米セキュリティ大手のFireEye社、「高度に洗練された」国家レベルの攻撃を受ける
米サイバーセキュリティベンダーのFireEye社は、他国によると思われるサイバー攻撃を受け、「高度に洗練された脅威アクター」によって社内のハッキングツールが盗まれたとした。
CEOのKevin Mandia氏はブログ記事に書いた中で、「サイバーセキュリティとインシデント対応に25年携わってきた私の経験から言って、当社が目撃したのは最高レベルの攻撃能力を持つ国家による攻撃だったと考えています」と述べている。氏は疑わしい国家やハッキンググループを名指しはしなかったが、FireEye社は米連邦捜査局(FBI)やMicrosoft社と協力した調査を準備していると補足した。
FireEye社が侵害を開示した前日には、ロシア国家が支援するハッカーたちによって国家安全保障システムや国防総省で使用されているVMware製品のバグが盛んに悪用されていると米国国家安全保障局が警告していた。
FireEye社への攻撃では、Mandia氏によれば同社やパートナー企業がこれまで見たこともないハッキング手法が複数組み合わせて使われていたという。
「今回の攻撃は、当社が長年にわたって対応してきた数万件のインシデントとは違っていました」と氏は書いている。「攻撃者たちは、自分たちが持つワールドクラスの能力を、明確にFireEyeを標的にした攻撃に向けて調整しました。彼らは運用上のセキュリティについて高度なトレーニングを受けており、規律と集中力を持って実行しています。セキュリティツールやフォレンジック検査に対抗する手段を用いて秘密裏に活動していました」
盗まれたものにゼロデイ脆弱性はなし
FireEye社は、この国家が標的とし、盗んだのは、同社が顧客のセキュリティをテストするのに使用する「Red Team」ツール群だったと突き止めた。Mandia氏によると、いずれのツールにもゼロデイ脆弱性は含まれていないという。
「攻撃者が当社のRed Teamツールを使うつもりなのか、公開するつもりなのかはわかりません」と氏は書いている。「とはいえ、十分な注意を払い、これらのツールが盗難されたことで起こりうる影響を最小限に抑えるため、当社のお客様やコミュニティ全体で取ることのできる300以上の対応策を開発しました」
同社は既に自社のセキュリティ製品にこうした対策を実装しており、他のプロバイダーがセキュリティツールをアップデートできるよう、セキュリティセクターで広く対策を共有した。さらに、GitHub上で対策を公開している。
また、攻撃者はFireEye社の社内システムの一部にアクセスすることに成功したものの、この攻撃で顧客情報が盗まれた形跡はないとMandia氏は言う。
FireEye社の顧客には政府機関以外にも、防衛関連企業やEquifax社、Vodafone社、Infosys社などの大手企業がある。
FireEye社を攻撃したのはロシアか
FireEye社はどの国に攻撃の責任があると考えているのか明らかにしなかったが、New York Times紙などの一部の報道機関はFBIがこの件をロシアの専門家チームに引き渡したと報じている。
米調査会社Gartner Research社のVP、Peter Firstbrook氏は、「ロシアは十分あり得ます」と話す。「中国や北朝鮮の可能性もあります。いずれも非常に優れた国家アクターです。この3国はいずれも、FireEye社の政府・防衛関係の顧客から情報を盗むことに強い関心を持っているでしょう」と氏は補足した。
Firstbrook氏によると、攻撃者が未知の技術や戦術を使ってFireEye社に侵入したことを考えると、同社は通常のネットワーク動作を捕捉するテレメトリによって攻撃を検知した可能性が高いという。
「良いニュースは、このことが分かった今、再び成功裡に攻撃を仕掛けることは非常に困難だということです」と氏は言う。「FireEye社はすでにこの情報を他の防御者たち全員と共有しているので、次の攻撃ではまた誰も見たことがないような全く新しいテクニックを考え出さなければなりません。つまり、良いニュースは、このテクニックはもう通用しないということです。悪いニュースは 初回は上手くいってしまったことです」
Jessica is Managing Editor at SDxCentral covering security technology, trends, and threats. She has worked as an editor and reporter for more than 15 years at a number of B2B publications including Silicon Valley Business Journal, Environment + Energy Leader, and Solar Novus Today. Jessica can be reached at jhardcastle@sdxcentral.com or @JessicaHrdcstle.
Jessica is Managing Editor at SDxCentral covering security technology, trends, and threats. She has worked as an editor and reporter for more than 15 years at a number of B2B publications including Silicon Valley Business Journal, Environment + Energy Leader, and Solar Novus Today. Jessica can be reached at jhardcastle@sdxcentral.com or @JessicaHrdcstle.
JOIN NEWSME ニュースレター購読
KCMEの革新的な技術情報を随時発信
5G・IoT・クラウド・セキュリティ・AIなどの注目領域のコンテンツをお届けします。
KCME注目の技術領域に関するテックブログを配信しています。
KCME注目の技術領域に関するテックブログを配信しています。
RELATED ARTICLE 関連記事
-
5G Dan Meyer2024.09.19
「5G RedCap/eRedCap」通信モジュール市場、急成長の見込み
IoT向けの新しい通信規格、5G RedCap(Re…
-
ネットワーク Sean Michael Kerner2024.08.20
DNSパフォーマンスの調査が、プロバイダー間の大きな格差を明らかに
IBMとCatchpoint Systemsが実施し…
-
セキュリティ Nancy Liu2024.08.05
フォーティネットのLacework買収がクラウドセキュリティを強化、CiscoやPalo Alto Networksと競合
フォーティネットは最近、クラウドセキュリティのスター…
-
セキュリティ Nancy Liu2024.08.01
データ侵害の平均被害額、490万ドルに急増=身代金支払額も記録更新、7500万ドルに
IBMとZscalerがそれぞれサイバーセキュリティ…
HOT TAG 注目タグ
RANKING 閲覧ランキング
-
セキュリティ Nancy Liu
デル、データ侵害を確認=ハッカーが4900万件の顧客データ販売を主張
-
IT Dan Meyer
BroadcomによるVMware製品の価格/ライセンスの変更がどうなったか
-
IT Dan Meyer
Dell、HPE、LenovoはBroadcomがVMwareの顧客の懸念を和らげるのに役立つか?
-
IT Dan Meyer
BroadcomがVMwareパートナープログラムの詳細を発表
-
ネットワーク Sean Michael Kerner
2024年における10のネットワーキング技術予測
-
セキュリティ Tobias Mann
米CitrixはMcAfee社、FireEye社と同じ運命を辿るのか=買収合併の後に
-
セキュリティ Nancy Liu
SASE市場が急成長=第1四半期、首位はZscaler
-
スイッチング技術 Tobias Mann
コパッケージドオプティクスの実用化は何年も先=専門家談
-
IT Dan Meyer
米キーサイトがVIAVIのスパイレント買収に「待った」=15億ドルを提示
-
ネットワーク Sean Michael Kerner
2023年 ITネットワークのトレンドTOP10 現時点