ネットワーク
文:Julia King

SASEの標準化は技術の融合に不可欠=MEF討論会

SASEの標準化は技術の融合に不可欠=MEF討論会

【コロラド州ブルームフィールド】ネットワーク技術の標準化団体MEF(Metro Ethernet Forum)は7月下旬に技術諮問委員会を招集、SASE(Secure Access Service Edge)市場とSD-WAN市場の混乱した現状について討論を行った。討論会は2022年MEFメンバー会議の一環として行われ、MEFのサービス標準によってどのように人々に共通の言語を提供し、妥当な期待を描けるようにできるか、ひいては市場の成長を加速させることができるかが話し合われた。

「誰もがSASEのハイプサイクルに遅れまいとしています」。VMWareのSASE事業担当ゼネラルマネージャー、クレイグ・コナーズ(Craig Connors)氏が語った。要因としては、在宅勤務のユースケースの出現、コネクテッドIoTデバイスやネットワーク上に分散した最新型アプリケーションの台頭を挙げた。「さまざまなあらゆる企業がSASEソリューションを提供していると言いながら、この部分はない、あの部分はない、という状態になっています。それがさらなる市場の混乱を招いている状況です」

この混乱に対し、(SASEモデルを提唱した)米ガートナーの出した解決策は「SSE」(Security Service Edge)という別の新語を作ることだったが、これは問題を悪化させただけだったと氏は言う。

フォーティネットのCMO(最高マーケティング責任者)、ジョン・マディソン(John Maddison)氏も、「私が話をするお客様は、SASEが何かということについて全員が違う意見を持っています」と話す。「はじめは30種類あったのが、今では5パターンくらいには減りました」。マディソン氏はSASEについて、残念ながらよく理解している人は誰もいないバズワードだと考えていると認めている。

SASEやSSEの範囲は正確にはどのようなものかという問題をめぐっては混乱が続いているものの、一方でネットワーキングとセキュリティの融合が必須であるという点では討論会の意見は一致した。

遠からずSASEの標準化が必要

ノキア傘下のニュアージュネットワークス(Nuage Networks)の元創設者兼CEO、スニール・カンデーカル(Sunil Khandekar)氏は、融合を達成するためにはSD-WANの時に起きたのと同じ失敗はできないと話す。「SD-WANは標準化団体が関与して定義を決めることなく主流となった最初のサービスでした」

標準化がされていなかったことで、初期のSD-WAN市場は「ベンダー各社が市場に投入する機能の軍拡競争」の様相を呈することになったという。氏はMEFがSD-WANの定義と標準化で主導的な立場を担い、MEFで作成したサービスや定義に照らしてベンダーやサービスプロバイダが認証を取得するよう支援したとして評価した。

「残念なことに、SASEの定義を決めるために標準化団体が力を合わせるということが起こりませんでした。その結果、主にガートナーですが、アナリスト企業が空白を埋めてSASEを定義するということが起きています」。カンデーカル氏は言う。また、MEFで今度はSASEの標準化に向けて動けないか考えていると述べた。

マディソン氏もこれに賛同して次のように話している。「私が25年前の通信業界にいた頃は、標準が作られるまでに10年かかりました――まず開発し、それから検証を行っていました。その頃に戻ることのないようにしましょう」

「コーナーケース」の評価について

コナーズ氏によると、標準化がされなければ業界全体でシングルベンダーソリューションに頼るしかなくなるという。エコシステムのベンダー間に互換性がないと、市場での差別化ができているかのような錯覚に陥り、実際には不完全なSASEソリューションを売り込んでいるに過ぎないという状況になってしまう。

カンデーカル氏は「基本となる機能や、誰もが理解し、口にできるような共通の用語を定義する必要があります」と話している。「そうすれば、それに加えて更なる定義や差別化を行うことができるというものです。私たちが持続的に可能な方法で影響力を持ち、自分たちのエコシステムである種の相互運用性を確保するためにはそれが不可欠です」

討論会では、顧客の混乱を解消しベンダーにSASEの枠組みを提供する上では標準化が鍵となるが、認証体制の確立は一部の企業にとって競争が難しくなるために軽視されてきたという認識で一致した。

英スパイレントのデイブ・ラーソン(Dave Larson)CTOの説明によると、業界内で協調的な行動を定めること――氏は「あらゆる企業が」認証に合格することを望んでいる――と、認証によって市場にもたらされるメリットは指摘すべき欠陥がない場合には少なくなるという現実との間でバランスを取る必要があるという。「現状では、当社はコーナーケースの評価を求めてはいません」。「誰もが合格点を取れるように、最小公分母の設定を求めます。それで十分でしょう。まだ初期段階ではありますが、認定に関しては本腰を入れていく必要があります」

ラーソン氏は、プロバイダー、通信事業者、エンタープライズ企業の各界隈からもそうした要望があるだろうと話している。市場の競合他社に対する最高クラスの差別化ができるよう取り組むためだ。また、認証制度はより大きな力を持つことになるだろうし、そうなって初めて業界は技術面での不足に焦点を当てる準備が整うのだと補足した。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/mef-panel-sase-standardization-is-critical-for-convergence/2022/07/

Julia King
Julia King Editorial Assistant

Julia King is an Editorial Assistant at SDxCentral covering secure access service edge (SASE) and secure service edge (SSE). She also writes the monthly Money Moves and Headcount articles. She graduated from the University of Colorado at Boulder with a degree in Journalism and Spanish. Julia can be reached at jking@sdxcentral.com

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Julia King is an Editorial Assistant at SDxCentral covering secure access service edge (SASE) and secure service edge (SSE). She also writes the monthly Money Moves and Headcount articles. She graduated from the University of Colorado at Boulder with a degree in Journalism and Spanish. Julia can be reached at jking@sdxcentral.com

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