ハイパースケールデータセンターが容量を3倍に=生成AIの需要に対応

生成AIのニーズを満たすために、世界のハイパースケールデータセンターの容量が今後6年間でほぼ3倍に増加するとアナリストが予測している。米調査会社Synergy Research Group(SRG) のデータによると、現在稼働しているハイパースケールデータセンターの数は900を超えており、さらに数百件のデータセンターが計画/建設段階にある。
同社は、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)、IaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)、SNS、eコマース、ゲームなどにサービスを提供している19社のハイパースケールクラウドサービスプロバイダーのデータセンターの展開状況を分析した。チーフアナリストのJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏が米SDxCentralに語ったところでは、これらのプロバイダーは合計で926件の既存データセンターを持ち、さらに427件が準備中であるという。
Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Google、Metaなどの主要なハイパースケーラー・クラウド・サービス・プロバイダーはいずれも以前からデータセンターの建設計画を強固に進めており、各社の新しいデータセンターは計画、建設、設備の設置、コミッショニング(性能検証)等のさまざまな段階にある。生成AIの影響を受けて、これまでよりも高性能なデータセンターが必要とされていくに当たり、各社の備えは整っていきそうだ。「彼らは皆、データセンターの延床面積を継続的に積極的に拡大することを計画していました」と氏は語った。
新規建設に加えて、既存のデータセンターを改修して容量を増やす動きも一定程度出てくると同社は予測している。特に、エクイニクス(Equinix)やDigital Realtyのような、大規模なグローバルネットワークと長期的な成長計画を持つデータセンター事業者にとっては、「改修は確実に需要増に対応する方法のひとつになるでしょう」と氏。従来のデータセンターを改修するプロセスは、「立地や既存施設の性質、電源の利用可能性によって、簡単なものから不可能なものまで多岐にわたります」と述べた。
SRGによると、今後6年間で、世界のデータセンター容量は、新規の構築と既存施設の改修を合わせ、全体として3倍に増加するという。
データセンターのエネルギー使用の管理
ハイパースケールプロバイダーは、生成AIによるインフラへの影響には備えていたが、「AI指向の設備に必要な電力密度については、いくらか過小評価されている向きがあったかもしれません」と氏。容量に加え、AIのトレーニングや推論に必要なハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)では、インフラを稼働(および冷却)させるためにより多くのエネルギーを必要とする。
エネルギー消費量の増加に備えるため、ハイパースケーラーは「データセンターの運用を可能な限り効率化することに非常に成功しており、可能な限り再生可能エネルギーを使用する方向に大きく前進しています」と同氏は述べた。データセンターの新設には地元住民による反対があるかもしれないが、「これはほとんどの場合に対処可能なことで、必要であれば代替の場所もあるのが普通です。場所によっては、新たに大量の電力を利用するという面で一時的な制約が発生することもありますが、通常は解決できますし、別の場所をターゲットにすることもできます」
「基本的に、大きくものを言うのはお金であり、ハイパースケール事業者は、データセンターの建設に多額の資金を投じています。つまり、解決策は必ず見つかるということです」と氏は語った。
Hyperscale data centers will triple capacity to meet genAI demands

SDxCentral のレポーター。
データセンターのテクノロジーとビジネス ケース、環境の持続可能性、クラウドネイティブ エコシステムを担当。エマは愛犬コビーとデンバーに住み、世界一の散歩を一緒に楽しんでいる。
連絡先:echervek@sdxcentral.com
X:@emmachervek

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