積極的に取り組んでいる。

5G Americasはこの帯域、特に10 GHz以下の帯域を5Gの免許取得事業者向けに開放することを目指し、周波数の移転や共用を検討するよう推奨している。こうした帯域では既存のネットワークインフラを活用できる。

また、5Gや今後登場する6Gの新しい用途のためには、ミッドバンドの以下の帯域に焦点を当てるのが良いとした。

・3.1~3.3 GHz
米国で検討中。既存のインフラを活用できる。
・4.4~4.8 GHz
IMT(次世代移動通信)用候補周波数として国際的に検討中。
・7.125~8.5 GHz
望ましいカバレッジと容量を確保できる。
・12.7~13.25 GHz
カバレッジに課題があるが、容量面で有望。
・14.75~15.35 GHz
IMT用候補周波数として国際的に検討中。

米国の現在の免許割り当ては、ミッドバンドの可用性の面で主要国に後れをとっている。中国や日本などの主要市場では、5Gの普及に不可欠なミッドバンドの帯域が1 GHz以上割り当てられている。米国が5Gで先行し続けるためには、ローバンド、ミッドバンド、ハイバンドの各帯域で国内にもっと多くの周波数帯が必要だと5G Americasは主張している。

ミリ波帯、サブテラヘルツ帯が開く新たな可能性

ホワイトペーパーでは、ミリ波帯は容量が限られているものの非常に広い帯域が利用可能で、密集地帯や特殊なユースケースに適していると述べている。

2023年6月に米連邦通信委員会(FCC)がミリ波帯への取り組みを発表して以降、あるいはそれ以前からも、5Gネットワークや今後の6Gネットワークへのミリ波利用は議論の的になってきた。

5G Americasによると、ミリ波は都心部や交通機関のハブ、娯楽施設での導入、FWAでの利用によく適しているという。また、6Gにおいてもミリ波は引き続き重要になると述べている。

サブテラヘルツ(sub-THz)帯のさらに高い周波数を利用すれば、将来6G向けに膨大な帯域を確保できる。この帯域では非常に高いデータレートと容量を実現でき、新たな可能性が開かれる。2023年2月にはNTTとノキアがサブテラヘルツ帯を利用した将来の6Gユースケースに関する研究取り組みを実施、詳細を発表した。

Enterprises fuel need for additional 5G and (eventually) 6G spectrum

Sean Michael Kerner
Sean Michael Kerner

Sean Michael Kerner
Sean Michael Kerner

記事一覧へ