HPE Aruba Networkingが目指す、プライベート5Gネットワークの簡素化

米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は、プライベート5Gネットワークが企業に広く導入されるのを妨げている、最大の課題の1つに取り組んでいる――複雑さの解消だ。
HPEは3日、「HPE Aruba Networking Enterprise Private 5G」を新たに発表した。プライベートセルラーネットワークの導入および管理を簡素化、合理化することを目的とした、4G/5Gの統合ソリューションだ。HPE Arubaが提供する既存のWi-Fiネットワークを拡張する作りになっており、プライベートセルラーネットワークの利点を活用したい企業向けにエンドツーエンドのソリューションを提供する。提供内容としては、4G/5Gコアネットワークサーバー、SIMカード、スモールセル、管理システム、すでにArubaのWi-Fiを利用している企業向けの統合サービスなどがある。
「このソリューションで貫いているのは、簡素化と合理化を図るという考え方です。すでに当社がWi-Fiを提供している市場に向けて、スケーラブルな製品を提供するためです」。HPE Aruba Networkingのワイヤレス担当CTO(最高技術責任者)、Stuart Strickland(スチュアート・ストリックランド)氏がSDxCentralの取材で語った。「当社は5G計画に早くから乗り出し、人にも必要性を説こうという企業ではありません。むしろ、長年にわたってお客様から寄せられた、既存のネットワークでこういうことができたらよいのにというご要望に基づいてこの課題に取り組み始めました」
統合管理でクライアント体験を統一
主に注力していることの1つが、同ソリューションで提供するプライベート5Gインフラの管理と、同社が提供しているWi-Fiの管理を統合し、Wi-Fiとセルラーの間でローミングしてもクライアント体験が変わらないようにすることだ。統合作業としては、IDやQoSポリシー、リソースへのアクセス権を整合させるなどがある。
「最初の手順がデバイスのIDを揃えることです」と氏。
氏の説明によると、プライベートネットワークで使用する(Wi-Fi、セルラー両方に対応した)全デバイスに対してこれを完了することが目標だという。会社のWi-Fiの証明書を別に持つのではなく、SIMカードが使用するSIM IDをデバイスのプライマリIDとして使用し、Wi-Fiネットワークにオンボードする際はPassPoint機能を利用するとした。
Strickland氏が描いている完成形のレベルで統合ソリューションを提供できるようになるまでには、しばらくかかる予定だ。現在地を明らかにすると、セルラー側の管理システムと、ネットワーク管理ツール「Aruba Central」のシステムは、いずれもクラウドに置かれるものの、当初は別々のシステムになっているという。インターフェイスは似たものになっており、2つのシステムの間で多少の連携も行われる、と氏は強調した。
同ソリューションの次の段階が、セルラーとWi-Fiを提供する各ソリューションを単一の枠組みで管理できるようにすることだ。
「この段階では、HPEの既存のネットワーク製品に含まれているあらゆる分析ツールやセキュリティツール、SD-WAN関連のあらゆるソリューションがセルラーシステムにも受け継がれることになります」と語った。
民間用の共用周波数帯
「HPE Aruba Networking Enterprise Private 5G」は、民間用の共用周波数帯の利用が可能になっている。米国のCBRS(市民ブロードバンド無線サービス)のほか、規制の枠組みが許せば、世界中で同様の周波数帯を利用することが可能だ。
プライベート5GとWi-Fiの併用については、多岐にわたるユースケースがある。Strickland氏の話では、エリアカバレッジを重視する顧客もいれば、ネットワーキングスケジューリングにおける決定論を重視する顧客もいるという。また、中には、パブリックインターネットからアクセス可能な部分が多いネットワークを運用しているところもある。例えば、大規模な公共施設や病院、大学のキャンパスなどがそうで、こうした顧客はビジネスクリティカルな業務の支援も両立させるために分離・隔離された別のネットワークを持ちたいと考えるが、個別に管理しなければならないサイロになってしまうようなことは望んでいないという。
「当社のお客様の中には、ネットワークを拡張したいと考えている方がたくさんいるのです」と氏は語った。


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