米Mavenir社、通信事業者のオープンRANで優位に立つのはハイパースケーラだと予測
米Mavenir社の事業開発担当SVP、John Baker氏によると、オープンRANフレームワークの登場とネットワークインフラ・ネットワークサービスにおけるクラウドコンピューティングの台頭、それらが融合することによって、ハイパースケーラがモバイルネットワーク運用の中心的な存在になるという。
氏はSDxCentralの電話インタビューで、「今後、ハイパースケーラが新しい通信プロバイダになると確信しています」と語った。
「タワーに物理的に無線機を設置することは別として、今日私たちが行っていることというのはすべて、データセンターモデルに沿ったものになっています。そしてハイパースケーラ各社は、データセンター、ソフトウェア、アプリケーションを管理する方法を知っています」と氏は話す。「オープンRANとは要はサーバ上で実行されるアプリケーションの集合体であると考えたとき、まさにハイパースケーラの守備範囲になってくるわけです」
ハイパースケーラのコンピュートが持つ力
実際、ネットワークのあらゆるレイヤーや要素でソフトウェアが使われるようになり、また、モバイルネットワークインフラはますますWebスケールアーキテクチャを採用する方向に進化していっている。そうしたなかでハイパースケーラは近い将来、通信事業者全体にとって最も重要なベンダーになると見られており、また脅威となる可能性がある。
昨年、モバイル通信事業者の5GネットワークではAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudなどの利用が進み、ハイパースケーラ全体の加速度的な台頭があったが、2021年はさらに重要な年になりそうだ。モバイルエッジコンピューティング、仮想化、ネットワーク管理オーケストレーションといった分野におけるクラウドプロバイダー各社の取り組みは業界全体で花開き、モバイルネットワークアーキテクチャの重要なコンポーネントとしてクラウドの地位を高めている。
「結局のところ、どこにコンピュートがあるか、どこで無線機へ接続するかということに尽きます。無線機のヘッドに至るまで、今はIT担当者がそれを行っているわけです」とBaker氏は説明する。
Nokia社、オープンRANで目標を高く掲げる
オープンRANはゆっくりと台頭し始め、世界の大手RANベンダーの戦略や展望にも影響を与えている。Nokia社はこの分野の三大企業の中では最も強力にオープンRANを推進しており、ハードウェアとソフトウェアの分離を中心にビジネスモデルの一部を再構築した。現在は2021年にリリース予定だというオープンRANポートフォリオの準備を進めている。
しかし、新CEOのPekka Lundmark氏の指揮のもと、3年間の大規模な事業再編計画が進行中であることから、最近のNokia社はオープンRANに関する抱負や計画については比較的言葉少なだ。
Baker氏によると、Nokia社はO-RANアライアンスでの仕様策定でひそかに大きな役割を果たしたという。また、オープンRANを全面的に採用した楽天モバイルの4G LTEネットワークに同社が参加したことは、同技術への関心の高まりを予見するものだという。
「個人的には、Nokiaにとって素晴らしい、良い方向性だと思います。同社にはたくさんの技術があり、これまで市場という観点で言えば確かに焦点を失っていたと言えるでしょう。たとえばVerizon社のビジネスを失ったことなどによる変化が今表れているのだと思います。ある意味で、焦点と品質に回帰しているのです」と氏は話す。
「Nokiaはいずれそこに戻ってくるでしょう。それには何の問題もありません。いつになるのかということだけです」
RANのグローバルリーダー、Huawei社はオープンRANの採用に関心を示していない。一方、Ericsson社はややちぐはぐな態度を取っている。
Ericsson社、行き過ぎない程度のオープンRANを追求
スウェーデンのベンダー、Ericsson社は最近「クラウドRAN」サービスを導入し(2021年後半までに出荷開始予定)、部分的にオープンRANのフレームワークを正式採用した。しかし、Ericsson社のオープンRANに対するビジョンは依然として狭いもので、屋内環境向けのビジネス機会とエンタープライズ向けの低しきい値要件によって牽引されている。
同社でEVP兼ビジネスエリアネットワーク担当責任者を務めるFrekrik Jejdling氏は、2020年11月に行ったプレゼンテーションの中で、「これは当社の既存の専用ネットワークを補完するものであり、特定のユースケースに対して柔軟性と拡張性を提供するものです」と話している。同社によると、RANのコンピュート部分を仮想化するソフトウェアである「クラウドRAN」を利用すれば、より多くの自動化が可能になり、CUとDUを仮想化して市販のx86ベースのハードウェア上で実行することができるようになるという。
Ericsson社のアプローチは、少なくともこれまでのところ、同社がオープンRANについて真剣に取り組んでいるとBaker氏が納得できるほどのものではない。「今の私のイメージでは、Ericssonは自社サービスに関して保護主義的であるという点で、Huaweiのようになってきています」と氏は言う。
「オープンRANに関して、彼らの意見はくるくる変わり続けています」と氏。「クラウドRANというのは、私たちにとっては3~4 年前に埋もれてしまった用語です。彼らは後ろ向きに歩き、何かを夢想しているようなものです」
Ericsson社はO-RANアライアンスのようなオープンRANコミュニティにも参加しているが、Baker氏としては、同社はプロプライエタリな技術によって市場を閉じ込め続け、自社の将来を守るためにこうした取り組みに参加しているに過ぎないと考えているという。「Kodak社のようになろうとしています」と氏は締めくくっている。
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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