5GはSASEに「最適なブループリント」か
SASE(Secure Access Service Edge:サシー)分野のスタートアップ、米Exiumはセキュアかつクラウドネイティブなネットワークを構築する上では5Gが「最適なブループリント」になるとアピールしている。一方、CEOで創業者のFarooq Khan(ファルーク・カーン)氏は5Gの普及ペースが予想を下回っていることも認めている。
Exiumは2021に「セキュア5G NaaS(ネットワーク・アズ・ア・サービス)」を発表。オープンかつプログラマブルなソフトウェア駆動型のサイバーセキュリティ・メッシュをベースにしたもので、強力な暗号化に大きく依存するサービスだ。同社ではパブリッククラウドインフラが持つ規模と5G規格を活用、SD-WANを構築している。
「私たちはグローバルな5G標準を使用しています」。カーン氏が米SDxCentralの取材で語った。「5G標準に対しては、Google、Apple、ベライゾンが何十億ドル(何千億円)もの投資をしています。確固とした標準を定めることに誰もが関心を持っているのです」
3GPP 5G仕様はRAN(無線アクセスネットワーク)とクラウドを両方利用でき、トランスポートに依存しないSASEフレームワークに適したものでもある。Exiumの5G SASEサービスはこれによってマルチモードネットワークで運用することが可能となっている。モバイル事業者やクラウドハイパースケーラーを含めたさまざまなプロバイダーによる4G LTE、5G、Wi-Fi、光ファイバー、ケーブル、衛星通信ネットワークなどだ。
同社はZTNA(ゼロトラスト ネットワーク アクセス)、SWG(セキュアWebゲートウェイ)、CASB(Cloud Access Security Broker:キャスビー)などのSSE(Security Service Edge)スタックを構築しており、SASEサービスに必要なセキュリティ機能も統合している。
CMO(最高マーケティング責任者)のFarooq Muzaffar(ファルーク・ムザファー)氏によると、同社が最も力を入れているのは、アロー・エレクトロニクス、ConnectWise、Datto(いずれも米)のようなベンダーとの提携を通じ、中堅企業向けにSASEサービスを提供することだという。こうしたベンダーがMSP(マネージドサービスプロバイダー)に機器を提供、MSPの販売先がExiumのエンドユーザー様になるという流れです」と説明した。
「5Gが素晴らしいのは、人々のデジタル体験や性能の面で可能になるものがあることです。これは5G標準に特有のもので、競合他社にはないものです」と氏。
5Gユースケースの中で多くのSASEプロバイダーがまだ対応していないものの1つにIoTセキュリティがあるが、Exiumのサービスは「これを扱うことができる」という。「5Gに特有」のメリットとしては、他にもパフォーマンス、低遅延、あるユーザーやデバイスを他よりも優先する機能などがある。
5G端末のエコシステムは未成熟
ExiumはSASE市場での差別化要因として5G機能をアピールしているが、一方でカーン氏は以下のように認めている。「現在のところは、(同サービスが)5Gをベースにしているということをお客様は知る必要すらないでしょう」。ほとんどの企業はフロントエンドに5Gを展開することができないためだ。
「5Gの採用ペースは当社の予測ほどではありませんし、あるいは誰の予想をも下回っているかもしれません」と氏。「5Gは(現在のペースよりも)ずっと速く普及すると業界全体が期待していました」
カーン氏によると、採用を妨げている課題の1つは「端末のエコシステム」だという。ベライゾンのCEO、Hans Vestberg(ハンス・ベストベリ)氏も同意見で、氏が最近語ったところによると、5Gネットワークのビジネスチャンスは無線端末の入手に関する課題があることで妨げられており、そのことがサービス価格や導入価格の設定に影響しているという。
Muzaffar氏は「控えめな」見積もりとして、5Gが「世の中に普及し、消費者や法人ユーザーの手にますます多くの5G端末が行き渡る」までにはまだ2~3年かかるだろうと述べている。
とはいえ、Exiumは早期に5Gに賭けたことは功を奏すると自信を持っている。端末エコシステムが成熟すれば他のSASE企業は旧式の技術スタックをアップデートする必要に迫られるかも知れず、同社が優位に立つことになるかもしれない。
そうなればExiumのサービスは「5Gネイティブなエージェントレス型SASE」になる、とカーン氏は言う。「Exiumの他社との違いがますます輝きを増していくでしょう」
Julia King is a reporter at SDxCentral covering secure access service edge (SASE), secure service edge (SSE), and SD-WAN. She also writes the monthly Money Moves and Headcount articles. She graduated from the University of Colorado at Boulder with a degree in Journalism and Spanish. Julia can be reached at jking@sdxcentral.com.
Julia King is a reporter at SDxCentral covering secure access service edge (SASE), secure service edge (SSE), and SD-WAN. She also writes the monthly Money Moves and Headcount articles. She graduated from the University of Colorado at Boulder with a degree in Journalism and Spanish. Julia can be reached at jking@sdxcentral.com.
JOIN NEWSME ニュースレター購読
KCMEの革新的な技術情報を随時発信
5G・IoT・クラウド・セキュリティ・AIなどの注目領域のコンテンツをお届けします。
KCME注目の技術領域に関するテックブログを配信しています。
KCME注目の技術領域に関するテックブログを配信しています。
RELATED ARTICLE 関連記事
-
セキュリティ Dan Meyer2024.10.28
TモバイルUSとAT&Tに多額の罰金=サイバー攻撃の被害で
米通信大手のTモバイルUSとAT&Tが米国政府から忠…
-
セキュリティ Dan Meyer2024.10.23
SIEM市場が激変=クラウドストライクはAI支援で備え
SIEM(シーム・Security Informat…
-
5G Dan Meyer2024.09.19
「5G RedCap/eRedCap」通信モジュール市場、急成長の見込み
IoT向けの新しい通信規格、5G RedCap(Re…
-
5G Dan Meyer2024.09.09
5G時代へ=中小の通信事業者は備えができているのか
最新の5G機器や、vRAN/オープンRANのようなア…
HOT TAG 注目タグ
RANKING 閲覧ランキング
-
IT Dan Meyer
BroadcomによるVMware製品の価格/ライセンスの変更がどうなったか
-
IT Dan Meyer
Broadcomは「脅迫者」=米AT&Tが酷評
-
ネットワーク Sean Michael Kerner
2024年における10のネットワーキング技術予測
-
IT Dan Meyer
BroadcomがVMwareパートナープログラムの詳細を発表
-
セキュリティ Nancy Liu
SASE市場が急成長=第1四半期、首位はZscaler
-
IT Dan Meyer
Dell、HPE、LenovoはBroadcomがVMwareの顧客の懸念を和らげるのに役立つか?
-
セキュリティ Tobias Mann
米CitrixはMcAfee社、FireEye社と同じ運命を辿るのか=買収合併の後に
-
セキュリティ Nancy Liu
デル、データ侵害を確認=ハッカーが4900万件の顧客データ販売を主張
-
スイッチング技術 Tobias Mann
コパッケージドオプティクスの実用化は何年も先=専門家談
-
ネットワーク Sean Michael Kerner
2023年 ITネットワークのトレンドTOP10 現時点