英GlobalDataが通信事業者に警鐘=過剰消費を煽るマーケティングについて
通信事業者各社はこれまで、膨大なエネルギー消費を再生可能エネルギーへの投資で相殺する方向に歩みを進めてきた。一方で現在も従来型の消費者マーケティングを続け、サステナビリティに関して各社が主張している内容とは相異なり、大量消費、過剰消費を促進する結果となっているという。英調査会社GlobalDataが報告した。
ベライゾン(Verizon)、AT&T、TモバイルUS(T-Mobile US)などの米通信キャリアでは、消費者に対してデータ無制限プランやモバイル端末の頻繁なアップグレードを売り込むのが一般的だ。GlobalDataのエマ・モー・マクルーン(Emma Mohr-McClune)氏に言わせれば、GTM戦略にはこのような大きな齟齬があるという。
「ネットワーク効率とサプライチェーン管理には多大なエネルギーを費やしているのにも関わらず、通信事業者の大多数は今も従来型のGTM戦略を取り、『モア・フォー・モア(過剰品質・高価格)』『好きなだけ消費』『データ無制限』といったメッセージを伝えています。ユーザー向けに端末の早期アップグレードキャンペーンを展開、モバイルデータ消費が増加傾向にあることから来るCO2eコスト(CO2換算排出量)のことは考えず、さらに多くのデジタルサービスを消費、さらに早く新しいデバイスに乗り換えるようにと奨励しています」
また、欧州でデータ無制限を提供する携帯料金プランは2019年には全体の4%だったのが今年は15%へと大きく伸びており、「データ無制限プランがここ数年で普通のものになってきたことが分かる」とした。
こうした従来型の価格戦略、マネタイズ戦略では、消費者向けバンドル製品に通話時間やデータ、ビデオストリーミング、クラウドストレージなどのサービスが絶え間なく追加され続けている。多くの通信事業者が掲げるサステナビリティ原則を考えたとき、これでは偽善にしかならないとGlobalDataは警鐘を鳴らす。
「この時代に意識すべきこととあまりかみ合った動きではありません。エネルギーコストが上昇し、インフレが進んでいる現在ではなおさらです。あらゆるデジタルでの活動、オンラインでの活動には炭素コストが伴います。デジタル消費が急増すればそうしたコストも高く付く。こうしたことを考えれば、キャリアの消費者マーケティングの面については何らかの再考が必要です」。モー・マクルーン氏は述べている。
氏が通信事業者に勧めるのは、「カーボンフットプリント意識の高い(サービス)パッケージ」を提供し、通信・IT業界が広く推し進めている環境持続性を最優先する取り組みと歩みを揃えることだ。
前途遼遠
業界団体GSMA(GSMアソシエーション)の報告によると、通信業界の62%(売上高ベース)の企業が向こう10年間の排出量削減を表明している。事業者数では49社に相当し、2020年と比較して18社増加した。また、業界の半分(売上高ベース)が2050年までに排出量ネットゼロ(=実質ゼロ)を達成するという目標を掲げている。
各社は(気候変動対策について)盛んな主張をし、業界全体の勢いもありながら、取り組みを実行に移す余地は多く残っている。
GSMAのメディア「Mobile World Live」とイスラエルのGalooli社による最近の調査では、回答した携帯電話事業者、鉄塔建設会社、クラウド事業者のうち63%が自社の携帯電話基地局に化石燃料由来の電力、バッテリー、太陽光発電を組み合わせて利用していると答えている。さらに詳細に見ていくと、自社のエネルギー使用について再生可能エネルギーの割合が35%~74%とした回答企業が17%、75%~100%と回答した企業はわずか15%となっている。
また、主な再生可能エネルギー源については半数近くが太陽光に、7%が水力に、わずかに4%が風力を利用しているという。
Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering data center technologies and business cases, environmental sustainability, and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.
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