5G
文:Dan Meyer

NTTドコモ、ノキアの機器で5Gバックボーンを強化

NTTドコモ、ノキアの機器で5Gバックボーンを強化

NTTドコモが最新5Gモバイルサービスの展開に向けて全国のIPコアバックボーンを強化する。選択したベンダーはノキアだ。通信事業者の間では、バックホールを強化して新しいサービスに備える動きが広がっている。

導入したのはノキアの7750 SR-14コアルーター。ノキア製FPルーティングシリコンを搭載する。FP5ラインカードもその1つで、現行の100Gbps/400Gbpsイーサネットに加え、次世代の800Gbpsイーサネットに対応、従来のラインカード製品と比較して低消費電力となっている。

ノキアがFP5シリコンを発表したのは2021半ばのことだ。ターゲットは5Gバックホールや産業用IoTネットワークなどの広帯域ユースケースで、プログラマブルかつ高性能なルーティングチップとなっている。

ドコモでは今回強化するバックボーンでネットワークスライスサービスを提供する計画だ。ドコモのSLAに対応、ノキアのサービスルーター オペレーティングシステムが持つセグメントルーティング機能を利用する。

ノキアのNetwork Services Platform(NSP)も併せて導入する。リアルタイムのテレメトリを活用してIPネットワークを自動的に最適化、SLAの遵守を向上するパスコンピュテーションエンジン(PCE)によってセグメントルーティングを支援する目的だ。

また、NSPによってトランスポート領域におけるIETF標準ベースのネットワークスライスの作成、保証、最適化を自動化することができる。

 

ネットワーク事業者によるバックボーン強化

昨年には米ベライゾンが同様の強化を始めている。米ジュニパーネットワークスと契約、光コアパケットネットワークをアップグレードするものだ。これによりネットワークパフォーマンスが4倍になり、今後の成長に向けた道筋が整うと同時にリソース要件も軽減される。

ベライゾンは同アップデートについて、5Gベースの無線/固定回線サービスによるネットワーク需要の急増と関係があるとしている。当時、ベライゾンの5Gウルトラブロードバンドネットワークでデータ使用量が249%増加している、と計画担当バイスプレジデントのKevin Smith(ケビン・スミス)氏が指摘した。

「同ネットワークを通るトラフィックの種類としては、当社のパブリック/プライベートトラフィック、『FiOS』のグローバルトラフィック、無線トラフィック、旧XO(コミュニケーションズ)のネットワークトラフィック全てです」と氏。「今後について、インフラと顧客視点の両方から考えたとき、こうしたトラフィックは200G、400Gという規模になってくると思われます。当社の現在のプラットフォームではそのレベルのサービスを支えることができないという事です」

アナリスト企業の指摘によると、通信事業者各社は急増する5Gトラフィックに対応すべく400Gbps対応ルーターの展開を増やしているという。米調査会社デローログループ(Dell’Oro Group)は400Gbpsルーターの2022年上半期出荷台数が前年比で140%以上急増したと指摘。この勢いは2026年まで続くと予測している。

「5G(RAN)の導入がモバイルネットワークの急速な拡大につながり、2つの面に影響し始めています」と調査報告にはある。「第一に、モバイル(サービス事業者)はモバイルトランスポートネットワークを拡張しなくてはならず、そのために400Gbpsルーターの導入を進めています。第二に、5G技術でモバイルインターネット接続の高速化が可能になることで、モバイルネットワークユーザーによるデータ量の多いメディアコンテンツの消費が進むでしょう。サービス事業者のネットワークではトラフィック量が増加します」

 

ドコモとノキアの協業は続く

NTTドコモとノキアには今回の契約以前にも長い付き合いがある。

NTTドコモはノキアと共同で将来の6GサービスにAI、機械学習、サブテラヘルツの周波数帯域を活用する開発を進めていたが、2月にその成果を発表した。AIと機械学習を無線インターフェースに活用、「6G無線機に学習機能を搭載」したという。

技術的には6G無線の信号劣化の問題を解決、信号のオーバーヘッドを大幅に削減するとともにスループットが30%向上したとしている。これはネットワークスライシングのユースケースにも関わる部分で、6G無線機は「アプリケーションやデバイス、ユーザーが要求する接続タイプに柔軟に対応できるようになる」と両社は述べている。

NTT DoCoMo Boosts 5G Backbone With Nokia Tech

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.

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