日本電信電話株式会社（NTT）は、2025年までにサイバーセキュリティ分野の状況を形成すると予想される進化するトレンドを分析したレポートを発表した。この包括的な報告書では、AIによるサイバー脅威の台頭、地政学的なサイバー戦争、サイバー犯罪者間の国際的な連携、サプライチェーンにおける脆弱性の増大、消費者保護の強化という5つの主要な懸念事項に焦点を当てている。

NTTは、最も差し迫った洞察の中で、人工知能、特に生成AIがサイバー犯罪を助長する一方で、サイバーセキュリティの防御を強化する上でも重要な要因になる可能性が高いと強調している。NTTのチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジストである松原実穂子氏は、AIの高度化が進むとランサムウェアやフィッシング攻撃の急増につながる可能性があると指摘し、最近のデータでは、ビジネスメール詐欺試行のかなりの割合がすでにAIによって生成されていることを示している。

さらに、中国やロシアといった国家が同盟国のインフラを標的にしたサイバー攻撃を激化する可能性についても懸念が示されている。NTTグローバル CISO（最高情報セキュリティ責任者）の顧問であるJohn Petrie（ジョン・ペトリー）氏は、重要な分野で広範囲にわたる混乱が生じる可能性について語る。

NTTセキュリティホールディングスの CISOであるDavid Beabout（デビッド・ビーバウト）氏は、ベンダーのネットワーク内の脆弱なリンクを悪用するサプライチェーン攻撃の頻度と影響がエスカレートしていると警告する。組織がこうしたリスクを効果的に軽減するためには、検知能力の強化が不可欠である。

さらに、北朝鮮とロシアのサイバー犯罪組織間の協力が、特に注目される政治的会合の後に増加していることが示唆されており、将来的にはより協調的な攻撃の前兆となる可能性がある。NTTセキュリティジャパンの真鍋太郎氏は、この協力が銀行業界にもたらす影響について言及している。

脅威が進化するにつれて、消費者の意識と保護も進化しなければならない。NTT-CERT主任研究員である神谷格氏は、食品に成分の透明性が求められるように、消費者向け電子機器やサービスにも安全性の向上が求められると指摘する。

NTT Report Highlights Key Global Cybersecurity Trends for 2025