5G
文:Matt Kapko

Ericsson社、Huawei社とNokia社を上回る―英Gartner社の5Gベンダーランキング

Ericsson社、Huawei社とNokia社を上回る―英Gartner社の5Gベンダーランキング

英調査会社Gartnerによる最新の「マジック・クアドラント」では、Ericsson社が5Gネットワークインフラ・通信サービスプロバイダの分野でHuawai社とNokia社を抑えてトップに立った。スウェーデンのベンダーである同社は評価基準の「実行能力」で最高点を獲得、「ビジョンの完全性」ではHuawai社にわずかに及ばなかった。

3大RANベンダーのEricsson社、Huawei社、Nokia社は、当然のことながらいずれも「リーダー」クアドラントに分類された。Samsung社、ZTE社、NECはGartner社の分類のうち「概念先行型」に認定され、「特定市場志向型」にはCisco社、富士通、米Mavenir社、中国のFiberHome Telecommunication Technologies社がある。

10社のうち6社はアジア、2社は北欧、2社はアメリカに拠点を置いている。

Gartner社は5G分野でのEricsson社のリーダーシップを称賛し、例として動的スペクトル共用(DSS)の改善、先行者利益の一部をもたらした独自の「Uplink Booster」技術を挙げた。また、2015年以降のEricsson製RAN機器はソフトウェアアップデートによって5G New Radio(NR)機能にアップグレード可能であり、この特徴と柔軟性によって顧客は競合他社よりも先に5Gネットワークを展開可能になったと指摘した。

とはいえ、Ericsson社の無線ユニット製品ポートフォリオは一部の競合に比べて幅が狭く、機能のサポートは遅いとGartner社は述べている。また、Ericsson社は柔軟性を欠くケースがあり、オペレータはEricsson社の特徴に合わせて優先順位や計画を決めることを事実上強制されることもあると指摘する。

 

Huawei社とNokia社はそれぞれの課題に直面

世界最大のRANベンダーであるHuawei社は、2019年以降5Gの研究開発に多額の投資を行っており、5Gの基本特許の主要な提供者であるとしてGartner社から高い評価を受けた。また、オペレータに対し「かなり幅広い5G関連ポートフォリオ」を提供しているという。

言うまでもなく、米国と中国の間の緊張の高まりや、「特定の地域および国における中国ベンダーの製品に関するセキュリティ上の懸念」が続いていることで、Huawei社の新しい5G契約獲得に悪影響がある恐れはある、とGartner社は説明する。また、地政学的緊張のためにHuawai社はチップ不足に陥る可能性があると指摘。仮想化RANやオープンRANへの関心が低く、将来的に同社の戦略は幅の狭いものになる可能性があるとした。

「リーダー」3位のNokia社は、5G商用契約の締結においても市場リーダーの1社だとGartner社は言う。さらに、「早くからvRAN、クラウドRAN、オープンRANに取り組んできたことで、既存のRANベンダーの中で差別化に成功」しており、これにより「一定レベルのソートリーダーシップを獲得した」としている。

とはいえGartner社によると、同社では5G無線機、ベースバンド、Massive MIMOアンテナ向けの最新のチップセットの開発が遅れており、これによる課題にまだ向き合っている最中だという。「Nokiaはこの問題を解決するために、Broadcom、Intel、Marvellといった複数のベンダーと提携する選択をしましたが、通信サービスプロバイダはNokiaのチップセットの開発、供給、製品統合については注意を払うべきでしょう」とGartner社は書いている。

ことによるとNokia社にとってさらに心配なのは、「Nokiaの5G製品・サービスは性能や応答性を含め、他社のものほど良いものではないとオペレータ数社が指摘していることでしょう。Nokiaの製品品質、ソフトウェアの安定性、バグ修正サービス、スケジュールの順守などはさらに改善していく必要があります」とGartner社のアナリストらは同レポートに書いている。

 

Samsung社、ZTE社、NECは「概念先行型」という評価

Samsung社は、ミリ波無線機、自社製チップセット、vRANなどで先進的な機能を実現したことでGartner社の称賛を得た。ZTE社の5Gポートフォリオは多くの革新的な技術と機能を備えた強力なものと評価されたものの、同社は特に中国国外の市場では今も米国の制裁による悪影響を被っているとGartner社は警告する。

「概念先行型」のステータスを獲得した3番目のベンダーであるNECは、日本での大規模な5G展開で確固たる地位を築いていること、自国市場以外でもオープンRAN製品への関心を集めていることで高く評価された。

 

「特定市場志向型」5Gプレイヤー

Gartner社が「特定市場志向型」ベンダーのトップに置いたのはCisco社だ。財務面の健全性とオープンRANで強力なエコシステムを築きつつあることが高評価につながった一方で、マクロ無線機・マイクロ無線機がないこと、「いまだに主にエンタープライズ向けのプレイヤーである」という認識に欠けていることが低評価となった。

富士通はオープンRAN、特に5G無線機への積極的な参入を進めていることが評価されたが、大規模な組織再編によって同事業のサポートと存続性に悪影響がある可能性があるとGartner社は警告している。

Mavenir社は「オープンRANへの主要な新規参入企業の1社」であり、先行者の優位性を持っているが、Gartner社の説明によると同社がマルチベンダーの統合を実現するにはさらなる努力が必要だという。また、商用オフザシェルフの5Gサーバで稼働する純粋なソフトウェアvRANについては、商業的に実行可能であるかと性能に関してGartner社は疑問を呈している。

最後になるが、FiberHome Telecommunication Technologies社は中国市場における光通信とネットワークトランスポートスライシングで「主導的な地位」にあるものの、Gartner社によると包括的な5Gポートフォリオを持っておらず、強力なグローバル展開戦略や中国市場の外への認識に欠けているという。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/ericsson-nips-huawei-nokia-in-gartners-5g-vendor-ranking/2021/02/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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