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文:Tommy Clift

量子コンピューティングの「川下への影響」=IBMのリーダーが説明

量子コンピューティングの「川下への影響」=IBMのリーダーが説明

GSMアソシエーションが10月上旬、MWCラスベガスの席上で「Post-Quantum Telco Network Taskforce」(ポスト量子の通信ネットワークタスクフォース)の設立を発表した。通信業界における耐量子暗号の標準開発が目的だ。IBMのバイスプレジデント兼フェロー、レイ・ハリシャンカール氏によると、フォールトトレラント量子コンピュータが実現するのはまだ何年も先のことではあるが、それによる可能性や脅威がまだ見えていないわけではないという。

「そのようなコンピュータが登場した時に、暗号技術にはどのような影響があるでしょうか。問題はそこです」。氏が米SDxCentralの取材で語った。

現在のコンピュータがビットで演算するのに対し、量子コンピュータでは量子ビット(qubit)を利用し、指数関数的な高速化が可能になる――0と1の情報を複数並行して計算し、現在ある最もパワフルなスーパーコンピュータでさえ簡単には解けないような非常に複雑な問題を作成あるいは解くことができるという。GSMアソシエーションが同タスクフォースに関するプレスリリースで述べている。

ハリシャンカール氏の説明によると、たとえば55の素因数(11と5)を見つけるのは簡単かもしれないが、もっと大きな整数になると難度が上がり、計算に非常に時間がかかるようになるという。「私が今637桁の数字を提示して、貴方にこの計算をするよう頼んだとします。これを解く前に貴方の寿命が来ることになるでしょう」と氏。「古典コンピュータでは数百年かかるのに対し、量子コンピュータでは比較的短期間で計算が可能です」

「そして、こうした高速化こそ私たちの懸念するところです」と氏。「フォールトトレラントかつスケーラブルな量子コンピュータが利用できるようになれば、非対称公開鍵暗号を破ることが可能になるからです」

金融関連や医療関連など、扱いに慎重を要する情報のデジタル化が進むなか、先制して防御手段を開発することが急務となっている。「私たちがこの問題を解決するアルゴリズムを作り、古典/量子コンピュータ両方で使えるようにしたいのはそのためです。将来的に破られることのないように」

ハリシャンカール氏は物理学とコンピュータサイエンスのバックグラウンドを持ち、IBM Quantum Safe(耐量子サービス)の事業および戦略を指揮している。量子化によって多くの業界標準がどのように進歩していくかについて多くのことを語ってくれた。

「今学生だったらよかったのにと思います。本当に面白い!」と氏。「この問題を解決することがまず1つありますが、一方で、川下への影響、地域社会への影響は非常に大きなものがあります」

 

量子によるイノベーションの促進

「こうしたポジティブな面は強調しておきたいところです。人々が量子(コンピューティング)を何に応用するかは分からないし、可能性は計り知れません」と氏。

「今後20年ほど先、量子が主流になる頃にはイノベーションが爆発的に増えるでしょう。人々が解決できる問題の多さ、量子のもたらす影響は信じがたいほどのものになるでしょう」

氏の説明によると、「ショア(Shor)のアルゴリズム」が公開鍵暗号システム内の暗号を破る最初の量子アルゴリズムだったが、「『グローバー(Grover)のアルゴリズム』と呼ばれる並列アルゴリズムの方が基本的には探索が速く」、これを活用すればAIを革命的に進歩させることができるという。

「AIモデルは疎行列とみなすことができ、適切な情報を検索しに行く必要があります。量子であればこれがはるかに高速にできますでしょう。ですから私たちがAIで実現したいと考えている多くの進歩を現実のものにできるのです」。氏は説明している。

他の活用例としては広範囲にわたる最適化を挙げている。ネットワーク、交通、配達を最適化すれば、金銭面でのメリットがあるだけでなく社会や環境の面でも問題解決になるとした。さらに、金融サービス分野でポートフォリオのバランス調整や保険数理分析に使われるあらゆるモデリングに良い影響がありそうだ。

バッテリー技術の分野では、分子や元素のこれまでになかったような3D可視化技術の開発が進むという。「こうした分野では、これまで解決できなかった重要な課題を解決するために量子(コンピューティング)を活用しようとしており、ほとんどの取り組みが完了しています」

https://www.sdxcentral.com/articles/interview/ibm-leader-explains-downstream-impact-of-quantum-computing/2022/10/

Tommy Clift
Tommy Clift Reporter

Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.

Tommy Clift
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Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.

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