RAN市場が減退=ファーウェイ、エリクソン、ノキアに打撃
第2四半期の無線アクセスネットワーク(RAN)市場は前四半期に続き、ファーウェイ、エリクソン、ノキアがリードした。また、市場全体が予想以上に急激に「減退」、通期の売上高も減少する見通しだ。米調査会社Dell’Oro Group(デローログループ)が最新の調査で指摘した。
RAN市場は第2四半期、以前から言われていた「売上の壁」に予想外に早くぶつかり、約7年ぶりとなる急激なペースで減少した。バイスプレジデントのStefan Pongratz(ステファン・ポングラッツ)氏によると、この壁ができた責任は北米市場にあるという。
「データトラフィックのパターンや5Gの収益化に関する課題、インフレ率の上昇が続き、経済の見通しが暗いこと等のせいにしたくなりますが、」と氏。「これらももちろん重要な要素ではあるのですが、当社としては、同四半期の業績不振の原因は、北米で差した暗い影にあるとみています。5Gの比較が難しくなっていることに加え、ここ数年はサプライチェーンのリスクを軽減しようと在庫を余分に抱えたことで、減少幅は大きなものになりました」
エリクソンとノキアの第2四半期決算は、北米の通信事業者が5Gへの投資を削減したことで、期待外れの内容となった。両社とも、北米事業者による在庫消化に言及し、第2四半期の売上高に大きな影響を与えたと述べている。
ノキアのMarco Wiren(マルコ・ヴィレン)CFOは同四半期、北米市場での売上高が40%減少したと述べている。「在庫消化が続き、(通信サービス事業者による)支出計画の見直しを受け、全事業グループで売上減となったため」だとした。
エリクソンも同様に、第2四半期売上高が前年同期比9%減となった主な要因として、北米の通信事業者による支出削減を挙げている。
ファーウェイは自社の数字について、やや謎めいた発言をしている。上半期は地政学的な逆風という「ニューノーマル」を乗り切り、財務面で一定の成功を収めたとした。
各社は上半期を通し、インド市場でRAN売上が好調に伸びたことを強調した。同国の通信事業者は5Gネットワークの構築を急速に進めている。一方、米調査会社LightCounting(ライトカウンティング)は、「5G RANに力を入れているベンダーにしてみれば、北米市場の軟調さをインド市場の需要増ですべてカバーできたわけではありません」と指摘する。
ベンダー各社もインドでの追い風がいつまでも続くとは考えていない。
「355%もの成長は、いつまでも続くものではありません」。ノキアのPekka Lundmark(ペッカ・ルンドマルク)CEOが第2四半期決算説明会で述べている。「インド市場は驚異的な成長期でした。投資は継続しますが、下期は落ち着いてくると予想されます。通年予測としては、2023年はインド市場でも確実に例外的な年になるでしょう。2024年には、ある程度通常に近い状態になりそうです」
ファーウェイ、ノキアのRAN売上は成長、エリクソン、サムスンは減少
ベンダーを詳しく見ていくと、2023年上半期までのRAN売上高の上位5社は、ファーウェイ、エリクソン、ノキア、ZTE、サムスン電子となっている。
ファーウェイは北米を除く地域で好調な売上を記録し、第2四半期のRAN市場シェアは3年ぶりの高水準に達した。Dell’Oro Groupはこれについて、同社の北米以外での売上によるシェアは「エリクソン・ノキアの合計と同程度」だと述べている。
ノキアは上半期を通じてシェアを拡大、昨年から2023年上半期にかけて最大の伸びを記録した。
こうした比較的好調な結果は、エリクソンとサムスンの犠牲によるものだ。Dell’Oro Groupによれば、両社はいずれも昨年から今年上半期にかけてシェアを落としている。
世界のRAN市場全体について、Dell’Oro Groupは、2023年通年の売上高が前年比で減少するという予測を引き続き述べている。ベンダー各社も同様の見方を示し、各社とも来年以降に回復する可能性を示唆した。
「2023年は下期にかけて徐々に回復し、2024年には改善すると見ています」。エリクソンのBorje Ekholm(ボリエ・エクホルム)CEOが投資家に対し、直近の決算説明会で述べている。
Huawei, Ericsson and Nokia take hits in the fading RAN market
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。
SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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