Google、クラウドエッジを拡張=5G RAN・ホスティングスキーム向け
Googleが12日、「Google Distributed Cloud」プラットフォームを発表した。ハードウェアとソフトウェアが含まれ、Google Cloudの機能をエッジやデータセンターに提供することを目的としている。
同サービスは、Googleが世界中に展開する140以上のエッジロケーション、企業のオンプレミスインフラ、顧客が所有するデータセンターやコロケーション施設、モバイルネットワーク事業者のエッジロケーションに接続することが可能だ。
Google Distributed Cloudは、Kubernetesベースのハイブリッドクラウドプラットフォーム「Anthos」上で動作する。Anthosはこれまで、「Anthos for Telecom」という派生版のもと通信事業者のネットワークセントリックアプリケーション向けとして位置付けられていた。
「このポートフォリオを利用することで、お客様は自社の基盤となるインフラの管理ではなく、アプリケーションや事業構想に集中することができます」。Google Cloud社のオープンインフラストラクチャ担当VP兼GM、Sachin Gupta氏はメディアブリーフィングで述べている。
Googleは今回拡張したポートフォリオで提供する最初のサービスを2つ披露した。「Google Distributed Cloud Edge」と「Google Distributed Cloud Hosted」だ。
「Google Distributed Cloud Edge」のプレビュー版を提供開始
Gupta氏の説明によると、通信事業者が「Google Distributed Cloud Edge」を利用することで、RAN機能やコアネットワークの要素をエッジで実行できるようになるという。プライベート5Gやローカライズされたコンピューティングを使用してエンタープライズ顧客に高速帯域幅を提供できるとした。
Googleは5G通信事業者向けのサービスを拡充し、インテルやNVIDIAのプロセッサ、関連ソフトウェア、データサービスなどでワークロードを実行できるようにした。また、クラウドネイティブな5Gコアネットワークとネットワークエッジで実行するビジネスアプリケーションのための新サービス提供に向けて、エリクソン、ノキアと引き続き共同開発の取り組みを続けていくと発表している。
Google Distributed Cloud Edgeの初期の顧客には、AT&T社、Bell Canada社、カナダのTelus社、Telecom Italia Mobile社、インドのJio社、フランスのOrange社等がいる。「一部のお客様は、パケットコアやRANアプリケーションも実行する予定です」とGupta氏。
同サービスはGoogleが管理するタイプで、シスコ、デル、ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)、ネットアップが提供するハードウェア上で実行可能だ。Gupta氏はこれについて、Kubernetesベースのオープンソースによるコントロールプレーンを使用し、他にもオープンソースの追加プラットフォームコンポーネントを利用した標準ハードウェアスタックだと説明している。
今日の通信市場で事業を展開している企業が皆そうであるように、5Gとエッジインフラを組み合わせることで、前世代のインフラでは実現できなかった新しいサービス、収益源、低遅延アプリケーション、体験などを実現できるとGoogleも期待している。
ホスト版のターゲットはエンタープライズ企業
Google Distributed Cloud Hostedのターゲットは、データの保管場所、セキュリティ、プライバシーに関する要件が厳しく、パブリッククラウドを幅広く利用することができない企業や公共機関だ。同サービスではAnthosが提供するローカルコントロールプレーンを使用し、インフラ、サービス、API、ツールを管理する。2022年前半にプレビュー版が提供開始の予定だ。
「Google Cloudへ接続することなくオンプレミスのデプロイをモダナイズする、安全な方法です」とGupta氏は言う。また、同ホスティングサービスは今月初めに他のクラウドプロバイダーやインフラベンダーと共同で設立した業界イニシアチブ「Trusted Cloud Principles」に準拠しており、その促進も目指しているとした。
「Google Distributed Cloudによる当社のアプローチの重要な差別化ポイントは3つあります」とGupta氏。AIとデータ分析をエッジで提供すること、クラウドネイティブなコントロールプレーンを備えたマルチクラウドプラットフォーム「Anthos」、サードパーティサービスやサポート対象のパートナー企業が提供するハードウェアと統合することで追加のカスタマイズが可能であることだ。
2021年第2四半期、Google Cloud社の売上高は前年同期比54%増の46億2,000万ドル(約5,280億円)、営業損失は同59%減の14億2,000万ドル(約1,620億円)となった。依然として第3位のクラウド事業者であり、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureを追っている。
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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