米Nutanixが好業績=米BroadcomによるVMwareの買収で
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を提供する米Nutanixが好調な2024年第1四半期決算を報告した。米BroadcomによるVMwareの買収が好機となった。プレジデント兼CEOのRajiv Ramaswami(ラジブ・ラマスワミ)氏によれば、VMwareの顧客にとって、Nutanixが「最も労力のかからない移行先」だという。
四半期売上高は5億1,100万ドル(約750億円)と過去最高を記録、年間ランレートが初めて20億ドル(約2,900億円)を超えた。ARR(年間経常収益)も前年同期比30%増の17億ドル(約2,500億円)に達したとRamaswami氏は述べている。
氏は決算説明会で、BroadcomによるVMwareの買収は、Nutanixにとって「非常に関係のあること」だと話している。「第1四半期の段階でも、BroadcomとVMwareの取引が影響したと思われる、追加受注の獲得がありました」
フォーブスの「グローバル2000」にランクインしている某銀行からの受注もその1つだという。「デュアルベンダー戦略を取られていたのですが、今後は当社とのシングルベンダー戦略に転換されます」
Ramaswami氏は、VMwareが買収されたことで、VMwareの既存顧客は価格やカスタマーサポート、イノベーションのロードマップの変更、事業部門の組織変更への懸念を募らせていると指摘する。「同社と顧客との関係は今後、変わっていくことになるでしょう。買収に関するBroadcomのビジネスモデルは獲得した資産を最大限に活用するというもので、VMwareに関してもそのようにすると公に発表しています」
「リスクを軽減したいと考えている顧客企業にとって、当社は良い代替先です。実際、おそらく最も労力のかからない移行先でしょう」。氏はSDxCentralの取材で話している。「当社では、買収の件が明らかになる以前から、お客様が利用されているVMwareソリューションとの相互運用や、VMwareからNutanixへの移行に関する作業を多々行ってきました」
Nutanixでは引き続き買収の影響で一定の恩恵があると見込んでおり、今期の業績ガイダンスにすでに織り込んでいると語った。
競争の風景
VMwareの買収による好機を活かそうとしているのはNutanixだけではない。たとえば、Red Hatが数年前にOpenShift Virtualization機能をリリース、競争に参入している。
一方で、NutanixとRed Hatは強固な協力関係を築いてもいる。「Red Hatからすれば、自分たちがアプリケーション側でVMwareと競合しているのと同じく、当社はインフラ側で競合しているということになります」。Ramaswami氏が決算説明会で述べている。
顧客がマルチクラウドの世の中で事業を展開するなか、NutanixとRed Hatは、最新のアプリケーション開発のニーズ、基盤となるインフラの要件に対応したマルチクラウドスタックを提供していると語った。
「VMwareの顧客に関しては、(クラウド)ネイティブにしたいと望まれるならパブリッククラウドを選ぶこともできますし、NutanixとRed Hatのスタックを組み合わせて古いVMwareアプリケーションやVMアプリケーション、Kubernetesアプリケーションを実行することもできます」とした。
NutanixとCiscoの提携関
NutanixはRed Hatのほか、ネットワーク大手のシスコともグローバルな戦略的提携を結んでいる。シスコのUCS(Unified Computing System)サーバーとNutanixクラウドプラットフォーム(NCP)を組み合わせたバンドルソリューションをシスコから販売することが可能になった。
提携に関する「初期段階の進展」について、Ramaswami氏がいくつか紹介している。「第1四半期には、両社の販売部隊によるジョイントソリューションの一般提供が始まりました。お客様の関心も高く、契約を数件獲得しています。Cisco HyperFlexの購入を検討されていたお客様が本ソリューションに変更されています」
また、販売パイプラインとしては成約までに6か月から9か月かかり、来期以降の成長を見込んでいるとした。
SDxCentralの編集者。
サイバーセキュリティ、量子コンピューティング、ネットワーキング、およびクラウドネイティブ技術を担当している。
バイリンガルのコミュニケーション専門家兼ジャーナリストで、光情報科学技術の工学学士号と応用コミュニケーションの理学修士号を取得している。
10年近くにわたり、紙媒体やオンライン媒体での取材、調査、編成、編集に携わる。
連絡先:nliu@sdxcentral.com
SDxCentralの編集者。
サイバーセキュリティ、量子コンピューティング、ネットワーキング、およびクラウドネイティブ技術を担当している。
バイリンガルのコミュニケーション専門家兼ジャーナリストで、光情報科学技術の工学学士号と応用コミュニケーションの理学修士号を取得している。
10年近くにわたり、紙媒体やオンライン媒体での取材、調査、編成、編集に携わる。
連絡先:nliu@sdxcentral.com
JOIN NEWSME ニュースレター購読
KCMEの革新的な技術情報を随時発信
5G・IoT・クラウド・セキュリティ・AIなどの注目領域のコンテンツをお届けします。
KCME注目の技術領域に関するテックブログを配信しています。
KCME注目の技術領域に関するテックブログを配信しています。
RELATED ARTICLE 関連記事
-
セキュリティ Nancy Liu2024.05.09
セキュリティのプラットフォーム化=ベンダーと買い手、双方が推進する理由
サイバーセキュリティ分野は現在、プラットフォーム化(…
-
IT Dan Muse2024.04.25
米ガートナー、2024年のIT支出予測を上方修正=5兆ドル突破の理由
レイオフがあったとか、景気は後退しているといった話を…
-
ネットワーク Dan Meyer2024.04.19
プライベートRAN市場に勢い=ファーウェイ、ノキア、エリクソンがリード
米調査会社Dell'Oro Group(デローログル…
-
IT Dan Meyer2024.04.17
米Broadcom、VMware事業でGoogle Cloudと提携強化
米Broadcomが9日、VMwareを買収した後に…
HOT TAG 注目タグ
RANKING 閲覧ランキング
-
IT Emma Chervek
BroadcomのVMware買収による意外な影響=どう備えるか
-
IT Dan Meyer
米キーサイトがVIAVIのスパイレント買収に「待った」=15億ドルを提示
-
IT Nancy Liu
米Nutanixが好業績=米BroadcomによるVMwareの買収で
-
ネットワーク Sean Michael Kerner
2023年 ITネットワークのトレンドTOP10 現時点
-
IT Dan Meyer
米Broadcomの買収に伴う=VMwareのレイオフ(およびその他の削減)が始まる
-
セキュリティ Tobias Mann
米CitrixはMcAfee社、FireEye社と同じ運命を辿るのか=買収合併の後に
-
スイッチング技術 Tobias Mann
コパッケージドオプティクスの実用化は何年も先=専門家談
-
IT Dan Muse
米ガートナー、2024年のIT支出予測を上方修正=5兆ドル突破の理由
-
IT Dan Meyer
米BroadcomのCEOによる、VMware買収後100日間のハイライト
-
IT Nancy Liu
NutanixがCiscoと提携、VMwareとBroadcomをめぐる懸念に便乗