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文:Emma Chervek

マイクロソフトとOpenAI、15兆円規模のAIデータセンターを計画=NVIDIA依存を軽減

マイクロソフトとOpenAI、15兆円規模のAIデータセンターを計画=NVIDIA依存を軽減

米マイクロソフトとOpenAIが、AIスーパーコンピューターを設置したデータセンターの建設を計画している。2028年に運用開始の予定で、推定費用は1,000億ドル(約15兆円)を超える。

同プロジェクトは「スターゲイト」(Stargate)という名称で、建設地は米国内を予定している。目的は、生成AIのワークロードとアプリケーションを支えるHPC(高性能計算)の需要拡大に応えること――従来型のデータセンターで対応するのが適切とは限らない難題だ。

メディアが報じている内容によれば、プロジェクト費用はマイクロソフトが負担する可能性が高いという。スターゲイトの費用は、現在みられる最大規模のデータセンター建設プロジェクトの100倍に上ると予想されている。

マイクロソフトがOpenAIの取り組みを支援してきたことはよく知られている。中でも、OpenAIのモデルを実行するコンピューティングリソースは同社が提供している――スターゲイトプロジェクトによって、両社の提携関係はさらに込み入ったものになりそうだ。

両社は複数のスーパーコンピューターを建設する構想を進めており、全部で5つのフェーズがある。第5フェーズに当たるスターゲイトにかかる費用は、マイクロソフトが2023年にデータセンターのサーバー、建物、インフラ、機器に費やした金額の3倍超に相当する。

現在は第3フェーズにあり、第4フェーズでは、スターゲイトよりも小規模なOpenAI用スーパーコンピューターを構築、2026年に立ち上げる予定となっている。

スターゲイトの立地が米国のどこになるのか、1つのデータセンターに収容するのか、近接した複数のデータセンターに収容するのかは分かっていない。

AI分野のNVIDIA依存を軽減

第4・第5フェーズの費用の大半を占めるのがGPUアクセラレーターなどのAIチップだ。97%のシェアを持つマーケットリーダーのNVIDIAは、3月に最新のAIチップ「B200」を発表、価格は3万ドルから4万ドルになるとしている。

一方、報道によると、OpenAIがスターゲイトプロジェクトではNVIDIAのInfiniBandケーブルの使用を避け、イーサネットケーブルを使用したいと望んでいるという。マイクロソフトのデータセンターでは、現在のところInfiniBandを利用している。

AI支出の伸び予想

米調査会社Dell’Oro Group(デローログループ)による調査では、世界のデータセンター設備投資は年率18%で増加し、2028年には2,000億ドルに達すると予測されている。そのうち25%がAIワークロード向けになる見込みだ。

2023年には、データセンター事業者によるインフラ投資の優先順位が、汎用コンピューティングやストレージから(AI向け)高速コンピューティングに大きくシフトしたという。シニアリサーチディレクターのBaron Fung(バロン・ファン)氏がSDxCentralの取材で語った。

「汎用コンピューティングに比べ、機器やGPUのコストが高いことを考えると、こうした変化は著しいものでした。AI関連インフラ支出額の急激な変化についても同じことが言えます」

Microsoft, OpenAI plan $100B Stargate AI data center, eases reliance on Nvidia

Emma Chervek
Emma Chervek Reporter

SDxCentralのレポーター。データセンターのテクノロジーとビジネス ケース、環境の持続可能性、クラウドネイティブ エコシステムを担当。エマは愛犬コビーとデンバーに住み、世界一の散歩を一緒に楽しんでいる。
連絡先:echervek@sdxcentral.com
X:@emmachervek

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