ネットワーク
文:Tommy Clift

情報格差解消へ=オープンアクセスネットワークの役割

情報格差解消へ=オープンアクセスネットワークの役割

情報格差解消の取り組みというと、農村開発や地形的な障壁の克服を連想されることが多いが、(米国では)都市部や郊外にも手頃な価格のブロードバンド接続でインターネットに接続し、情報にアクセスすることのできない人々はまだ大勢いるという。米フルーム(Flume)のCEO、プラシャント・ヴィジャヤ(Prashanth Vijay)氏が語った。

フルームはデータセンターのスペース貸し出しのほか、商用光ネットワークの未使用部分を調達・リース、大規模集合住宅に接続を提供している企業だ。

今月上旬にはロサンゼルスとコネチカット州イーストハートフォードへの事業拡大計画を発表した。ハートフォードでの目標は来年4月までに18,000を超える世帯にブロードバンドを提供することだ。

「気候変動、半導体、ブロードバンドの分野には多額の政府資金が提供されています。歴史的に見ると、こうした資金の行きつく先はいつも『この地域で20万世帯に接続を提供すると約束します。資金をください』と表明する大手でした。これがうまくいく時もあれば、そうでない時もあります」。米SDxCentralの取材で氏が話している。

写真はフルームのメンバー。提供:フルーム社

同社を支える優良顧客がニューヨーク市住宅局だ。2021年に提携を結んで以来、米政府が低所得層へのインターネット回線の提供支援を目的に実施している「Affordable Connectivity Program」(ACP:アフォーダブルコネクティビティプログラム)の参加企業と共に協業を続けている。

「こうしたプログラムへの参加者を増やすには、より実践的なアプローチが必要です」と氏。「新しいモデルへの移行が進んでいると思います。市やサードパーティがインフラを所有し、多数のプロバイダに貸し出すことが可能かというものです。当社はこのモデルを強く支持しています」

 

光回線に関するフルームのミッション

ヴィジャヤ氏は米ベライゾンのエンジニアとしてキャリアをスタートした。4G・5Gネットワークの運用に携わり、(光でも無線でも)ネットワーク拡大の多くのケースで「特定地域に光回線が存在しないことが足かせになっている」ことに気づいたという。

ハリケーン「サンディ」が去った後、ベライゾンは北東部の光回線を増設、ヴィジャヤ氏も助力のためにニューヨーク市に移った。まず気づいたのは、この分野のプレイヤーの少なさだったという。

「FTTHの敷設を進めているのはベライゾンとAT&Tだけでした。2015年頃には両社のスピードもやや落ちていました」。氏はサービスが行き届いていない住宅地への光回線敷設にビジネスチャンスの芽を見出したという。

「ほとんどの都市でFTTHの普及率は25%から最高でも40%となっています。残りの60%は――私が住んでいるウィリアムズバーグもそうですが…(中略)…れっきとした高級エリアでありながら、回線の選択肢は1つしかないのです。このような状況が長いあいだ続いています」

もっと良いアプローチは「キャリアニュートラルなインフラを構築し、競争を促進すること」だとヴィジャヤ氏は断言する。

 

既存大手の打破

氏とNYCHAの協業が始まった。「既存大手が回線を提供している手頃な価格の住宅の多くでは、住民はデュアルプレイサービスに対して月に85~100ドルを支払っていました。他のプロバイダが挑戦者となり、無料のFTTHプランへの移行を積極的に促すようなことが起きなければ、(大手がサービスを向上させる)さしたる動機は無いままです」

「もしあなたが既存大手であれば、人口の80%から得ている収入を失ってまで、残りの20%(大都市の多くでは数百万人)を取り込めるかもしれないという理由で月額80ドルを30ドルに切り下げるようなことはしないでしょう」

この20%に関して、フルームでは新規契約者の多くがこれまで家庭用ブロードバンドを利用したことがない人々だということが分かっている。ヴィジャヤ氏はこれこそが同社の真の目標だと述べている。

「既存大手の回線が普及した現在の市場の構造を考えると、真のソリューションは新しい選択肢を提供し、無理にでも市場を変化させることだと思います。行政が計画に補助金を出すこともできますが、ARPU(ユーザー1人当たりの売上額)が3倍もあるような既存大手に対して『よろしい、増設エリアの半分はここにして貰いましょう」と都市から要請するようなケースはこれまでありませんでした」

インフラ投資・雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act)でブロードバンド整備に650億ドル(約9兆600億円)が確保されている件について、ヴィジャヤ氏は資金の大半を既存大手が受け取る「有限方程式」のような分割の仕方がされているとしつつも、残りの資金がキャリアニュートラルプロバイダに行く可能性があるだけでも「大きなダメージになりうる」と話している。

「本当に田舎の地域になると、他に誰も住んでいないようなエリアもあります。ベライゾンやチャーター・コミュニケーションズ、コムキャスト以外の事業者が敷設に向かっても利益にならず、意味がないでしょう。そのため、これらの事業者が(資金の)75%(程度)を手にすることになると思います」と氏。

2015年以降、光回線の推進は通信事業者からすると新しい土地への敷設(「グリーンフィールド」)を追い求めていくことにあった、と氏は振り返る。

「鍋を大きくかき混ぜる」この新しい資金提供によって、キャリアニュートラルな選択肢(を提供するプレイヤー)に多くの資金が向かうことをフルームは期待している。

「オープンアクセスかつキャリアニュートラルなものは、フランス、南アフリカ、韓国でとても人気があります。他の国でももちろん有効だということです。既存大手やプライベートエクイティが資産の所有を目的とし、それによって時価総額を増やしているのは米国だけの話です」

フルームでは「Middle Mile Grant」(ミドルマイル補助金プログラム)の申請を終えたところで、面接審査に進み「来年の初めから8月頃までに」敷設を開始したい考えだ。

「思っていたのと違う方向に進むこともあるかもしれません。ですが、当社では多くの州がCライクなライセンスという既存の流れに逆らい、オープンアクセスを選択しているのを見てきています」。氏は語った。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/open-access-networks-role-in-closing-the-digital-divide/2022/11/

Tommy Clift
Tommy Clift Reporter

Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.

Tommy Clift
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Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.

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