COVID-19の拡散を抑制するため家にいるように、という呼びかけに無数の人々が従っているなか、ネットワークはこれまで想像することもできなかった、類を見ない試練に直面している。Nokia Deepfield社の初期の調査によれば、世界中でネットワークの使用量や挙動、日常活動が急速に変化していることで、「世界的なインターネットトラフィックのかつてない増加」が起きているという。

現在、ほとんどのネットワークで今年の増加率は30〜45％と予測されており、過去4週間に最も影響を受けた地域では、ピーク時のトラフィックが20〜40％増加しているオペレータもいる。Nokia社のネットワークインテリジェンス・分析・セキュリティ部門によれば、こうしたスパイクのほとんどは夜に発生しており、一部の例ではほんの数日で増加の加速がみられるという。

Nokia Deepfield社は、西欧にある複数のネットワークから取得した、（物理的に距離を取ることを義務付けるために導入された）最初のロックダウン対策時点からのデータを分析した。ネットワークはこれまでのところ需要の急増に対応しており、ネットワークは通常こうしたレベルの増加に数日と言わず年間を通じて耐えられるように設計されている、と同社は話している。

しかしながらこの調査では、アグリゲーションネットワークやサービスエッジルータが容量の限界に達しつつある可能性もあると結論付けられた。Nokia Deepfield社は、今後数週間から数か月のあいだ、これらがネットワークオペレータにおいて最もストレスのかかるコンポーネントになると予想している。

音声通話の再燃

米国トップの携帯電話会社各社も、それぞれのネットワークで問題なくトラフィックのスパイクを処理していると話しているが、いくつかの行動変化が根付きつつもある。Verizon社は、自社のネットワーク上で先週の音声通話件数が25％増加し、通話の平均時間は15％長くなっているとした。同社によると、ワイヤレス音声通話は先週10％増加し、VPNトラフィックは25％急増し、Webトラフィックは22％増加したという。

「人々が互いに、特にワイヤレスデバイスで会話に費やす時間は、何年にもわたって徐々に減少していました」と、CTOのKyle Malady氏はコメントで述べている。「家にいようという動きによって、声でつながることへの人々の渇望が再燃したのです」。パターンがいくつか現れ始めており、Verizon社は今後数週間の間にさらに使用量が変化することを予想している、と氏は補足した。

西欧では、Nokia Deepfield社がメッセージングとソーシャルメディアアプリの際立った使用量増加に注目した。同ベンダーによれば、地域でロックダウン対策が講じられたあと、WhatsAppへのトラフィックが一日のピークの時間帯で217％急増し、物理的な移動が制限された後の最初の日曜日には500％増加しているという。

全体的に見ると、在宅隔離の初日、地域全体のネットワークトラフィックは午後5時（以下、現地時間）の30％増加から午前9時の80％増加に至るまで、どの時点でも増加していた。Nokia Deepfield社によると、その日は他の時間帯もずっと50％から70％のトラフィック増加がみられたという。

「私たちは、無線ネットワークと有線ネットワークの両方でトラフィックの増加を目撃しています。しかし、ロックダウンのあいだ自宅で長時間を過ごすわけですから、有線ネットワークがますます重要な役割を果たすようになるでしょう」とNokia Deepfield社CTOのCraig Labovitz氏はコメントで述べている。

「世界各地のネットワークに対するCOVID-19パンデミックのグローバルな影響とローカルな影響を監視し続けていますが、冷静さを保つことが重要です。私たちは教訓を学び、課題に直面しており、その結果私たちが働き、コミュニケーションし、楽しむ方法は永遠に変わってしまうでしょう」と氏は付け加えた。

「励みになる考え方をひとつ挙げるなら、テクノロジーの側面から見て、私たちは安心できる状況にいるということがあります。最新の技術進歩や技術標準によって、ホームネットワークからサービスプロバイダーやハイパースケールの領域に至るまで、ユビキタスで洗練された接続が提供されています」と Labovitz氏は言う。「最新のネットワーク技術は、真っ向からやってきた課題に立ち向かう準備ができています」

Networks Absorb Annual Traffic Spike in a Week