NTTとドコモがテラヘルツ帯の実験を主導=6Gへの課題

ドコモ、NTT、NEC、富士通の4社が11日、6Gネットワークのユースケース実現に向けて、非常に高い周波数帯に対応した無線デバイスを共同開発したと発表した。
開発した無線送受信機の伝送実験では、100GHz帯および300GHz帯のサブテラヘルツ帯で100Gbpsの高速伝送を実証した。伝送距離は100mとなっている。
ドコモは100GHz帯の実験で使用した装置を開発、NTTは300GHz帯の装置を担当した。NECは100GHz帯の装置に対応した100素子超から成る多素子アクティブフェーズドアレーアンテナ(Active Phased Array Antenna、APAA)を開発、富士通は両方の周波数帯に対応した高出力アンプの開発を担当している。
目指すのは、高周波数帯の活用にまつわる多岐にわたる課題を克服することだ。6Gネットワークの導入、利用、収益化は大容量通信を必要とする新しいユースケースのために進んでいくと考えられるが、そうした通信は高周波数帯を活用する技術で支えることになる。
6Gの鍵とされるテラヘルツ帯
NTTは6Gに関するこうした研究の最前線を走っている。2022年 には、ノキア、NEC、富士通と共同で、AIネイティブのエアインターフェースと分散MIMO(Multi-Input Multi-Output)技術、OAM多重伝送技術を使用した実証実験を行った。昨年には、ノキアの協力で同エアインターフェースにAIと機械学習を統合、6G無線機を使用した概念実証で信号劣化の問題を解決するとともに、シグナリングオーバーヘッドを低減、信号スループットを30%改善している。
両社はその際、スマートな無線伝送にテラヘルツ帯を組み合わせる活用について、「6Gのもう1つの重要な機能になりうる、高精度の無線センシング」に適していると述べている。
サブテラヘルツ帯は100GHz以上の周波数帯で、利用可能な周波数帯が豊富であることから、6G用の大容量帯と考えられている。とはいえ、豊富な周波数帯が残っているのは伝搬距離が非常に短いためで、今回の取り組みでも4社が言及した伝送距離は100mとなっている。
「テラヘルツ信号は大気吸収が大きく、到達距離の限界には厳しいものがあります」。英調査会社IDTechExのシニアテクノロジーアナリスト、Yu-Han Chang(ユハン・チャン)氏が最近のレポートに書いている。「このため、6Gでは、減衰を解決し、しかるべき距離で強い通信を確立することが最優先課題となっているのです。また、周波数が高いことから、建物や木など、直線上の障害物の影響も受けやすくなっています。この2つを解決することが、特に、密集した都市部で使用する場合には不可欠です。障害物があっても安定した接続を確保できることが重要になるためです」
米アクセンチュアで5Gおよびネットワーク部門のグローバルリードを務めるJeff Wang(ジェフ・ワン)氏がSDxCentralの取材で述べたところによると、こうした高い周波数帯を利用するには、展開方式についても伝搬特性による難しさを考慮に入れてゼロから再考することが必要になるという。高い周波数帯のリソースを利用して無理にでも価値を引き出そうとするのなら、そのレベルの技術革新や創造性が不可欠になると語った。
「仮にあらゆるプロセスに対して、今までにないレベルの自動化やインテリジェンスを、今までにない緻密さで組み込めなくてはならないということをこれほど重視しつつ、しかもサブテラヘルツ(帯)への対応も意識するとなると、想像も及ばないことになります」と氏。「今の段階でこうしたことを解決できていないのに、どうやってインテリジェンスを組み込んだり、自動化したり、自己修復させたりできるでしょうか。実務的にはただ手に負えない、悪夢というほかありません」

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

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