米NBAチーム、ウォリアーズの本拠地にWi-Fi 6E導入=技術担当VPのインタビュー
米連邦通信委員会(FCC)が2020年に6 GHz帯を免許不要帯域として開放して以降、通信業界ではブロードバンドの新たなビジネスチャンスが花開いた――そして、Wi-Fi 6や5Gなどの新興技術をめぐって企業のプライベートネットワークの主流になるものは何かという憶測が交わされるようになっている。
シスコの予測では、Wi-Fi 6は5Gを補完する役目を担うとしている。サンフランシスコのチェイス・センター――NBAチームのゴールデンステート・ウォリアーズの本拠地だ――がこの予測のエビデンスになりそうだ。
同センターではアルバネットワークスの技術スタックのみで実行するWi-Fi 6Eを構築、9月3日に行われたアリシア・キーズのコンサートに合わせて運用を開始した。ゴールデンステート・ウォリアーズの技術担当バイスプレジデント、ダニエル・ブルシロフスキー(Daniel Brusilovsky)氏によると、同ネットワークは「堅牢で拡張性の高い5Gネットワーク」と連携してのサービス提供を意図したものだという。
ブルシロフスキー氏は米SDxCentral のインタビューに応じ、最新のWi-Fi 6E規格の最初期の活用事例である今回の構築・展開について語ってくれた。
SDxCentral:Wi-Fi 6Eを選んだのはなぜですか?
ブルシロフスキー氏:最高のファン体験を作り出すに当たっては、唯一無二の要素が1つあります。それはコネクティビティを確保することです。すべてはそこから始まります――そうでしょう。
2019年のオープン時にはWi-Fi 6を展開しており、会場施設としては最初期の事例の1つでした。ですがその後も、今後何が登場するのかについてはアルバやHPEのチームと何度も非常にエキサイティングな話をしました。ここ数年の間には明らかに多くの変化が起こっていたからです。今回の6Eへの移行に関して言えば、6 GHz帯を利用できるようになったことが最大のポイントだったと思います。
特に、アリーナの客席のような人が密集したエリアでも従来より広い帯域を提供できるということが私たちの心に強く響きました。観客が8万人いて混雑している時でも、干渉やサービスの低下を最小限に抑えながら、可能な限りのコネクティビティを確保しなければなりません。
HPEチームの皆とは、6Eは私たちのために作られたようなものだね、と冗談を言い合ったりしていました。
SDxCentral:導入手順はどのようなものでしたか?
ブルシロフスキー氏:新しく「AP-635」を導入しましたが、じっさいかなりスムーズな作業でした。
客席には約250台のAP(アクセスポイント)があり、これは座席の下の入れ物に入っています。基本的にやることは、1週間と半分ほどの期間をかけて入れ物に入っているAPをすべて交換することでした。
つまり、古いAPを取りだし、新しいAP-635をそこに入れるのです。素晴らしいことに、スイッチをアップデートする必要はありませんでした。コアネットワークのアップデートも不要でした。新しいAP以外、ほぼそのままで大丈夫でした。
これで行こうと思う決め手になったセールスポイントはいくつかありますが、正直なところネットワーク全体をオーバーホールする必要がないというのもその1つでした。
SDxCentral:課題となっている部分は何かありますか?
ブルシロフスキー氏:APの交換という簡単な部分は完了しました。あとはチューニングです。無線周波数の調整や信号のチューニングなどさまざまな調整を行い、ユーザー体験を可能な限り最適化できるよう取り組んでいます。
一番大きな課題となっているのはシンプルに未知の部分です。かなり早期の段階であるため、未経験の領域に少し踏み込む部分が出てくるのです。何かが起きた時には何らかの課題を始めて発見したという状態である場合がありますし、多くの場合、何にせよ克服していかなくてはならないということになります。
私たちはオフィス環境とはまったく違う、非常に動きの速いビジネスを行っています。客席にあるAPは基本的にお客様向けのものであり、お客様と関わる機器です。そのため、常に大至急速やかに、という姿勢でいるのですが、おそらくこれは他の多くのビジネスとは異なる部分だろうと思います。私たちは「うん、これを解決できないと困るぞ、すぐに解決しなくてはならない――お客様がやってくるのだから」という戦いを常にしているのです。
編集部注:インタビュー内容は文章量の調整とわかりやすさの改善のために編集されています。
写真:チェイス・センター(多目的アリーナ)―Wi-Fiネットワークを展開
出典:ゴールデンステート・ウォリアーズ
Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.
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